「雪の中、映画館に集結したおじさんたちに強烈な仲間意識を感じた」ザ・ビートルズ Get Back:ルーフトップ・コンサート kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
雪の中、映画館に集結したおじさんたちに強烈な仲間意識を感じた
ドキュメンタリーの「ゲットバック」は未視聴。
ビートルズって生まれる前には解散していたバンドなので、4人が高画質(と言っても当時撮影した映像ではあるが)で演奏している姿を観るだけでもとても意味がある作品だ。
断片的にしか観たことのなかったゲット・バック・セッションの屋上ライブ。改めて観ると気づいたことがいくつかある。まず、想像以上に屋上が狭い!こんな狭いスペースでライブしていたんだ。そして警察の介入が予想以上の強度だった。抗議の電話が殺到したら警察は動かざるを得ない。あの攻防もなかなかの見ものだ。ただし、ライブ映像だけを目当てにしていたなら余分な映像ではあるが。そして、5人(ビリー・プレストンも含めて)の演奏がカッコいい。人前での演奏が数年ぶりで、しかも4人揃っては最後。なのになんだこのカッコよさは。
ビートルズを前期後期に分けたら(前中後で分ける場合もあるが)、どの時期が好きかってのは定番の質問の一つ。私はやはり後期が好きで、個人的には「アビーロード」が最高のアルバム。一旦はお蔵入りとなったゲット・バック・セッションを経て、「アビーロード」が生まれたことは1つの奇跡だと思っている。だからこの時期の楽曲は、当時の最新のレコーディング技術を駆使して作られたイメージがあり、本作で演奏していた曲は、フィル・スペクターがいろいろいじった音源(アルバム「レット・イット・ビー」)に慣れてしまっていた曲たちだ。でも、ゲット・バック・セッションはライブ感を大事にしていたことを改めて実感する。生々しい演奏を体験できて本当によかった。ライブバンドなんだよな、ビートルズは。
この後、アルバム「ゲットバック」は完成せず、「アビーロード」のレコーディングを経て解散することを知っているので、いろいろと思うことも多い。「I've Got A Feeling」でのジョンとポールのかけ合いに切なさを感じ、「Don't Let Me Down」の歌い出しに少し涙ぐんでしまった。本当に素晴らしい演奏だった。欲を言えば上映時間をもう少し長くしてほしかった。もっと観たくなる。
って最終的にディズニープラスで全編を観てねってことか!うまい誘導だなチキショー!