マイ・ニューヨーク・ダイアリーのレビュー・感想・評価
全68件中、1~20件目を表示
穏やかな気持ちに浸れるウェルメイドな一作
ウェルメイドで、力まず、穏やかな気持ちにさせてくれる作品だ。作家志望のヒロインが日々の糧を得るためにニューヨークの出版エージェンシーに勤務する。そんな夢のような就職斡旋があるのかと目を疑いたくもなるが、少なくとも本作は自叙伝が原作。電話でサリンジャーと言葉を交わしたり、彼宛てのファンレターに目を通す任務を仰せつかるのも、これらは基本、事実に基づいている。すなわち主人公は、仕事の一環とはいえ、読者からサリンジャーへ向けて放たれた思いの丈を覗き見てしまうわけで、作家志望の人間にとってこれほど言葉が力強く躍動する瞬間と出会う機会もそうはないだろう。作家志望の彼女がサリンジャーではなく、むしろ読者の言葉に心を揺さぶられるというのが興味深い。なおかつ、長きにわたる人生の浮き沈みを経てきた女上司との絆も目が離せないところ。シガニー・ウィーヴァーがちょうどいい重石となって、映画に彩りを与えてくれている。
ジョアンナの自分探しはホールデンを投影してるのかな?こちらは最後に...
ジョアンナの自分探しはホールデンを投影してるのかな?こちらは最後に自分を見つけてサリンジャーに会うという結末
ちょっとジョアンナ本人も周りもジョアンナに厳しさが足りないような
伝説の作家と編集者
1990年代のアメリカの出版業界にタイムトリップできて面白かった。
実話小説に基づいているとのことだが、ストレスのたまる仕事とはいえ、アメリカ文学界の大巨匠に関われた主人公は相当な強運の持ち主だ。さらに、自分の知識を生かして巨匠の役に立つことができ、また、巨匠からも励ましの言葉を得られるなんて。だから、巨匠はファンレターを一切受け取らなかったけれども本当は温かい人なんだということを伝えたかったのかも。
俳優陣については、敏腕出版エージェント役のシガニー・ウィーバーさんははまり役だった。そして、主人公の女優さん。上背はあるのにとても痩せていてバレエができてキュートでオードリー・ヘップバーンを思わせた。調べてみたらニューヨークシティバレエ団にいたとのことで納得。さらに知的な感じはアン・ハサウェイっぽくもあって、ノスタルジックなファッションもとても似合っていた。最後に、セクシーだけどクズの作家の卵くんもはまっていた。BBCの「大いなる遺産」の主人公を演った人だった。久しぶりに見たけどやっぱりカッコよかった〜。^^
思ってたストーリーと違って全体的に穏やかだった
プラダを着た悪魔が好きで期待して観ると「あれ?なんだったの?」という感じ。
フイルムの質感や、レトロな家具や風情ある街並み、ヒロインのドレスはとっても魅力的で素敵だけど、
特に強いメッセージは感じなかった。
音楽も独特なものが多く、このシーンは何を意味してるんだろう?と思ったり、観る人の想像力や持ち合わせている文芸的な知識の深さによって、この作品の印象は大きく変わると思った。
文学的であり、物語の進め方にミュージカル的な要素を持ってきた。
「プラダを着た悪魔」と設定が近いところにある。
が、決定的に違うのは、プラダはお洒落なコメディで
こちらは文学的要素が入った成長物語です。
若者の夢は大きく広いが、
時に揺れ動き、志しを失うこともある。
実際に経験した原作者の揺れ動きを
一風変わった演出で問いかけてくる。
現実的ではないところは音楽的に処理し
現実的なところは落ち着いたカメラワークで見せた。
鑑賞後は何だかフワッとした気持ちになる。
凄い、とはいえないが、良い映画だと思う。
「ライ麦畑…」を読んでいると
入り込みやすい物語です。
※
23歳の女性が「ライ麦畑でつかまえて」的経験をする話し。
好感を持ちました。面白かったです。
手っ取り早く言うならば【自分探し】でしょうか?
主人公がインテリ女性の嫌らしさや自己顕示欲・自己主張が少なめ。
作家志望なのに良くいえば控えめなのも珍しくて
ジョアンナを好きになりました。
ジョアンナは23歳。
西海岸での恋人と別れてニューヨークで暮らしはじめる。
意外とすぐに老舗の出版エージェントに就職が決まる。
ボスは厳しいマーガレット(シガニー・ウィーバー=敵役で好演)
ボスは意外な弱さも見せるがコンピューターに敵意を持ってたり超頑固。
与えられた仕事はニューハンプトンで隠遁生活を送る
J・D・サリンジャーに届くファンレターを読んで、返事を書く仕事。
その文面は「サリンジャーはファンレターを読みません」という
にべも無い(ジョアンナ曰く、ボーシェ・・・クソ詰まらない)文面だが
手紙には必ず目を通すこと。
何故なら後々問題になるマーク・チャプマン(ジョン・レノンを射殺した犯人)
の様な考えの人物が混ざっていないか?
それをチェックする仕事でもあるのだから・・・。
「ライ麦畑でつかまえて」は2度ほど挑戦しています。
村上春樹の新訳本が出たときも読んでいるのですが、
純文学は苦手です。
頭になかなか入りません。(ミステリーの翻訳本の方が好き)
でもサリンジャーと聞くと血が騒ぐんですね。
多くの青少年が通過儀礼の様に
「ライ麦畑でつかまえて」
になぜ心を掴まれるのか?
その理由は、未だに謎です。
ライ麦を【親殺しの本】と喩えてある記事を読んだり、
ジョン・レノン射殺犯のマーク・チャプマンが
「ライ麦畑でつかまえて」の愛読者であった点。
しかし今一度「ライ麦畑で・・・」のあらすじ概要を読むと、
《社会の欺瞞に怒り純粋な生き方を試行するホールデン》
主人公のホールデンに好感と親近感を感じるし、《理解できる》のです。
うーん、そんな気がするんです。
ジョアンナが出版エージェントに勤務した1995年の1年間。
サリンジャー宛に来た手紙にある日、ジョアンナは返事を書いてしまう。
「教師からサリンジャーに手紙を書いて返事が来たら、国語にAが貰えて
・・落第から免れる」と書く女子高生に
ジョアンナの名義で返事を書いてしまう。
必死で書くファンレターにジョアンナは、いつしか生き甲斐を感じるのです。
その必死で書くなラブレター(?)には引き込まれる魅力があった。
「そんな誤った行動を戒める返事」
に激怒した女子高生は会社に乗り込んでくる。
「あんたのせいで、夏休みが課外授業に出るハメになったよ」
女子高生とジョアンナの身長差にビックリ。
シガニー・ウィバーと同じくらいあります。
以前に同様に返事を書いたアシスタント社員をマーガレットはクビにしている。
が、ジョアンナはクビにならずに、キャリアアップして、
出版をする案件になっている持ち込み原稿の担当になる。
出版可と判断された原稿の《出版元》を探す仕事を任されることになる。
マーガレットは、この原稿はどの方面の出版社が向いているかを考えて
決める仕事がジョアンナに任されたのだ。
つまりこの原稿は旅行記とか児童書とかエッセイとか古典文学のカテゴリーとか
判別してその方面の出版社と交渉するから【出版エージェント】なのらしい。
この辺りで、やっと出版社と出版エージェントの違いが分かりました。
女友だちと暮らしたアパートメントを出されてジョアンナは男友達と折半で
新しい部屋に暮らすことになる。
彼の即決した部屋は洗い場がない。
お風呂で皿洗いをする2人。
(暖房も流し台も無いような欠陥アパートが許可されるんだなぁ)
女友だちの部屋は洗面所に蓋のない便器が扉もない状態で剥き出しになっている。
(欧米人の感覚には到底付いていけないのである)
この映画の原題は「マイ・サリンジャー・デイ」
サリンジャーさんが30年近くも隠遁していると言うのも、
それほど厳格なものではなくて、古い本を自分の気に入った出版社から出す手伝いを
ジョアンナがしたり、
サリンジャーさんからは頻繁に電話が掛かってくる。
出版の打ち合わせにワシントンに平気で来たりもする。
サリンジャーさんは、作家志望のジョアンナに、
「詩は生命の糧・・・だから毎朝15分でも良いから書きなさい」と、
アドバイスをくれる。
意外と気の良い70代の男性である。
確実に成長して自分を知る目を養うジョアンナ。
マーガレットの下で働いた一年は人生のターニングポイントに
なったのでした。
ジョアンナ役のマーガレット・クアリーはかなりののっぽさんですが、
美しくて真面目で誠実なキャラクターがとても好感が持てました。
うーん、それでもやっぱりサリンジャーの書く文章が、それほど、これほど、
人の心を動かす魔力の一端は理解できたかなぁ?
ミステリーでないから、
「犯人はサリンジャーさんではないし、心を動かす謎は?謎のまま」
☆☆☆
原作は実在(1975年生まれ)の詩人で批評家で小説家でフリージャーナリストの
ジョアンナ・ラコフ。
「サリンジャーと過ごした日々」をサリンジャーの死後の2010年を待って
それから出版されている。
ヒロインを演じた女優が魅力的だった…
タイトルが気に入らない。内容をうまく表していると思わないし、やはりサリンジャーの名前は入れてほしかった。著者の自叙伝ということで、劇的な展開が起こるわけではないが、現実的な話だなと思う。仕事は言われた通りにやるのではなく、自分なりにこなす。お叱りを受けても、頑なに突っ走るのではなく、信念を感じさせる対処の仕方。上司や恋人との関係も自然体で、流されて生きている感じはない。そんなジョアンナを演じたマーガレットがとってもキュートだった。彼女の存在感がこの映画をより好ましいものにしていると思った。傑作ではないが、観終わった後清々しい気持ちにさせてくれる愛すべき一作。
孔雀
主人公に共感出来ない部分も多く、こちらから見ると短絡的な行動が多く何だかなぁと。ライ麦畑は頑張って読んだがよさが全く分からなかった。サリンジャー氏自体には興味があるが、彼女をどうして気に入ったのかよく分からないまま。同棲相手も最低だが、前の男との仲をうやむやにそんな男とすぐ付き合っちゃう彼女もなかなか。そんな彼女に皆んな優しい。
シガニーウィバーがとても良かったので星⭐️一つプラスくらい。
ざっくりしすぎていてぼやけている
作家を目指した主人公が、成長していく話。
なんでしょうが、どうも抽象的で。
サリンジャーをあえて映さず、言葉だけでいく箇所は。
いいなあと思うけど。
主人公の周りの人たちの話や、サリンジャーへの手紙を書いた人たちが。
いまいちピンとこなかった。
誰もが夢を実現できる訳じゃ無い
サリンジャー関連Peopleものです。真偽の程は定かじゃねーよ、なフィクションなんだろうし、かなり生々しさを避けてキレイな話にしました!な雰囲気じゃありますが、これは好き。
テンポは良いし、編集もソツが無いし、音楽も良い感じだし、画もきれいだし、共感を呼ぶキャラクターと、ちょっとだけヒールなキャラクターの作り方にも技巧を感じるし、物語りもそこそこに染みるし。
そうなんですよ。クオリティには何の問題も無いんです。ソツなくまとまりも良いんです。でもインパクトは無いと言う。
そもそも、肩の力を抜いて、ゆっくりと物語りを楽しむ、ココロに余裕のある方には、ちょうど良い佳作。ワタクシ、本日、多少ココロに余裕を欠いた状態だったので、少しだけ突っかかってみました。
客観的に言うと。
良かった。そこそこ。
等身大に描かれた主人公にただただ好印象
こういう成長物語って、とかく視聴後に背中を押されるような教示的な傑作も多くて、
もちろんそういう作品も大好きでたまに見返したくなる。
けどこれは、駆け出しの若手が揺れ動きながら一歩ずつ仕事もプライベートも歩む物語。
それでいいじゃない?
思えば自分の若手時代だって、あとから言えばあれがターニングポイントだったとか、あの努力が報われたとかあるけど、
その時の本人からすれば、答えのない手探り状態でもがくしかなかった…
そんな気持ちを思い出させてくれた感じ。
お金ないなりにニューヨーカーの矜持を感じさせる、ひてすら可愛い服の数々、街並み、、、
私の年代からあえて言えば、主人公をゆるく応援し続ける2時間の、癒し系映画でした。
なんだか棚ぼた感が満載なんだよなぁ
原題は 「マイ セイリング イヤーズ」
言うなれば風に吹かれるヨットのごとく、風次第であっちいったりこっちいったり。舵を切るスキルも、進むべき航路すら見えてないヒヨッコ時代のお話・・・ってことなのかな?私は英語苦手です、はい。
きっと自分探しストーリーなのでしょうが、なんだろな。あまり自我に目覚めてる感じしないんですよね。やったらできちゃった!みたいな。結構ラッキーが続いてなんとかなってしまった感じ。いらんことやっても、大きな問題にも糧になっているようにも見えないし、じゃぁ成功たいけんにおいて、自分らしく何かをやり遂げたんでしたっけ・・・・?それもピンとこない・・・・。
だからジョアンナ、、、棚ボタ人生やん!みたいな(笑)なんだか、風の具合が奇跡的によくって無事ゴールできましたとさ!って感じですね。
自叙伝
ジョアンナ・ラコフの自叙伝を映像化したもの。
サリンジャーファンなので観ました。私の持つサリンジャー像を棄損するのではないかと警戒していましたが、それはなかったので安心しました。
全体的にナルシシズムというか自己愛の横溢したお話でしたねえ。
主演のマーガレット・クアリー。筋肉ばった脚だなと思ったら、バレエをやってたんですね(終盤で開陳される)。道理で。
どれも中途半端なのに心に響いてしまった
「ライ麦畑でつかまえて」ってものすごく影響力のある小説だと思う。色んな物語で話題に上がるし、影響を受けたって人も何人もいる。周りにもいたいた。20代のときにライ麦好きなやつらの熱さにほだされて読んでみたが、全く共感できず失望した思い出がある。いや、10代のときに読んでいたら違ったのかも?なんて思ったが、そうじゃないのだろう。単純に自分には合わなかったってことだ。でも、この影響力はなんだ?と思ってしまう。何十年も若者たちに影響を与え続けるなんて、そんな小説は日本にない気がする。
「ライ麦畑で〜」は相当昔に出版された本だと思っていた(実際最初の出版は1951年!)から、本作の舞台が1995年だとわかって驚いた。主人公ジョアンナが勤めた出版エージェンシーでサリンジャーと関わるって話なのだが、出版後40年以上もたっているのに作者にあんな熱い手紙を送ろうとする人があんなに多いってことも驚いた。みんな熱意がすごい!
その手紙の数々に主人公ジョアンナがどんな返事を出したのかって話でなく、彼女が出版エージェントのスタッフとして働くのか、それとも作家として生きていくのかを突きつけられ苦悩し切り拓いていく話だった。そういう意味でサリンジャーがジョアンナにかけた言葉は影響力があったことがわかる。でもむしろ、レストランで紹介してもらった女性作家にかけられた言葉こそ、クリエイターとして生きようとする人たちに刺さるんじゃないかと感じた。逆にあのセリフを聞いてクリエイティブな仕事から身を引く人間がいてもおかしくない。それくらいに本質をついた言葉だった。
映画としては、恋愛ものとして中途半端だし、お仕事ものとしてもその後が気になる中途半端な終わり方だった。ウィキペディアでジョアンナ・ラコフを調べてしまったくらいだ。でも、意外と心に響いてしまった。いい映画だったななんて思ってしまってるんだから厄介なもんだ。
モラトリアム
思春期の気持ちが蘇る。若者はいつだってモラトリアムを満喫して延長したい。なかなか終わりを決められないし、決めたくない。そして何者かになりたいし、なれると思っている。
いまはもう忘れてしまったけどそんな熱い気持ちを思い出させてくれた映画。シガニーウィーバー 演じる編集長のパソコンに頼らずタイプライターを使うとかわたしが若い頃は良くも悪くもそのような自分ルールを持つ恐ろしい上司がいたな。自分はそうなれてないw
ライ麦畑でつかまえて 読み直しはじめた。サリンジャーがハプワースを出版したいと作中で言ってるのも気になった。20年経って読むサリンジャーは私にとってどう変わってるのかいまから楽しみです
マーガレットクアリー がかわいすぎた。
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