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映画「わが青春つきるとも 伊藤千代子の生涯」 わが青春つきるとも 伊藤千代子の生涯
劇場公開日:2022年4月30日
解説
24歳の若さで命を落とした昭和初期の社会活動家・伊藤千代子の生涯を映画化したヒューマンドラマ。1925年、日本政府は治安維持法を制定し、思想言論弾圧は激化の一途をたどった。東京女子大学に入学した千代子は大学内の社会科学研究会結成に参加し、科学的社会主義の理論を学ぶ。故郷・長野で製糸工場の大争議を通じて労農党の浅野晃と知り合った千代子は彼と結婚し、共に大争議を支援。労農党は初の総選挙で大躍進を遂げるが、1928年3月15日に大弾圧が行われ、千代子も検挙・投獄されてしまう。獄中のリーダーとして戦争に反対し志を貫く千代子だったが、刑務所での非人道的な扱いや、同志でもある夫・浅野の変節を知ったことで、彼女の身体と精神は徐々に蝕まれていく。新人女優・井上百合子が主演を務め、「花筐 HANAGATAMI」の窪塚俊介が千代子の夫・浅野を演じる。
2022年製作/125分/G/日本
配給:ゴーゴービジュアル企画
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伊藤千代子のことはよく知らなかったが、この映画で少しは知れて良かったと思う。映画を作った人たち、この映画を全国に広める活動をした人たちに敬意を表したい。労働者を守る法律もない時代に女子大生から労働争議、入党へと至る過程は、後で治安維持法の犠牲になることを考えると、痛々しくも見えてくるが、こうした先人たちの命をかけた戦いがあったことを私たちは忘れてはいけないだろう。転向した上に翼賛作家になり、戦後まで生き延びる夫は情けなくも見えるが、彼も命をかけていたわけで、今日のわれわれは誰も責められない。再び自由にものが言えなくなりつつある現在の日本への警鐘となった映画である。
2022年8月19日
Androidアプリから投稿
現代の戦争は国家の総力戦と言われますが、挙国一致で聖戦を遂行するためには、思想の多様性など認めている場合ではなかったのでしょう。
それだけに「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないよう」(憲法前文)今は充分に多様性を受け入れる社会になっているでしょうか。評論子には、そんなことに思いが至った一本でした。
著名な俳優さんの出演はありませんが、それでもキャストの皆さんが一生懸命な役を演じていることが画面から伝わる一本でもありました。
2022年6月22日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
幼い頃に観たトラウマ級の映画『小林多喜二』には及ばないけど、思想弾圧の恐ろしさを再確認できた。思えば、特高による拷問の実態を知ったのも小林多喜二の映画だったが、この伊藤千代子の作品はそれをオブラートに包んだような印象だ。もうちょっと痛さが伝わってくる残虐性があってもよかったのかもしれません。3年前に観た『金子文子と朴烈』の方が緊迫感があってよかったなぁ。
全体的には千代子の生涯を追った伝記といったイメージが強く、彼女のことを調査した苦労がよくわかる。ただ、映画としては回想録みたいなものより、彼女の生々しい部分が欲しいと感じた。
新人女優の井上百合子はかなり良かったし、最も感動出来た演技は竹下景子。さすが東京女子大学出身。凜とした態度で千代子像を語るところが一番の見せ場だったかも。
また、日本共産党の除名問題は厳しさを感じた・・・戦前のことなのに。拷問には耐えられないよ。個人的には眼鏡の子が好き。
2022年5月28日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:試写会
何も期待せず、むしろ睡眠休憩するつもりでお付き合いで行ってきました。結果寝ることすらなくあっという間の充実した2時間を過ごしました。
劇中の伊藤千代子さんの生涯の描写や熱の入った演技も引き込まれる出来であるのと同時に、その周辺の大正デモクラシーから昭和初期のぼんやりとしたイメージを「きっとこうだったんだろうな」と説得力のある細かいディティールに拘った描写に圧倒されました。
さすが戦前からの記録をもつ政党組織が全面協力してるだけある、と思わせる出来でした。
あと、劇中に「転向」したとされる2名のその後たどる人生を知ると、命懸けでこだわったイデオロギーって何なんだろう、と観賞後に考えさせられました。
「どうせ共産党だろ」と思わずに左翼映画ではありますが観た時間が無駄にはならない出来かと思いますので是非ご覧ください。