「メノーシェとハンナ・シグラを濃厚に楽しむ室内劇」苦い涙 talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
メノーシェとハンナ・シグラを濃厚に楽しむ室内劇
ひたすらメノーシェの演技を楽しむ映画でした。なんて濃厚で暑苦しいこと!才に恵まれ映画監督として成功し傲慢で愛に飢え涙をポロポロこぼす太ったペーター。写真でしか知らないファスビンダーにそっくり。可愛くもあり情けなくもあり笑わずにいられない。本人は深刻なのに周りはクールというか距離感がある。ママ役の、これまたふくよかなハンナ・シグラが息子ペーターを慰める姿と横顔はきりっとした鼻筋と強さがあって「マリア・ブラウンの結婚」のシグラであることにとても驚いた。
ペーターの衣装も楽しめた。ガウン、白のスーツに白のネクタイに濃い茶のシャツ、南ドイツの民族衣装の革半ズボン、赤シャツに黒革のジレ。70年代でドイツでファスビンダーだった。
アパルトマンの中庭から向こう側にケルン大聖堂が見えた。台詞はフランス語でも地名やカールや時折入るドイツ語のおかげで70年代ドイツ(だと思う)の雰囲気に浸ることができた。
「死は愛より熱い」と書かれたポスターには笑えた(この文句はファスビンダー監督映画「愛は死より冷酷」の単語入れ替え遊び)。
talismanさん、温かいコメントありがとうございます。
ファスビンダー作品もオゾン作品もほんの数作しか観ていませんが、この作品はとても面白かったです。映画監督は、ある意味ワンマン気質で独善的にならざるを得ないし、公私共に拘りを明確に持たないと良い映画は撮れないものです。内容面では円熟期にあるオゾン監督が大人の視点で冷静に演出していますね。特に舞台装置とそのデザインの美術感覚、センスの良い衣装の色の統一感が素晴らしいと思いました。それと役者の演技が演出と噛み合っているのには驚きました。演劇、脚本、演技、撮影、美術の其々の観点から楽しめる、センスの良いフランス映画ですね。
今晩は!この方幅広い役をやられると書いてあったので関連作品を見てみたら、な、なんと!ポーはおそれている、理想郷、悪なき殺人、に出ていたんですね、しかも主演!全部観たのに、あの人!と記憶戻ることなく、軽く観た事ある程度でこの映画を観てました(笑)
私の役者の見方の甘さに自分で呆れてました(笑)
マルシア・ハイデ
いま動画をいくつか拝見!
Wikipediaも調べましたが、ブラジルの彼女のバレエはアクトレスとしてのスピリットを存分に活かしますねー。素晴らしいな♡
とにかくラテンの血が騒ぎます(きりんもラテンの血が欲しい笑)。
本作のピーターの恋人アミールはバレエはやらないんだろうか?あの美しい体躯からは踊る姿が見えてきました。
tallismanさんご紹介ありがとうございました‼️
ファスビンダー監督のペトラ・フォン・カントの苦い涙(1972)を現代風にアレンジ・・・はちらっとみましたけど、スリーディグリーズの苦い涙を歌いたい衝動を抑えられませんでした