ケイコ 目を澄ませてのレビュー・感想・評価
全46件中、41~46件目を表示
ゆきのは目がいいんです。
会長役の三浦友和がインタビューに答えていう。
「ケイコは目がいいんです。」
岸井ゆきのを見ているだけで目頭が熱くなってしまって、どうしようもなかった。
荒川ボクシングジムを閉めることになり、松本(松浦慎一郎)がケイコにコンビネーションミット打ち練習の最中、突然止めて、トイレに駆け込んで泣く場面はなおさら。こんなに頑張ってきたケイコにもう直接関わることが出来なくなってしまうと思うと泣けてしかたない松本に共感してしまうから。渡辺真紀子が会長役のジムへの移籍を断ってしまうケイコに腹をたてるシーンも。松本も嘘のつけない人だ。
耳が聴こえない人がボクシングをすることの危険性や不利な点について、ハッとさせられることばかり。目覚まし時計のアラームではなく、タイマーで作動させた扇風機の風がアラームがわりで、早朝から起きて練習や仕事に行く。
おいらには無理。
出来ないなぁ。
すごい。
聴力障害者の指導を健聴者がすることは想像を絶する根気がいるに違いない。会長やトレーナーコーチたちも愛すべき、かけがえのない人たちだった。
ボクシングと手話の二つの試練を乗り越え、映画の主人公に憑依したかのように自然な演技が出来てしまう岸井ゆきのっていう俳優にノックアウトされて、もう、メロメロ。
ゆきのは目がいいんです・・・・・・
一人じゃないよと伝えたい
音の無い世界で生きる事を想像し、ボクシングと言う過酷なスポーツに身を投じることを想像して思った。
「俺には絶対無理」
更に思った。
「"健常者"社会から、自らを隔絶してしまうのも無理ないか」
周囲には、その孤独感が分からない。
だから「一人じゃないよ」と伝える努力が必要だと気付かない。
当人には、周囲の愛情が伝わらない。
抱え込む疎外感に、救いを見出す術を見つけられない。
からのですよ。
会長が、閉鎖が決まった無人のジムで。一生懸命に食い入るように見入っていたのは、自分が判定勝ちしたとはいえ、ボコられて辛い思いをした試合のビデオ。
これで伝わった。
岸井ゆきののセリフは、数回の「はい」と「うわぁ」と言う唸り声だけ。ほぼ無言劇。よって、映像表現勝負ですよ。良かったです。ほんとに良かったです。どこがってわけじゃないですけど、全部って言っても良いくらいに。
良かった。
とっても。
今年の「Bの鑑」は、これに確定ですw
挑む価値
彼女にしか聞こえない音があるのだろう。
何故、ボクシングなのか最後まで分からなかった。想像は出来る。殴り合う事自体がコミュニケーションであり、目や体は雄弁に語りもする。
感触、他人の感触が自分の存在を確かにする事もある。そういう事なのだろうか?
おそらく、ご本人は立派な人なのだろうと思う。
健常者からは分からない。やる価値がご本人にはしっかりとあるのだろう。
挑戦なのか、抵抗なのかは分からないけれど、並々ならぬ信念がないとなし得ない事だと思う。
それにどれくらいの価値があるのか?
他人からは測れない。
ましてや、普通の人とは感覚が違う。
彼女は彼女の世界を生きてるのだと思う。
「音」が聞こえないから。
それ以外の情報から、推察し構築するのだと思う。
…凄い世界なのだと思う。
静かな映画だった。
むしろ…静かすぎた。
この作品を無音で観たら、彼女の世界を少しは感じれるのかもしれない。
女子の四回戦って、あんなにプニプニでも成立するんだろうか?申し訳ないけど、ボクサーには見えなかった。
岸井さんが彼女を表現するには、飢えが足りなかったように思うし、ちゃんとボクシングをやっとかないと、この作品は手出しちゃダメだと思う。
彼女はおそらくボクシングが好きで、その理由が彼女の存在証明にも直結してるように思うからだ。生まれつきのハンデを背負ってる状態でもやれる。勝てる。私は何一つコイツらに劣ってない。
ハングリー精神の代名詞でもあるボクシングが、この作品にもたらす影響は絶大なのだと思う。
劇的な展開はないけど
淡々と進んでいきます。仙道敦子さん懐かしい。あの頃を思い出します。岸井さんも、いいですね、オモチャ屋の社長より断然こっちです。ミリオンダラーベイビー的な雰囲気がありますが、あちらのような悲劇的なラストにならないのも良い。対戦相手がちゃんと自分をリスペクトしていたことを知るラストも清々しい。
岸井ゆきのが、痛々しい。
16mm映画。荒い映像が懐かしい。
ケイコは、耳が聴こえないから目で聴くんだ。
感覚が鋭く。三浦友和がいいね。仙道さんも、落ち着いてきてる。手話の字幕もなんかいいね。
荒川地区の下町さが、いいね。ボクサーは、現場仕事の方々が多いから。ボクシングは、「相手を殺すつもりでやらないと勝てない」その通りだな。
いい作品です。
「一度休みたいです・・・」
丁度鑑賞した日が舞台挨拶日だったので、上映後の生岸井ゆきのは、ほんとに顔が小さいこじんまりとした女性であった そんな今一番波に乗っているであろう女優の主演作であるが、原作は未読であり、ある程度のインフォメーションは発表されてはいるが、聴覚障害の方に配慮したミニマルで、シンプルな作品に仕上がっていた 劇伴がほぼ抑えられていて、逆に街の雑多な生活音が強調された効果の上に、手話の字幕を何種類か試すことでそれさえも演出として表現されているところが大変上手く感じた
そして件の女優の"負けず嫌い"が遺憾なく発揮された演技に舌を巻く ボクシング、聾者と何もかも初体験の役柄であったと思う 高速ミット打ちはアドリブであったという発表に驚きを禁じ得なかったし、それ以上に今迄のコメディエンヌ的路線からの脱却、、、というと大袈裟かも知れないが幅の広い役柄への挑戦が余すところ無く表現されていた 周りを固める俳優も素晴らしく、特に三浦友和の演技には舌を巻く
作品そのものは原作の一部をフューチャーした構成となっているとのことだが、反則をした対戦相手が普段の土手でばったり出会い、挨拶をされたとき、その全てのモヤモヤが氷解していく演技には心打たれる 相手も又自分と同じ人間であったと悟るのであった 弟の彼女との打ち解け、そしてなにより、クラブの会長との心の繋がり、そのカタルシスを、しかし過度な演出無しで質素に表現する今作品は、静かだけど心を揺さぶる作品であった
全46件中、41~46件目を表示