劇場公開日 2022年4月22日 PROMOTION

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カモン カモン : 特集

2022年4月11日更新

「ジョーカー」ホアキン・フェニックス、狂気の次に
挑むは“初めての子育て” 年間ベスト映画TOP10に
選ばれ続けた、最高に幸福で、何度でも観たい感動作

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「俺の人生には、1分たりとも幸せな瞬間なんてなかった」――。ホアキン・フェニックスが主演した「ジョーカー」(2019)で、主人公アーサーがつぶやくセリフである。

同作から約2年を経て、彼は“対極”とも言える“本編108分間ずっと幸せな感動作”に主演した。4月22日から公開される「カモン カモン」だ。

フェニックス演じる主人公が、初めての子育てに向き合い、戸惑い、そして「人生で初めての喜び」を得ていく物語――。

ハリウッド・リポーター誌は「圧倒的な多幸感」と評し、プレイリスト誌も「ホアキン・フェニックスがきらめいている!」などと激賞。数多くの有力誌が、こぞって年間トップ10映画に選出した良作でもある。

なぜそんなにも高評価なのか? この特集では見どころを詳述するとともに、本作から“最も縁遠そう”な人間食べ食べカエル氏(@TABECHAUYO/熱狂的なホラーファン/Twitterフォロワー約16万人)のレビューを掲載する。


【予告編】 君の話を聞かせて

【最高に幸福な物語と、鑑賞してほしいポイント】
アカデミー賞常連の面々が紡いだ、あなたのための映画

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[ストーリー]突然始まった“おいっ子”との共同生活と、奇跡の日々――

ニューヨークを拠点とするラジオジャーナリストのジョニー(ホアキン・フェニックス)は、ロサンゼルスに住む妹が“重大な理由”で家を留守にする数日間、9歳の“おい”ジェシー(ウッディ・ノーマン)の面倒をみることになる。

好奇心旺盛で“少し変わった”9歳男児との共同生活。それは彼にとって、驚きに満ちたかけがえのない体験となる。それぞれ孤独や悩み――母との関係、自分のこれまでとこれから――を抱える2人は、時にぶつかり、そのたびに心の距離を縮めながら、新たな絆を見出していく。

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タイトルの意味がわかった瞬間、経験したことのない感情で胸がいっぱいになる。何度も観て、何度でも温かい涙を流せる感動作だ。


[期待で胸はち切れる]「ジョーカー」俳優×最注目スタジオ「A24」ד良作連発”マイク・ミルズ

このキャスト、製作スタジオ、スタッフの組み合わせ、しかもモノクロ映像という時点で、「観れば必ず素晴らしい体験ができる」という予感が湧き上がってくるだろう。

主演は「ジョーカー」で長い年月をかけて醸造された狂気が爆発するさまを演じきり、アカデミー賞主演男優賞に輝いた名優ホアキン・フェニックス。そして製作を手がけたのは、「ムーンライト」「ミッドサマー」「20センチュリー・ウーマン」など映画史に残る作品を連発している映画会社「A24」。

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さらに監督・脚本はマイク・ミルズ。自身のゲイの父をモデルにした「人生はビギナーズ」や、母をモデルにした「20センチュリー・ウーマン」など、自らの人生を重ねた物語を創出することで知られる名手だ。今回は、ミルズ監督が父親となったことで経験した“子育ての想定外と面白さ”にインスパイアされている(子どもを風呂にいれているときに思いついた物語だそう)。

ちなみに、なぜモノクロ映像なのだろうか? ミルズ監督は、カラーではなくモノクロで“奇跡のような瞬間”を映し出した理由を「日常から切り離して“物語”のなかへ導くため」と語っている。その真意は、本編を観れば感じ取れるはずだ。

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[ここがポイント]ホアキンが“狂気的作品”の次に選んだのは“心温まる感動作”だった

映画.comが注目した本作最大のポイントは、やはりホアキン・フェニックスの存在。「ジョーカー」の次に選んだのが、この「カモン カモン」だったという事実が何よりも興味深い。

出演の決め手について、フェニックスは「(脚本を読み)共感できる瞬間や感情がたくさん描かれていた」と物語に惚れ込んだことを明かす。彼自身は「息子や自分の経験と映画を関連付けて考えると、吐きそうになる」というが、2020年9月にパートナーのルーニー・マーラとの間に息子が生まれたことは、本作と無関係ではないだろう。

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一方で9歳の少年ジェシー役は、ハリウッドきっての演技派であるフェニックスと、全編にわたって相対する難役だ。抜てきされたのは新たな天才子役ウッディ・ノーマン。オーディションで圧巻の演技(しかもアドリブ)を披露し、ミルズ監督とフェニックスを絶句させ出演を勝ち取った。

撮影中はジェシーの役どころを完ぺきに理解したノーマンが、見事な熱演を披露。その完成度は、あのフェニックスが「自分は彼の演技を受けて反応するだけでよかった」と最高の褒め言葉を寄せるほどだった。ふたりの天才が見せるケミストリーをとくとご覧あれ。

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レビュー①:一番“縁遠そう”な人が観たらどうなる?
熱狂的ホラーファン・人間食べ食べカエルの感想は…

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心があたたかくなる物語だが、対極に位置していそうな映画ファンにも刺さるのだろうか? 検証するため、熱狂的なホラーファンであり、Twitterフォロワー約16万人を持つ人間食べ食べカエル氏に鑑賞してもらった。果たして、感想やいかに――?


筆者のツイッターアカウントをフォローしてくださっている方ならご存じかと思うが、筆者は大のホラー映画好きである。人が恐怖に怯えたりド派手に命を散らす様を見るのは楽しいし、怪物に食われるシーンがあれば満面の笑みを浮かべてしまう。

普段はそんな物騒な映画ばかりを時間の許す限り観ているのだが、色々あって今回は、全く人が死なず全く不穏でもない、でも何だか心に残る作品を鑑賞した。それが「カモン カモン」である。

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本作は、ホアキン・フェニックス演じるラジオジャーナリストのジョニーが、妹の頼みで9歳の甥ジェシーと生活を行うことになるというあらすじのヒューマンドラマだ。その日々の中で、自由奔放なジェシーに振り回されつつも次第にお互い打ち解けていく様が描かれている。

ホアキンが主演と言っても、自分の口を無理やり引っ張り上げて突然笑ったりはしない。今回は、子供と真摯に向き合う男を好演している。年こそ大きく離れているが、子供だから、大人だからという垣根を取っ払い、お互い一人の人間として腹を割って話す姿に心が打たれる。

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そんな本作最大の見せ場が、劇中に挿入される様々な子供たちへのインタビューシーンだ。ここは台本が用意されておらず、彼らが話すことは正真正銘のリアルな言葉である。

特に印象に残ったのが、父が逮捕されてしまった少年の話だ。彼はこう話す。

「父が逮捕されて刑務所にいる。毎日が大変な事ばかりだ。妹は現実を見たがらなかったけど、僕が経験したことは知ってほしくないし、考えてほしくない。責任を負うべきことが人生にはたくさんあって、急にそうなって対応できないときもある。でも責任を負うことに誇りを感じる。妹が大好きだから」

10歳くらいの少年がこんな事を話すのだ。自分が同じ年の時、そんなことは考えたこともなかった。ただ、「インデペンデンス・デイ」を狂ったように観ていただけだった。先ほどの少年の考え方も紡ぐ言葉も素晴らしいし、それを引き出したうえで丁寧に聞き取るジョニーの姿も美しい。これぞ対話映画の極致である。

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ストーリーの芯となるジョニーとジェシーとの対話劇も心に残る。とある出来事を機に本気で二人がぶつかるシーンは、特に泣かせる演出があるわけではないのに、なんだか泣けてしまう。相手を見て考えを言葉に出すことがお互いの理解に繋がる。それを映像で教えてくれる。

本作に劇的な展開や思い切り涙を誘うような演出は無い。でも、観ている内にじんわりとあたたまる。対話が人と人を結ぶというメッセージにグッとくるものがある。この物語は、ささくれだった心を少しでも癒してくれるはず。そんな効果があると思う。(人間食べ食べカエル)

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レビュー②:人生が流す涙を、止めることはできない
どうかしているくらい心に刺さる、希望と未来の物語

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最後に、映画.com編集部のレビューを掲載。2人の息子の父親である編集者が、本作を鑑賞して得たのは、強い共感と得も言われぬ情動だった。


●「クソ人生にようこそ」 人間関係の矛盾を最も感動的に描き、すべての人の強い共感を呼ぶ物語

筆者は2児の父だ。子どもは2人とも男の子で、まだ2歳と0歳ととても小さいが、数年後には本作のジェシーのように「パパはバカだ」とか生意気な口を聞いたり、YouTubeで仕入れた陰謀論を食事中にぶちかましたりするのだろうか。

そう思うと、くすくすと笑いが込み上げてくる。

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ホアキン演じるジョニーは、ジェシーにいろんな質問を投げかける。まるで砂の粒をひとつひとつ拾い上げるみたいに、長い時間をかけて。おじとおいっ子という、身内でもあり他人でもある絶妙な関係性で広がるコミュニケーションは、すべての世代の人々がどこか共感できる数々のセリフを生み出した。

例えば子育て世代の僕は、ジェシーの母親のセリフに、胸ぐらを掴まれたような気持ちになった。

「(ジェシーを)自分でもわからないくらい愛しているけど 同じ部屋にいることが耐えられないときがある」。真理だ。そうなんだよ、子育てのこの矛盾した感情と戦っているのは、僕だけじゃなかった。

「クソ人生にようこそ 誰にも分からない 子供たちにどう接するか やり続けるしかない」。これもクソ真理だ。

さらにホアキン演じるジョニーが、「あの子の面倒をみながら仕事するのはキツいよ 精魂尽き果てる」と力なく笑う姿に首がもげるほど頷き、心がふわっと軽くなるのを感じる。

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本作は普段は周りの目や道徳を気にして、「考えてしまうこと」すら気が引ける、しかしどうしようもなく生じてしまう“正直な気持ち”をも、綺麗事ではなくリアルに描出している。決して悲観的ではなく、時にユーモラス、時に感動的(かつウエットすぎない絶妙なトーンで)に、誰もが共感できる形で。

だからこそ、観る者の内側の大切な部分に届くのだと思う。


●人間は理解し合える? そんなの嘘だ 意外なメッセージが心揺さぶる

本作は人間関係の矛盾した感情を描きつつ、驚くほど意外性のあるメッセージを提示していく。それは「人は分かり合うことができるっていうけど、あれ、嘘だよね」ということだ。

自分の血をわけた子どもと毎日一緒にいても、お互いが何を考えてるかわからないのに、他人のことなんてわかるわけがない。だから、人と人は理解し合うことなんてできない。でも、それでいいんだ。と、この「カモン カモン」は言っている。

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これまで数々の感動作が「人は分かり合える」と手を変え品を変え繰り返し語ってきたが、本作はそれを真っ向から粉砕せんと挑みかかる。穏やかな会話劇からは想像がつかないくらい、凶暴で骨太なメッセージ――しかしそれが、僕を強く、強く揺さぶるのである。

メッセージの真意はなんなのか? それはご自身で本編を観て、確かめていただくとしよう。僕はラストシーンを目の当たりにし、どうかしているくらい感動してしまった。“自分の人生”が涙を流し、とめどなく瞳から溢れ出ることを止められなかった。

可能な限り多くの人に観てもらいたい作品――特に子育て世代は、なかなか時間が捻出できないと思うが、夫婦で交代して子どもの面倒をみるなど、なんとか工夫して鑑賞する時間をつくってみてほしい。

折に触れて観返したい“人生の一本”に出合えた幸運に感謝しつつ、僕は今日もまた保育園のお迎えに急いで向かう。(映画.com編集部)

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