劇場公開日 2022年8月19日

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「趣旨としては理解できるし、良い映画なのだけど…。」ハウ yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0趣旨としては理解できるし、良い映画なのだけど…。

2022年8月19日
PCから投稿

今年246本目(合計522本目/今月(2022年8月度)22本目)。
1日に見られる映画の本数って、5本くらいが事実上限界なのでしょうか…(開館時間、閉館時間を考えた場合)。
今日最後の投稿になります。

なお、個人的にには猫派ですが、それは犬を否定することを「意味しません」。

ここの特集、公式ホームページなどでも書かれている通り、主人公と犬のハウの交流の物語。「ハウ」という名前も「少し変」ですが、この理由は映画内でも開始5分ほどでその経緯が語られます。

ただそれだけで終わらないのがこの映画で(2時間近くあります)、犬がちょっとした不注意でいなくなり、いわゆる「ペットロス」(亡くなったと確定したわけではないが…)で落ち込む主人公と、迷って「ある場所」で主人公を思い続けるハウと(犬と猫とでは、犬のほうがこうした「人間の思いの理解」という点では長けているといわれます)のすれ違い、そしてハウは「迷った先」でいろいろな方と交流していく中で、実は「とんでもない」人と出会って…という趣旨のストーリーです。

もちろん「ネタバレあり」にして警告表示ありにしてもよいのだけど、スマホで見る方は押し間違いでも表示されるのであり、その観点で「ネタバレあり」であっても「ないように工夫してネタバレなし」で投稿するのを心がけています。

一方で私も行政書士の資格は持っていますので、映画を見て常に頭の中をよぎったのは民法・動物愛護法で、とにかくこの映画はこの点がキツいです。全部書くとネタバレになるどころかマイナススコアになる有様で、さすがに「そこまで厳しく言わなくてもいいでしょ」とは思うので、下記のようにしました。

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 ▼ 個々、細かい点の説明は省きます(法律を語る場ではないので)
  ※ 下記にあるように、減点1.6、加点0.4の減点1.2で4.0までにしています。

 (減点0.4) 最初のホームレスの方の救助がどうこうという話。確かに勤務先であるところとの関係では「ホームレスの方を助けていたので遅刻しました」は通用しませんが、一方でホームレスの方を助ける行為は事務管理にあたりますので、適当に「大丈夫ですか?」で散らばっているものを整理するだけでは不十分です。特にこの映画は主人公をはじめとする人が地方公務員であることを考えると、正しい処理は「福祉行政につなげる」「あるいは少なくとも警察・救急を呼ぶ」であり、この事務管理は明確に不十分に思えます(事務管理は報酬はもらえない代わりに、義務は多いのが特徴です)。

 (減点0.4 ※ この点は複数回に及ぶが、複数回減点するとマイナスにまで行くので一度限り) 上記のようなストーリーですので、ハウの「所有権」はかわらなくても「占有権」(所有権とは関係なく、「今」持っている人に占有権は移ります)はどんどん変わっていきますが、占有権は特殊な論点が多く、この映画でも適正ではない描写がいくつかあります(ネタバレ回避、占有訴権の論点など)。

 (減点0.4) 教科書にいたずら書き、それも名誉感情を害する行為は、民法上の不法行為をなすことは、もはや言うまでもありません。

 (減点0.4) 教会のシーン。ああいう行為は民法上も刑法上も問題があるのは言うまでもありません。

 (加点0.4) ただ、エンディングロールを最後まで見ると、「犬の撮影にあたっては、プロの監修のもと、負担の少ないように配慮して撮影しました」と表示されます。この点に関しては高く評価しました(同趣旨の映画、たとえば先週の「ねこ物件」でもこの記述はなかった)。
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 そうですね…。
犬が好きな方、また、公式サイトなどの予告でわかる範囲でヒューマンドラマなどが好きな方にはおすすめできるし、私も決して趣旨を理解しないのではないのだけど、「主人公が公務員という設定なのに適当な事務管理しかやっていない」など、妙な突っ込みどころが多くて、んんん???という展開は多いです(どういう「モラル」を想定してみたらよいか、よくわからなくなってしまう)。

 …といっても、私のように「ひねくれた」評価も少ないとは思いますが、やはり気になるところは気になるところです。

yukispica