マイ・ブロークン・マリコのレビュー・感想・評価
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フラジャイルな彼女たち
直近で公開された〔やがて海へと届く〕に近似のテイスト。
それは
仄かに香る「百合」であり
止めようもない喪失感であり
{ロードムービー}らしい、移動と出会いを経た再生。
とは言え本作、内包しているテーマは更にずっしりと重く、
タイトルの「ブロークン」がダブルミーニングなのと同様、
鑑賞者の胃の腑をずしっと抉るボディブローに満ち満ち。
小学校の頃からの親友と思っていた『マリコ(奈緒)』の
突然の訃報に接し、『シイノトモヨ(永野芽郁)』には
やるせない思いと、やり場のない怒りが湧き上がって来る。
その状況から、おそらくは自殺と思われる友の死は、
なんで自分に一言無かったのか、との切なさと、
幼い頃から実の父親に暴力や性被害を、長じてからは
交際相手のDVに苦しむ『マリコ』を救えなかったとの自責の念。
それらが相俟った溢れ出す感情から、彼女の実家に押し掛け、
遺骨を強奪するとの暴挙に。
もっとも『トモヨ』にも、そのあとどうするとの計画性はまるでなく。
極めて直情的な行動で、あまりの唐突さに、観ている側も唖然とするばかり。
骨を抱えて彷徨う『トモヨ』は、嘗てほんのちょっとした話の流れて
『マリコ』が行きたいと言っていた場所を思い出し
(これが不思議なコトに、どうやら東北地方の海岸のよう)、
夜行バスと電車を乗り継ぎ、当該所に向かうも、
そこで味わう思いは、弱り目に祟り目とでも表現したくなるもの。
しかし、その結果として、感情の上では寛解を得るのだから、
散々に思える旅程もなかなかに捨てたものではない。
中途『マリコ』は折に触れ幻影として現れ、『トモヨ』と会話。
彼女が生きている時にも、
なんで同じような自身を破滅させるような男とばかり付き合うのかと
うざく感じたことを思い出したりも。
そうした自責の念もないまぜとなり『トモヨ』の心を締め付ける。
とは言え、それが外向けに、周囲への態度として現れた時に、
我々はあまりに共感できない、傍若無人にも映ってしまう。
『トモヨ』も、心を落ち着かせる為に、中学生の頃から喫煙をしていた
心の闇は持ち合わせていることを知ったとしても。
遺骨の奪取の場面では、軽やかに翔んで見せるものの、
次のシーンでは無様に地面に転がってしまい、
それ以外でも、主人公が地面に叩きつけられることは多いのだが、
度毎に不死鳥のように(笑)立ち上がる。
そのモチベーションが何処に在るのか。
全てのわだかまりが氷解する、最後のシークエンスは、
内容は明快には示唆されないものの、あまりに美しい。
とは言え、主人公の日常には、僅かな光明が見えつつ、
生き辛さが渦巻いていることには変わりがないのだけれど。
絆で結ばれた二人の女性を『永野芽郁』と『奈緒』が
高校生から演じるのだが、意外とムリ筋に感じない不思議。
とりわけ後者は、当年取って27歳のハズなのに、
なんとなく見れてしまう。
あ、そう言えば、この二人
「NHK」の朝ドラ〔半分、青い。(2018年)〕でも共演してたな。
なかなかに面白かった
Born Under a Bad Sign
予告編が素晴らしかったので、鑑賞してみたら
人はなかなか死なない
永野さん推しで見る。永野さんは弁当駆け込むシーンとかが上手い人。奈...
永野さん推しで見る。永野さんは弁当駆け込むシーンとかが上手い人。奈穂は、粘着質で危ないキャラは今回合っていた。それ以外はだめな人。雪国とか駄目だった。
吉田さんも良かったけど、何でこんないい妻がついてくるのか、物語に説得力がない。窪高は包容力と情けない感じの同居は彼にしかできない味。
最後の遺書を見せないのは原作もそうか?
主人公の特異なキャラの背景も全然見えない。
友情の物語なのがいい。
口が悪い、タバコ、お酒、鼻水
とことん役に合わない永野芽郁
観始めてすぐに「キャスティングが逆だ」と思うの。永野芽郁がマリコ役で、奈緒が友だち役の方が絶対にいいね。
でも『主演・永野芽郁』と『主演・奈緒』のどっちが売れそうっていうと永野芽郁だし、永野芽郁を助演にするなら主演は戸田恵梨香級じゃないとだけど、奈緒はそこまでいってないとかあって、永野芽郁が主演なんだろうね。
なので役が永野芽郁に合ってないの。ヤンキーっぽい役柄なんだけど、何をどうやっても永野芽郁にヤンキーは無理。子役はハマってるだけに、余計に、永野芽郁が役に合ってないのが目立つの。
そんな、生真面目な生徒がちょっとイキってヤンキーの振りしてるような芝居を観てかなきゃだからカッタルイのね。途中で何人か席を立ったけど気持ちは分かる。
でも、永野芽郁推しなら、その合わない役で奮闘する永野芽郁を観なきゃいけない。だから僕は観た。永野芽郁作品をコンプリートするんだという義務感で観ました。
そう思ってラスト近くまで来ると、シーケンスが良くてカタルシスがあるのね。それまでのカッタルさをちょっと忘れて、観終わった感じは悪くないの。これは脚本の向井康介さんが凄いと思う。
生きのばし
普段はなかなか公開日の朝に映画を観ることは無いんですが、面白いくらい目覚めが良かったので勢いそのままに鑑賞。
85分という短さに負けることなく、簡潔に物語をまとめ、起承転結もしっかりしていた良作でした。
内容をざっくり解釈すると父親に近親相姦、虐待を受けた過去のあるマリコ、そんなマリコがとある日自殺してしまった。そんなマリコの遺骨と共に思い出の地を巡る異色ロードムービーでした。
シイノトモヨのキャラクター像はとにかく荒ぶっていて、真っ直ぐにしか物事を見れない不器用さが漂っていました。そんな彼女が唯一信頼をおける相手・マリコの良く言えばピュア、悪く言えば面倒くさい性格と相反していたり、どことなく近い関係性なのも設定上とても良かったです。永野芽郁さんと奈緒さんの熱演が光っていました。そして両者の中学生時代を演じたお二人もお見事としか言いようがない演技でした。マリコとトモヨをそのまま小さくした感じが滲み出ていて思わずにんまり。
窪田正孝さん演じるマキオの胡散臭いながら実は見返りを求めない優しさがある人が作品に絶妙なスパイスを加えてくれていました。場面ごとに言ってくれる"大丈夫"が嘘くさくなく自然と出てきた言葉として、とても良いワードだなと思いました。終盤まで保ち続けた緩い雰囲気も素晴らしい。
残されたものとしての見方ではなく、生きているものとしてどう生きるか?という問いを投げかけられている感じでした。自殺してしまったその人の分も背負って。という考えではなく、その人に会うために生きるという価値観にとても共感できました。
思っていたほどのインパクトが無かったのは残念でしたが、テンポ良く進む物語はとても良いです。終盤の弁当を食べるシーンは食べるものが映ってないのに美味しそうに見えたのが最高でした。
鑑賞日 9/30
鑑賞時間 9:00〜10:35
座席 L-6
原作より解釈が明確になったラスト。
唯一の親友だったマリコの遺骨と共に
シイノが叶えようとするささやかな2人の夢。
面倒臭いと感じながらも
惰性や諦めの存在しない友情。
遺骨を盗もうとまで覚悟させる友情。
個人的には2人の関係が破綻しないまま迎えた
マリコの最期はある意味幸せだったのでは?
原作ではもう少し曖昧だったラスト。
映画版では少し具体的になり、
それにより解釈が180度変わりました。
シイノのその後の人生すら左右する
とても重要な事実。
それはマリコの死が自殺か事故か?
明確な理由は描かれませんが
遺書のような内容ならあの笑顔はない。
勝手な解釈で劇場版のラストも支持します。
貫くって大変なこと
ハードボイルドと呼ぶにふさわしい骨太さがある
永野芽郁が見せる荒ぶる魂に魅せられた。まず従来の演技とは目つきの鋭さが全く違うし、シーンを重ねるごとにヒリヒリとした摩擦が熱を帯びていくかのよう。それだけじゃない。上司の小言を受け流す。やさぐれ気味に煙草を吸う。着流しのコートとドクターマーチンの靴で突っ走る。酒場ではベロベロに酔う。挙げ句の果てに、彼女が小脇に抱えるのは、無二の親友の遺骨・・・。これはもう一言で表現するならハードボイルド。一方の親友マリコは”ファムファタール”と呼ぶにはちょっとニュアンスが違うかもしれないが、少なくとも主人公の人生を翻弄する”運命の女”である点は一致している。空が落ちてきそうなほどの曇天模様が全編を覆う中、旅を続ける主人公の心が時に大きく剥き出しとなり、かと思えば、躍動しながら少しずつ変貌を遂げていくこのひととき。タナダユキ監督が描くクセモノ揃いの人間たちの中でも、格別に熱い芯を持ったヒロインの誕生である。
シイノトモヨは二回跳ぶ
これはバディが不在の女性版バディムービーだ。永野芽郁が演じるシイノトモヨは、子供のころからの親友マリコ(奈緒)の遺骨(を収めた箱)を抱き、マリコがかつて行きたいと言った岬を目指して旅に出る。マリコは不在ではあるが、道すがらシイノが回想するシーンで、2人は確かに、共に生きている。
当然ながらロードムービーでもあるが、シイノの日常であるブラック企業の職場とのコントラストが、そうだよな旅って日常からの逃避であり脱出だよなあ、と当たり前のことに改めて気づかせてくれるのもいい。
シイノが跳ぶ場面が2回あり、それぞれ印象的であると同時に、作劇の上でも物語を跳躍(leap)させるはたらきを持つ。2つの場面でともに“水”が登場するのも偶然ではない。シイノが次のステージに進むためのイニシエーション(儀式)を象徴しているのだろう。
虐待されて育った女の子が、若くして死んでしまうという重い要素をはらむ映画だが、シイノの特別なキャラクターと永野芽郁の熱演、タナダユキ監督の誠実な演出によって、きっと観る人の心を軽くしたり希望になったりするのだろうなと信じられる好作になった。
案外死なない生きてる方は、永野芽郁の新境地が刺さる
「大丈夫に見え…ます。」奪われたモノを取り返すため、こっちは汚れてんだよと言わんばかりに駆け抜ける。死生観の揺さぶりを生きる側から、背中を蹴飛ばすような衝撃がたまらない快作。
マリコが死んだ。唯一の親友を奪われたように。85分に詰め込まれた疾走感と焦燥感がブワッとスクリーンから襲ってくる。大切な人を失った時に湧き上がる"悔しさ"が大きな原動力となり、拍車をかけていく。別に失ったこと自体が悔しいわけじゃない。抑えられもしない感情が湧く理由を探すような旅は、記憶を重ねていく度に心がジリジリと焼ける。
死生観を揺さぶってくる映画が好きなのだが、今作は特に生きる側の視点をふんだんに含んでいる。供養するだけじゃない、自分を照らしていく作業も同時に問われていく。シイノ自身出来た人じゃないことを分かっているから、その野蛮なヒロインさを感じさせる。マキオにもバックボーンの濃度が滲み出ており、その哀愁も堪らない。
今作の主演は永野芽郁さん。今までにない、タバコもふかす主人公にカッコよさと不器用さが溢れる。そして、奈緒さんがバシッと受け止めることで、友達の一言では片付け難い連帯の強さを随所で感じさせる。実際に手紙は奈緒さんが書いたらしく、それを永野芽郁さんだけが読んだ手紙もあるらしい。純たる強さが作品の核となり、死んだ人、生きる人それぞれに向けられた精算を問いかける。
また、幼少期のシイノを演じた佐々木告さんがホントに素晴らしい。「鉄オタ道子2万キロ」にゲストで出たときから気になっていた子役が、見事な演技でバックボーンを描いてくれる。カッコよくも幼く、群を抜いた演技力にたまげた。
タナダユキ監督自身も60分を切りそうと言っていた程、作品自体の疾走感とテンポが早くて見入る。だからこそ、もう少し観たかった気もする。凄く好きなテーマであり、監督の作品も好きだからこそ求めてしまう。早く話したい、凄く濃くてカッコいい作品だった。
親友っていいなぁ
永野芽郁の演じる性格の女性はよかったですね。 クソの父親に向かって...
きれいな字を手紙で残せる人になりたい
痛いな
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