「日本映画の逆襲」ALIVEHOON アライブフーン QLOSHIMAさんの映画レビュー(感想・評価)
日本映画の逆襲
とにかく面白い!
娯楽エンターティメントに徹した一作なんだけど、それが反対にイイ。
正直、ドリフトの詳しいルールを知らなかったので、面白いかどうか不安でしたが、見て5分でそんな不安は不要だと気づく。
映画を観ていて思ったのはシンプル・オブ・ザ・ベスト。
監督はテンポを落とすことのないストーリー展開とド迫力の激突シーンで、これまでにない日本映画の傑作を作り上げた。
特にカーシーンは下山監督作品「キカイダーREBOOT」のCG技術を駆使するのかと思いきや・・・
まったく使用しない!!!
全部、本物。
車は常に円弧を描くようにスピンするが、それをカメラが上から下から動き回って捉える。
飛び散る砂とコンピューターの計算では作れない生の振動がカメラに収められ、観ているものは一緒にドリフト体験する。(実はここがミソ)
しかも、そのドリフトの美しいこと、音楽のチョイスもMV出身だけあってエキサイティング!
ハリウッド映画でも音楽が違う感があってノれない時があるが、下山監督は絶対に外さない!!
そのクールな映像センスと音楽センスは間違いなく日本一の監督だから安心してイイ。
映像美と音楽、それだけでもこの映画は普通の映画の3本分の価値がある。
予算はおそらく信じられないほどかかったと思う。
あれだけの撮影をするのに、どれだけの期間と日数を要したかと思うと、それだけでゾクッとする。
先ほど『観ているものは一緒にドリフト』と書いたがが、ストーリーと重大な関係性がある。
主人公はゲーマー。
毎日、働いているが、人間関係を築くのが苦手でゲーム「グランツーリスモ」ばっかりして日本一のゲーマーとなった孤独な青年・大羽紘一。
その大羽の前に夏実という女性が現れる・・・
というもので、ここから先は自分の目で見て欲しい。
肝心な事は、家族関係や恋愛経験、過去の悲惨な話など不要な部分をまったく描かない。
つまり、観ている観客は映画を観たその瞬間から、主人公になれる。
主人公にどんな色付けをしてもいいのだ。
つまりこれはゲームと同じで主人公は『あなた』。
しかも、この映画の中で人間関係を作り、ルールやテクニックを学び、ドリフトのレースに出場して悪戦苦闘する中で友情や愛情を蓄積する。
一見、見所が多すぎて散々しそうだが、ストーリーを分かり易く設定することで、いっきに最後まで観てしまう。
なので、俳優はイキイキ演じているし、カーチェイス・シーンはハリウッド並みに大迫力。
終わった後は、爽快感と感動しか残らない!!!
これは下山天監督が新時代の若者に贈る最高のエンターティメント映画なんだ!!