ドント・ウォーリー・ダーリンのレビュー・感想・評価
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日本にも根付く男性社会
俳優としても活躍するオリヴィア・ワイルド監督作品。かなり不穏な作品だが、女性と男性とでは鑑賞後の思いがそれぞれ異なるかもしれない。本作は主婦である主人公の目線を基本としているが、旦那を愛し、豪華な食事と豊かな愛情表現で日々を過ごす、何とも幸せそうな夫婦像である。だが、その中にちらほら見え隠れする異変。それは近隣住民の不可解な行動にも現れ、次第に主人公にも襲い来るのであった。サランラップで顔をぐるぐる巻きにし、芸人顔負けの潰れ顔を披露したりなど、奇行を全力で演じるフローレンス・ピューの演技に圧倒されつつ、幸せすぎるその生活が不自然に思えてくる展開は中々怖い。本作、説明しようにもネタバレ部分を通過してしまうため、文章が非常に難しいのだが、ジョーダン・ピール監督作品よろしく事前知識等は無いままで鑑賞するのがベストだろう。
視覚的な暴力表現等は無く、不気味すぎる幸せという背筋が寒くなる不穏さが最大の売りの本作だが、どんなに長くても3時間程度という映画作品で描くにはやや説明不足な作品な気がする。豪華なキャストなのもそれを物語っており、どうせなら全員の物語も見せて欲しいとさえ思ってしまった。ここで描かれるのは日本人を含む社会が「当たり前」だと思っていた事に対する風刺だ。そこには人間のエゴからくる希望的観測だったり、支配欲だったりなど、人間の怖い部分が後半で怒涛の如く明かされる作品である。鑑賞後、「ドント・ウォーリー・ダーリン」というタイトルに込められた皮肉っぽいメッセージを感じ取れるか否かで、全体の感想や評価も変わってくるだろう。
うーん…。 マトリックスのニ番煎じというか、、。 物足りない感が。...
いつまで続けるつもりだったのかしら?
オリビアワイルドの怒り
年代も場所も謎のまま、カメラもグルグル回って
気持ち悪い夢の中にいるような錯覚から物語は核心へ。
妻は旦那の所有物じゃないんだ!と言う
オリビアワイルドの怒りが伝わって来ました。
謎が解けて来ると、だからこの時代設定なんだ、
この街なんだと言うのが分かって、気持ち悪いけど
気持ち良い。
男性優位の男が働いて、女は家にいろと言う息苦しさを
演出とフローレンスピューの演技がよく表していた。
男である自分も圧迫感で気持ち悪くなった。
始まりはオリビアワイルド、チャレンジし過ぎじゃない?考え過ぎじゃない?と思ったけど、
ブックスマートと言い、女の子の味方と言う視点は
一貫してるなと思いました。
フローレンスピューも凄まじく魅力的で
作品を見る度に好きになって行きます。
愛と偽りの理想郷
誰もが幸せな暮らしを望んでいる。
例えば、1950年代のアメリカのホームドラマのような世界。広大な土地に抱かれたのどかな町、綺麗な家、理想的な夫…。
何もかもが完璧な暮らし、人生。理想郷。
…が、映画で描かれる理想郷には必ず“何か”ある。
若妻アリス。
ハンサムで優しい夫のジャック、穏やかで幸せな毎日。隣人らとパーティーもしょっちゅう。
まさに人生の勝者。ここは、“ビクトリー・タウン”。
やたらとチュッチュチュッチュ、イチャイチャ、延々幸せを見せつける序盤のままだったら即停止ボタンを押していただろう。
が、何処か異様な雰囲気も感じさせる。
空っぽの卵、謎の地震…。
スピーチ好きの町のリーダー格夫婦の何処となく漂う胡散臭さ。
そして、この町に住む4つのルール。
1つ、夫は働き妻は専業主婦でなければならない。
2つ、パーティーには必ず夫婦で参加しなければならない。
3つ、夫の仕事内容を聞いてはならない。
4つ、決して町の外に出てはならない。
どう考えても“何か”ある。幸せそうに見えて、何処か居心地の悪さを感じる。
アリスは当初は満ち溢れる幸せいっぱいだったが…。
ある日、気晴らしにバスに乗って外出。
その時、丘の向こうに飛行機が墜落するのを目撃。が、運転手は何も見てないという。
アリスは墜落現場に助けに行こうとするが、運転手は拒否。
アリスは歩いて向かう。
その丘は、立ち入り禁止の場所。丘の上に、謎の建物。
この時も、以前からもちょくちょく覚えのない奇怪な記憶がフラッシュ。
アリスは気を失う。暗転。
目が覚めると、家に。
ジャックに話すも、全く聞き入れてくれない。それどころか、飛行機の墜落なども無い。
ジャックだけではなく、住人皆知らぬ存ぜぬ。
不可解さを感じるアリス。
その日から、アリスの周囲で異常な出来事が…。
一度町の外に出た事ある隣人奥さん。以来、ヘン。
ある日、彼女が自ら首を切るのを目撃する。と同時に、突如現れた謎の赤服男集団に連れ去られるのを目撃。
が、またもや誰も信じてくれない。
必死に訴えれば訴えるほど、異常者扱い。医師の診察を勧められる。
愛する夫すら信じてくれない。しかも、夫主役のパーティーでの一幕だった事から、激しく責められる。
幸せな暮らしが少しずつ壊れていく…。
私がヘンなのか…? 私が狂っているのか…?
やがてこの町の真実が明らかになっていく…。
見始めの印象やあらすじから真っ先に思い浮かんだのは、『ステップフォード・ワイフ』。未見だが、MCU配信ドラマ『ワンダヴィジョン』。それから『マトリックス』にシャマランの『ヴィレッジ』…。
ここまで挙げれば察しは付く。
夫を説得し、町から出ようとする。
が、町に留まりたい夫は土壇場になって裏切る。激しくは後悔…。
やって来た赤服男集団に連れ去られるアリス。
何処かの施設に隔離され、電気ショック治療。
その時フラッシュバック的に思い出したのは…。
時代は1950年代ではない。現代。
貧しい暮らしのアリスとジャック。
ジャックは無職で引きこもり。病院勤めのアリスが家計を支えている。
生活の為に丸一日働きづめのアリス。クタクタで帰ってくるも、夫は家事を一つもせず。夕食や性欲をねだってくる。
夫婦仲も冷えきっていた。
ジャックはネットであるサイトを見つける。
それは、バーチャル世界で夢のような理想の人生を送る事が出来る…。
アリスを眠らせ、バーチャル世界に参加。
今の悲惨な暮らしから脱却する為。妻や幸せの為。
全ては愛故。
電気ショック治療で“普段”の暮らしを取り戻す。
が、ある事をきっかけに“本当”の人生と自分を思い出し…。
女優オリヴィア・ワイルドの監督第2作目。
前作の青春コメディから一転、異色のサイコ・スリラー。
前作『ブックスマート』は絶賛されたものの、今回は興行・批評共に不発…。一発屋との声も。
まあ確かに優れた傑作とは言い難い。話や設定も既視感あり。よくよく考えれば、ツッコミ所やシュールでもある。ラブシーンもくどいくらい多い。
この世界を創ったのは誰…? 黒幕は…? 謎めいたのが本作の狙いなのだろうが、ちと消化不良…。
しかし、古き良き時代を再現した美術や衣装、白昼夢を見ているような映像、音楽も不穏なムードを高め、ラブストーリー×サスペンスの一筋縄ではいかない作品を創り上げた手腕はただの一発屋ではない。今回の不発で終わらず、女優業と並行して次の監督作は…?
あちらの作品でもこちらの作品でも異様なコミュニティで精神を追い詰められる。その迫真の演技、肉感的なボディやファッションに身を包んだ、さながらフローレンス・ピューSHOWでもある。
ハンサムでありつつ陰滲ませるハリー・スタイルズ、一際インパクト放つクリス・パインやジェンマ・チャン、ワイルドも女優として参加し、一癖二癖の住人ワールド。
愛故…と言えば聞こえはいい。
その愛も偽りだったのか…?
ひとえにそうとは言い難い。
が、独り善がりの欲でもある。
夢破れ、満ち足りぬ人生を送る世の夫たちの願いを叶える。古き良き、尽くす貞淑な妻は時代遅れの愚考。
そんなバカ男どもに反旗を翻す、本作もまた今の世に沿ったテーマ。
私の人生よ! 私の人生を返して!
確かに現実世界は働けども働けども幸せにはならず。それでも“私の人生”。
理想的で夢のような暮らしだが、偽りの世界。私の人生じゃない。
ラスト、アリスは選択を決める。
もし、あなただったら…?
幸せな夢を見続けるか、
自分の人生を生きるか。
タイトルなし(ネタバレ)
ブックスマートで長編監督デビューを飾ったオスカーワイルド、長編監督2作目。
何もかもが完璧に見えた理想郷で次々に起こる不可解な出来事。赤い飛行機の墜落をきっかけに、主人公の中で眠っていたはずの深い記憶が目を覚ます…。
☆☆☆
フローレンスピューがブチ揚げる、反撃の狼煙。閉鎖的な空間でガチガチに繋がれたジェンダーロールの鎖を断ち切り、己を自由意思の世界へと解放しようとする。
そこには我慢も苦痛も犠牲も夫もいらない。
必要なのは、現実に立ち向かう勇気だけ。
まごうことなきフェミニズム賛歌である。
☆☆☆
描かれるテーマはあまりにも明白だが、細かい設定やキャラ描写にはいまいち分からない部分も多い。
・赤い飛行機は何?
・フローレンスピューはログアウトした先で結局どうなった?本部はなんなんだ
・フランクの妻は結局何?背景が見えずよくわからない。
・赤い服の男たちも設定の説明欲しい
衣装などの美術も素晴らしかったが、配信ドラマでもよかったような、、、「フランク妻の過去は配信ドラマシーズン2にて」的な。シリーズ化ありきの配信ドラマなら、あのラストも完璧なクリフハンガーになりえたのに。
そして男たちは結局、仕事と昇進の話しかしないのな、、、
本国ではゴシップばかりが目立ったのが残念。
余談にはなるが、夫婦間の行為も、あのディストピアでは終始男性優位だと言ってるラジオ聞いて確かに、、、と腑に落ちた。
20年前のSFで見た
いやーこれはこれは…満員だったけど、ちょっと期待しすぎた。
2時間が長すぎた。
前半は優雅なセレブたちの日常が延々と続いて眠気がすごい。
変わり映えもしない愛してるイチャラブシーンが長すぎる。
日常描写に稀に挟まる不穏なシーンでのBGMは良かった。
歌というか人の声だけで作られる不穏なBGMがとても気味悪くて合ってる。
映像は前衛芸術感でストーリーとの繋がりが弱く微妙だけど。
真相からのこれからだーと思ったらあっさり終わった…。
真相の既視感すごいしツッコミどころが多い。
(こんな男たちが介護と仕事両立できないだろうとか、
妻隔離して周囲は何も言わないのかとか)
フェミニズムがテーマとあるけど今の時代でそれ…????
あらゆる意味で浅くてテーマすら軽く思えた。
終盤の昔の高級車でカーチェイスやりたい感がすごい。
このテーマでそれいる?
フランクの妻も最後に現れるかと思えば何もなし。
不穏なBGMと監督が演じたメアリーは良かったけど、
20年前のSFという印象で色々な意味で浅くて古く感じた。
分かり易いのがプラスにもマイナスにも
王道な映画でした
結構ストーリー命なところがありますが、マトリックスとか、トゥルーマン・ショーなど似た設定がフラッシュバックするので驚きとかはなかったですね。
綺麗で印象的な映像が多く、サウンド、ダンスもふんだんに使用されていて映画としても王道という印象でした。
前半の教祖的な雰囲気は、宗教とかネットワークビジネスを感じました。
後半は現実では無能な男が女を家に閉じ込めるという感じでしたが、アメリカでもそういった感覚があることを改めて思い知りましたね。
まあ見ても見なくてもという感じでした。
良質のスリラー映画
【鑑賞のきっかけ】
本作品は、予告編の不穏な雰囲気に興味を惹かれ、劇場鑑賞を決めました。
【率直な感想】
<違和感のある空間>
主人公アリスは、夫と優雅な生活を送っていた。
ところが、あることをきっかけに、悪夢とも幻想ともつかないものを見るようになっていく…という、いわゆる「スリラー」映画です。
アリスの暮らす町というのは、同じ企業らしきものに勤めている人たちの言わば、社宅。
社宅と言っても、日本のような集合住宅ではなく、庭付きの一軒家が並んでいる。
毎朝、その家の夫は、妻が見送る中、乗用車を運転して、出勤していく。
アリスを含め、家に残っている妻は、専業主婦らしく、家事をこなし、余暇はダンスを習ったり、隣近所の奥さんと会話をしたり…。
私が、この世界に最初に感じた違和感は、「スマホ」がないことでした。
電話は、旧式の有線のダイヤル式のもの。
そういう目で見てみると、使っている掃除機やテレビも何だか古めかしい。
時代で言うと、1960年代くらいの風景です。
そこで思ったのが、妻たちが全員、「専業主婦」ということ。
現代なら、例え夫が高収入でも、妻が働きに出るというのは珍しいことではありません。
これも、1960年代だから?
ストーリーは、どこを紹介しても、ネタバレになってしまうので触れませんが、主人公アリスの前に現われる事象がとにかく奇妙なものが多く、彼女のいる世界にはどんな秘密が隠されているのか、という興味で、物語にどんどん引き込まれていきました。
その「秘密」というのは、それほど斬新なものではないけれど、2時間という物語を十分に引っ張っていくだけの魅力に満ちた作品だと感じました。
【全体評価】
大抵の映画がそうなのですが、物語が終了すると、タイトル「Don't Worry Darling」が画面に映し出されます。
それまで、タイトルを余り意識しないで鑑賞していたのですが、物語の全てを知ったうえで、このタイトルを見ると、妙に納得してしまうのですよね。
そんな意味でも、印象的なスリラー映画でした。
ディストピアかユートピアか
ずっと謎に包まれてるそのユートピア
オチのトリックにはなるほど、
いわゆる.hackか、と。
判子のように型にはめられた幸せな生活か、
苦しくも自分の生きがいを感じれる現実か……
男が見ていた世界はどんなふうだったのかも気になる…
男性の求める理想と女性の求めていた現実には、
こうも隔たりがあるのだと突き付けられた。
全て知ってそれでも、その世界を選んだ友人だけが、
あの理想世界で唯一の現実の友だったのだなぁと、
ここまで極端ではないけども、AIやメタバースが進む未来。
いつか同じような事をする人が出てくるかもしれない。
そうなった時、自分はどっちを選ぶだろうか。
鏡の国のアリス
新しいガラスの天井系映画。男性社会の批判に留まらず、考えさせられる現実社会の闇とアメリカという国の栄光とされてきた過去が如何に歪んでいたか。
オリヴィアワイルド自身も反映させているのかな?と思わせる内容に、女性視点ではgood👩🍼男性が見たら不快かも
不思議の国
ジェンダー版トータルリコールですか。
作り物の世界で古きアメリカの良い家庭ごっこをやらされていることに気付いてしまった人の悲劇です。
これだけのことが出来るのなら人を愛する気持ちもコントロールさせられそうです。
どうなるどうなる、と。
見所満載
真上から撮ったバレリーナな妻たち、『デスパレートな妻たち』みたいな住宅街から規則正しく車で出社していく夫たち、立ち入り禁止の岩山…とてもビジュアル凝っているので、映画館で観てよかったです。
『ワンダヴィジョン』『プリズナーNo.6』とかに似た綺麗な不気味さがあります。
音楽も、童謡の「♪パジャマでおじゃま」みたいな変な曲がかかります。
最初の飲みの場面で、まだキャラたちをこちらが把握してない段階で男性2人がキスしてましたがそれっきりだったので、多分この世界は男が支配し、女は専業主婦に徹するしかないつくりなのでゲイはいないのでしょう。
フローレンス・ピュー、現実では医者っていう設定を病院送り中に明かされると、「え?自分で自分を手術してんの!?」って いらん勘違いしそうになるから、別の職業の方が紛らわしくないんじゃないかと。
メタ社みたいのがもっと無理強いとかなしにVR理想世界に住まわせてくれる未来になったら なしじゃないかもとも思いますが、今んとこダメ。監視社会だし。
カーチェイス、乗り切り方が、突っ込むとかじゃなく安全のため急ブレーキを踏む っていうのがなんかおもしろ!
ところで登山をしていると、なんでジグザグに登らないといけないんだろう?もっと頂上へ直線的に道が通ってれば短い道のりで登りきれるのに、と思うことがありますが、ラストの岩山では、追手たちがそれを実践してくれました。
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