「岸井ゆきのの矜持」ケイコ 目を澄ませて masamiさんの映画レビュー(感想・評価)
岸井ゆきのの矜持
はい。良く私のやんちゃレビューを覗きに来て頂きました。
唐突ですが私はボクシングマニアなんですね。何故ならば・・・
なにしろあしたのジョーとはじめの一歩を読んでるからね!
漫画かよ‼️
はい。早々に枕を切り上げますね。
ケイコは生まれつき音が聞こえません。
2020年12月23日から物語は始まります。目覚まし時計は役に立たないのでタイマーで扇風機を作動させて目覚めます。
ケイコは弟と同居しています。会話は手話。仕事はホテルの清掃係です。そして夜は下町のボクシングジムに通います。
淡々と日常が描かれます。そう淡々と・・・
特筆すべきはこの映画はいわゆる映画的な演出がありません。スローモーション、カットバック、フラッシュバック、有りません。さらにですよ・・・
音楽、効果音、もないんです。
当然ケイコも殆ど喋りません。ナレーションも有りません。
必然的に私達観客はケイコの表情、特に目の動きに注目するわけですね。ずっとね。するといつのまにかケイコの内面に入って行っちゃうんですよ。今までそんな経験はないんですけどね。
ケイコはいつも怒っています。弟やお母さんが手話で話しかけても拒絶します。お巡りさんやコンビニの店員にも怒っています。しかしボクシングジムで過酷なトレーニングをしている時だけは大丈夫。むしろ楽しんでます。
【注意】ここから少しだけネタバレ気味です。
ある時、ジムの会長(三浦友和)が身体を壊します。さらにジムの老朽化も進み、苦渋の決断でジムが閉鎖する事になりました。ケイコはジムの会長を慕っています。さらに次の試合も迫っています。ケイコの心は揺り動きます。どうする?
やはりボクシングはどつきあい。殴られれば痛いし、怖い。やめる?続ける?
終盤近くに河川敷でケイコに話しかけて来た人がいます。その後のケイコの表情が絶妙なんですよ。モノローグかナレーションが入りそうなところ。でもそれらは、ないんですね。
【注意その2】いまから本質的な事に触れるかも知れません。未見の方は読まない方がいいかも。
あのね沈黙は金ですよね、わかってます。言わぬが花とも言いますよね。あしたのジョーの主題歌が良いのは・・・
♩だけど、ルルルルー ルルルールールルルルー
ハミングかよ!尾藤イサオ歌詞忘れんなよ‼️
それでも言いたい。ケイコの気持ちを。
「あたいは小さい時からいじめられてきた。耳が聞こえないからね。音の無い世界は健常者はわかんないんだよ。安易な同情もうざいんだよ!
あたいは一人だった。今でも。だから、あたいはボクシングを始めたんだよ。ボクシングは団体競技じゃないからね。
ボクシングはあたいの性にあった。練習をしてれば、辛い事も忘れられるしね。いや最初はあたいを守る格闘技のつもりだったんだけどね。
ジムの閉鎖かあ・・・お母さんも言ってたし潮時なのかなあ・・・前の試合も・・・
でもね、今の人の言葉で考えが変わった!ボクシングって個人競技じゃない。会長さんやトレーナーさんとコミュニュケーションを取っている。なんなら敵だった対戦相手とだってコミュニュケーションしてるじゃん!
やるかやられるかだけどね。まあ同志なのかな。喧嘩じゃないんだよねボクシングは。なんかまた好きになったかもね。ボクシング。
どうしようかな?どうしようかな?
とりあえず走ろう。走ろう。
明日はどっちだ?」
岸井ゆきのは言ってます。ケイコは私だし、私はケイコだ。3ヶ月糖質制限して身体を作りました。
監督とスパーリングした時、監督はディフェンスしかしませんでした。当たり前です大切な主演女優を傷つける事は御法度。ゆきのは・・・
激怒!打ってこいよ!
ボクサーです。
僕さーボクサーなの。
ガッツかよ‼️
語りたい事はまだまだあるんですがきりが有りません。井上尚弥とかね・・・
あとねインスタで吉岡里帆とやりとりしてるのもホッコリ。吉岡里帆は目が見えない役をやったしね。
そろそろこの辺で・・・
OK牧場。
うるせえーー‼️
お付き合い頂きありがとうございました。
「ボクシングって個人競技じゃない。〜〜なんだったら敵だった対戦相手とだってコミュニュケーションしてるじゃん!」と言う、ケイコの想像モノローグが、すごく素敵です。
W三浦コンビ(友和、誠己)は最強!
&松浦さんっ!品質保証感がハンパないであります。
「百円の恋」「あゝ、荒野」「アンダードッグ」「BLUE」「レッドシューズ」「かぞくへ」、、
ボクシング映画名作だらけですよね
喋らずにいる方が人の複雑な
矛盾した心情を表現できている
ような気がします。
是枝監督の「誰も知らない」や
ケンローチ監督の「ケス」から
「家族を想う時」などなど。
極めつけは
新藤兼人監督の「裸の島」!
全編セリフなしなのに泣ける(T . T)
しかし、ゆきの氏は小河恵子として
小手先技じゃない体当たりの表現、
生き様を見せてくれましたよね。
凄いです。m(_ _)m感謝
ケイコの気持ち!最高です!
「明日はどっちだ?」!^_^;
元祖あしたのジョーから真心ブラザーズ、クリープハイプと名曲ぞろいですが、映画と言えば
この映画が代表になるかも。
セリフはないですが、もう
そうとしか聞こえないですよね。
実際は聞こえないのですが、
耳を澄ませば聞こえる。
「目を澄ませば」聞こえる!
そう感じました!
素晴らしいコメント!感謝です^ ^
岸井ゆきのって、去年、「恋せぬ二人」っていうNHKのドラマに出てたんですよ。
ゆきのは恋愛が駄目なんですよ。っていうか、いちいち男と女という単位で、解釈でモノを見たがる予定調和にめちゃくちゃ苛立っている。ゆきのは人間として存在したかったんだと思う。知らないけど。
で、セックスが駄目な男性と、世間の干渉を回避するため、カムフラージュとして同居するんですよ。
私、このドラマ好きでした。
そんなゆきのが、また、えらい「個」になったもんだなあと思いました。あんまり世間がうるさいんで聴覚なくしちゃたのかな?