劇場公開日 2022年4月15日

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「すごいものを観た」ハッチング 孵化 ケロケロケロッピさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5すごいものを観た

2024年8月10日
iPhoneアプリから投稿

親として何かを育てるということは、愛情だけではなく期待や失望、鬱陶しさや煩わしさも伴う作業。それがは母親にとっての娘ならばなおさらだ。その底知れない恐ろしさを描いた作品。

卵から孵化したのは恐ろしい怪物。外見は変容していくが中身は変わらず、愛情を求めて母の期待に応えようとする心優しい娘のまま。それはティンヤ自身も同じ。

この映画はほぼ母娘しか出て来ず、父と息子はめちゃくちゃ影が薄い。体操のライバルも女性だし、途中出てくる赤ちゃんも女の子。女性にとって同性というものがいかに目ざわりな存在かということがよくわかる。それは裏返せば、母親にとっての娘は、愛憎紙一重の特別な存在になりうるということ。

それはラストの場面でよくわかる。娘というものを、母親がどれほど失いたくないと思っているか。何者に代えても。

恐ろしいものを観た。

ケロケロケロッピ