「主役はD-1マシン」ALIVEHOON アライブフーン Masuzohさんの映画レビュー(感想・評価)
主役はD-1マシン
ドリフト
自動車の走法のうち
アクセルを踏み込み駆動輪を
空転させるか
サイドブレーキを引くことで
車体後部を滑らせて
内側に切れ込ませることで
コーナーで速度を落とさず
走り抜ける手法
元々レーサーのテクニック
だったが峠の走り屋出身の
土屋圭市氏がドリフトの
第一人者として
「ドリフトキング」
ドリキンとしてメディアに
広く知られるごとに
その激しいタイヤスモーク
等の魅せる走りに特化した
エンターテイメントとして
D-1GPが発足し
大きい声では言えない
マイカーを持ち寄っての
峠の同好会同然だった
ドリフト競技がついには
1000馬力のモンスターマシン
を操るエクストリームスポーツ
として今ではFIA公認競技に
認可されるに至り
世界中のファンを
虜にしている
今作はそんなD-1GPを
舞台としており
土屋圭市氏も監修
(確か今は運営を離れて
いたような気がするが)
D-1に参戦する実在選手も
撮影に協力している
でどうだったか
前置きしておけば
この手のクルマ系映画は
カーシーンさえしっかりしてれば
まあ大丈夫なのです
尺の75%以上カーチェイスしか
してなかった「バニシングイン60」
もそれで不思議と面白かった
その部分でいえばドローンを多用し
実際のカースタントでなめるように
躍動するD-1マシンを捉えたシーンは
迫力十分で圧巻でした
元々期待してなかった
シナリオ部分はまあアレでしたがw
そこに言及しますと
話としては
D-1GPチーム「アライブ」
チームオーナー兼ドライバーの
武藤亮介がレースで負傷し
ドライバーを見つけなければ
倒産必至のチームを救うため
娘の夏実が白羽の矢を立てたのが
eスポーツ「グランツーリスモ」
日本一の陰キャ大羽紘一だったのです
大羽は会社の上司葛西が亮介と
知り合いなのもあり葛西は
ゲームしか取り柄がない大羽が
変わるきっかけをとテストだけでも
させてやろうと思ったわけです
夏実は大羽の可能性を感じ取ると
ドライバーとして起用するよう
親父に掛け合いますが
ドリフトをなめるなとブチギレ
それでもテストを準備すると
作中のD-1チャンピオンの小林も
呼んで「お前かドリフトなめてる
ゲーム野郎は」と凄みます
あのね
この映画ってリアルのD-1と
eスポーツのグランツーリスモが
共通点があるよってのがテーマな
とこあると思うんですが
完全にゲームごときがリアルの
ドリフトより下!って決めつけてる
意識が作り手側にすごく感じるんです
大羽はもちろん適応して作中で
偏見を跳ね返すんですが演出が
完全にゲームを下に見ています
「ドリフト様のために
ゲームごときが役に立ちました」
的な図式になってしまって
いることに作り手も無自覚っぽい
そこに幼稚なシナリオに
感じてしまうわけです
そもそもね
ドリフトだって峠の走り屋が
公道でスキール音を鳴らして
普通のレース業界からも邪道扱い
されてきた歴史があったはず
でも土屋氏やいろんな人の
啓蒙活動もあって競技化して
いったわけじゃないですか
eスポーツと変わらないはず
それを忘れてませんかと
いきなり出来るやつがどこから
出てきたっておかしくない
グラスルーツから始まった世界
元eスポーツと同じはず
D-1チャンピオンならそのへんの
度量も持ち合わせているべきだった
と思います
そんなのがラスボスですから
映画のタイトルじゃないですが
フーンてかんじです
作り手がeスポーツなめてりゃ
世話ないです
実際シミュレーターの
チャンピオンがリアルコースで
レコードいきなり出したり
若手のF1レーサーなんか初めて
走るコースでもシミュレーターで
走りこんでいきなり10年以上の
キャリアがあるベテランと同等
以上のタイムを平気で出す
時代なのです
まあ作中で使ってた
グランツーリスモの挙動は
あまりリアルに感じたことは
な…いやなんでもない
とにかく主人公の大羽は
あまりに陰キャ過ぎて話を
展開を引っ張るパワーがなく
話はもうどうでもよくなってきます
だけどレースシーンがすごいので
それでいいやって映画です
大画面でバキーっとドリフト決める
D-1マシンかっこいいですよ
最初期のワイスピとかとは
また違った魅力がありました
映画としては1点くらいですけど
そこだけで2.5点くらいあげちゃえます
クルマの映画はそれでいいんです