オペレーション・ミンスミート ナチを欺いた死体のレビュー・感想・評価
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事実は小説より奇なりとはこのこと。
事前知識が全くない状況で鑑賞しました。
元々本作を鑑賞する予定は無かったのですが、観たかった映画の上映まで時間に余裕があったため、ちょうど上映していた本作もついでに鑑賞。
結論ですが、観て良かった!!凄い面白かったですね。
第二次世界大戦中に実施された、奇想天外な欺瞞作戦。「こんな子供だましが成功するわけないだろ」と誰もが思うような作戦に、大の大人たちが雁首揃えて頭抱えて挑む。そして(史実だからネタバレじゃないですが)作戦は見事に成功する。ユーモアがあって痛快で面白い!!
作戦とは関係ない恋愛描写が邪魔だったところが個人的に不満でしたが、それ以外はかなりクオリティが高くて面白い映画だったと思います。
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1943年、大戦で劣勢状態にあったイギリス軍は、地理的に要所とされていたイタリアのシチリア半島への侵攻を計画していた。しかしシチリアは既にドイツ軍によって占領されており、下手に接近すれば迎撃され、多くの犠牲が出てしまうことは明白であった。そんな中、英国諜報部によって一つの作戦が提案される。それは、軍人に見せかけた死体に「イギリスはギリシャ侵攻を計画している」とする偽造文書を持たせ、その死体を海に流してドイツ軍に発見させることにより、シチリアに配備されたドイツ軍の人員をギリシャ防衛に割かせるという突飛な作戦だった。
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本作で描かれる「ミンスミート作戦」は実際に1943年にイギリス軍が実行し、大成功を収めた軍事作戦です。成功するとは思えないあまりにも荒唐無稽な作戦ではありますが、入念な準備とシミュレーションによって見事にドイツを欺き、シチリアの奪取に成功します。
この映画の上映時間のほとんどは、作戦準備の描写に割かれています。水死体に見えるような外傷のない死体を探し、死体に「ウィリアム・マーティン海軍少佐」という偽装の名前と役職を与え、彼が恋人の写真や手紙や滞在したホテルの領収書などを持たせることで、あたかもウィリアム・マーティン海軍少佐という人物が実在したかのように人物背景を練り上げていく。リアリティがあるフィクションをみんなで協力して作り上げていくその描写が非常に面白い。ここは観ていてワクワクするシーンでしたね。
そして、完璧な下準備をしていよいよ作戦決行。あれだけ綿密な作戦を立てていたものの、実際に作戦が行われると色々とトラブルが続出します。「機密文書を持った死体が中立国のスペインに漂着したら、スペインにいるドイツスパイがすぐさま死体の回収にくるだろう」と目論んで、計画通りスペインに漂着したにも関わらず、ドイツのスパイが死体を回収しに来なかったり…。
もしかしたら計画は失敗したかもしれないという雰囲気の中、スペインからイギリスに引き渡された死体の所持品から「偽装文書が開封されている」ということが判明し、シチリアへの侵攻を決行する。するとドイツ軍はイギリスの作戦通りシチリアからギリシャに兵を移動させていたため、侵攻作戦は大成功を収める。
映画には描かれていませんが、この作戦の後にイギリス軍がマジの機密文書を紛失してドイツ軍に拾われてしまったことがあるそうで、その際にドイツ軍は「これもミンスミート作戦と同じく偽装文書だ」と勘違いしてしまい、事前に相手の作戦を知っていたにも関わらず準備をせずに大きな損害を被るという事案もあったそうです。そういう史実を調べてみると、この映画は更に楽しめると思います。
ただ若干の不満点がありました。それが随所に見られたラブロマンス要素ですね。
断言しますがこの映画には恋愛要素は一ミリも要りません。ただでさえこういう頭を使う映画は複雑で難しくなりがちなのだから、余計な部分は削ぎ落して短く簡潔明瞭にしないといけないんですよ。あちこちに散りばめられた恋愛要素のせいでダラダラと長い映画になってしまっている印象で、結局上映時間は128分という2時間超えになってしまっています。恋愛要素を全部排除して110分くらいの尺にするか、上映時間は同じでいいから作戦に関する説明を追加して分かりやすくしてほしかったと思います。
多少の不満点はありましたが、面白い映画だったことは間違いありません。観ておいて損は無いと思います。オススメです!!
作戦名そのものが欺瞞とかw
第二次世界大戦における、連合国のシチリア島上陸作戦=オペレーション・ハスキーを有利に運ぶべく、イギリス軍による欺瞞作戦を題材にしたノン・フィクション。
と言う事で、映画では触れられていない背景や、史実とは異なる部分をチラホラ補足。
◆18番の欺瞞作戦
1942年の北アフリカ戦線。ドイツ軍第90歩兵師団の偵察車は、自軍の地雷原で炎上している車両を発見します。車内には焼けただれたイギリス兵の遺体。イギリス兵が持っていたのは「イギリス軍の地雷原の地図」。ドイツ軍エルヴィン・ロンメルの戦車部隊は、地図に示された地雷原を避けてアラム・ファルハへ向け、柔らかい砂漠地帯を通って進軍したため、突破に手間取ったとされています。ロンメルは、この地雷原の地図を信用していなかった、と言う説もありますが、イギリス軍にとっては「諜報活動の成功体験」となりました。
◆パムの正体
パムの写真はMI5の事務職員であった女性のもの。彼女がミンスミート作戦で中心的役割を担っていたと言う記録はありません。ここは演出、って事ですね。
◆親書
問題の親書は、「帝国参謀本部副参謀長」のサー・アーチボルド・ナイから、西アフリカ戦線の「第18軍指揮官」サー・ハロルド・アレクサンダーへ宛てられたもの。この手紙は、実際にアーチボルド本人が書いたそうです。個人の「親書」としての信憑性を持たせるために、イギリス軍を批判する文章を盛り込んだとの事。
◆ミンスミートは消化された
ブリーフケースを回収し精査したイギリス軍は、ドイツ軍に情報が渡った事を確信し、チャーチルに報告します。その電報の文章は「ミンスミートは丸のみされた」。映画では、「ミンスミートは消化された」とチャーチルからの電報が入りましたが、「丸のみされた」と言う報告に対する返しだったんですね。と言うか、「消化された」って言う電報は事実なんでしょうか?ってのはあるけど。
◆ムッソリーニ vs ヒトラー
親書から読み取った機密情報を信じなかったのがムッソリーニ。彼は、依然として連合国のターゲットはシチリアだと考えていました。ゆえに、イタリア軍はシチリア防御線から移動していないんです。これに対してヒトラーはシチリア防御からアテネの防御に戦略を完全に切り替えるのですが、実は、言うほどにシチリアの戦力は減っていないと言う事実があります。
◆オペレーション・ミンスミートの効果
親書の情報を元に、ドイツ軍は①「追加の軍勢」をシチリアでは無くコルシカとギリシャに派遣。②ロンメル元帥をアテネに派遣。③パンター戦車部隊1個師団をフランスからギリシャへ。2個師団を東部戦線からギリシャへ。④機動掃海艇部隊をシチリアからアテネへ移動。
実は、シチリアから減ったのは④だけなんです。と言っても、これは大きかったでしょう。機動掃海艇部隊には、機雷の敷設部隊も含まれるからです。また、欧州戦線に与えた影響として無視できないのは③です。戦車部隊2個師団が東部戦線、つまりは独ソ戦の舞台から消えたんですから。
映画の中で「パム」の正体に気づき、秘密を聞き出しに来たテディ。ヒトラーの失脚を願う、反ナチスのドイツ人が黒幕と見るのも合理性有りでしょうが、それ以上に、当時のMI5内の二重スパイとしては、ソ連のスパイと言う方がリアリティありますけどね。
また何と言っても、「また騙された!」ナチスドイツは、以降、欺瞞作戦に対して過剰反応するようになったと考えられます。ノルマンディからの侵攻ルートを記した書類や、マーケットガーデン作戦の命令書を入手しますが、欺瞞作戦を疑い情報を廃棄してしまいます。
映画本編の方は、恋愛要素は要らんかったかなぁ。純粋に欺瞞作戦のスリルに集中してほしかったなぁと。それに尽きまする。個人的には、物足りなかったです。かなり。
ちなみに作戦名の「ミンスミート」は1941年に実行されたサルディーニャ島の空襲作戦のコードネーム。作戦名そのもも再利用することによって、新しい欺瞞作戦である事が露見することを避けようとしたんですね。
遺体に与えた嘘の人生と、戦時下でのリアルな人生が交錯し小説のような面白さ
味方さえも疑わなくてはならない状況下でナチスを欺くことができるのか
第二次大戦中、「ナチスを欺くために偽造文書を持たせた遺体を流す」というイギリス政府による奇抜な作戦が行われた。
名付けて「ミンスミート(ひき肉)作戦」。これが実話であり、さらにはあの009の生みの親、イアン・フレミングが提唱した作戦だというから驚く。
報道されているのはほんの氷山の一角で、世界の上っ面の茶番の1%しか知らないんだろうな、市民の私たちは。ということを否が応でも知らしめられる。
中立国のスペインに存在するドイツ人スパイに、なんとかして「偽の攻撃対象(ギリシャ)を書いた機密文書」を目撃させなければならない。連合軍はその裏をかいて、シチリアに上陸したい。
スペインにはイギリス諜報部の息のかかった三重スパイと、その三重スパイを二重スパイと信じている勢力、そして「反ヒトラー」勢力もウロウロしている。とはいえ、イギリスは敵国のことをまるで知らないわけではなく、MI5はスペインにいるドイツ人スパイのことを詳細に把握している。
そのスパイを暗殺するなどはせず、敢えて泳がして、必要な情報与えたり隠したりするから(不謹慎だが)諜報戦は面白い。
三重スパイは女も男も相手にし(彼が一番活躍したのではないだろうか)、まさに陰謀の巣窟。
そして主役の一人モンタギューにも、スパイ疑惑がふりかかる。
弟が共産党員との噂があり、恋敵ということも相まって、同僚のチャムリーは猜疑心に陥る。
母国で物理的には離れた場所の敵への策略を練りながら、仲間をスパイせねばならない悪条件に加え、更にはなんとレストランのウェイター、テッドが実は謎のスパイだったことも判明する。
モンタギューは結果白だったが、作戦は最後まで成功したのか不確定要素が多く、終始ハラハラさせられた。
チャーチルのセリフで、「スパイ活動の渦に飲み込まれると、いつのまにかめぐりめぐって自分の尻を見ている」というようなのがあったが、諜報活動だけに囚われていると視野狭窄になり、何も決断できなくなるのは事実だろう。だからこそ、チャーチルはミンスミート作戦が成功したか否かに関わらず、成功したものと信じてシチリア上陸を決行する。
この後にチャーチルの承認も得てアメリカが日本に原爆を落とすことを考えると手放しで喜べない自分もいるが、チャーチルのリーダーシップのなんたるかが、垣間見えた気がする。
この映画には二つの噓の死体がある。
一つは作戦に使われ、上官に仕立てあげられた遺体。
もう一つはチャムリーの戦地で行方不明になった兄。
多数の命を左右した死体と、一人の母親の心を救った死体。とても皮肉だ。
スペインに眠るイギリス人将校の墓に、そんな秘密が隠されていようとは、だれも思わなかったに違いない。
スパイ小説やミステリーのファンにはたまらないだろう
最初から出てきた割に活躍しなかったから、イアン・フレミングの名前は最後に出せば、おぉってなってよかったかも。
結構時代背景などがわからないから面白くないという声が多いみたいです。
おじさん世代は毎週テレビの洋画劇場で、いろんな映画観られたし、その最初と最後に淀川長治さんや水野晴郎さんが解説してくれたから、幸せだったんだなと思います。それこそ、教室よりも映画で世界のいろんなこと学んで知識を身につけることができました。
今はなんでもいつでも観られるようになったけど、自分の好きなものしか観ない(聴かない、読まない)から、知識が広がらないのかもしれませんね。
戦争映画は時代背景がわからなくなってきてる世代が増えてきたけれど、それだからこそ作る意義があるんだと思います。
懲りずに観てほしいです。
第二次世界大戦が混沌を極めていた1943年。 ナチスドイツのヨーロ...
第二次世界大戦が混沌を極めていた1943年。
ナチスドイツのヨーロッパ戦線での侵攻は凄まじく、連合国側は押され気味だった。
打開を図るべく連合国側は、イタリア・シチリア攻略計画を進めていたが、それはナチスドイツにとっても予測可能な戦略。
敵の眼を欺くべく、英国諜報部が採った作戦は、攻略地点をギリシアに見せかける作戦。
偽の重要文書を持った英国軍将校の死体を中立国スペインに漂着させ、ドイツスパイの手で中枢部へ届けさせようという、奇想天外な作戦だった・・・
というところからはじまる物語で、そんなバカな!と驚くような作戦で、『大怪獣のあとしまつ』レベルではないかしらんとも思うのだが、これが事実だというのだからさらに驚かされる。
英国には、冒険小説からスパイ小説へという伝統もあり、冒険映画も数多くつくられているが、中には『謎の要人 悠々逃亡!』のような人を食ったような収容所脱走映画もあるので、ある種の伝統なのかもしれません。
さて、作戦の中心となるのは、モンタギュー少佐(コリン・ファース)、チャムリー大尉(マシュー・マクファディン)、作戦のアウトラインを考えたのはイアン・フレミング少佐(ジョニー・フリン)。
イアン・フレミングは「007」シリーズの原作者で、そこかしこに後の「007」に登場するモチーフが散りばめられている(Mしかり、Qしかり、マニーペニー女史しかり)。
また、モンタギューが息子の寝物語に読み聞かせるのが、ジョン・バカンの『三十九階段』というユーモアもある。
映画の前半は作戦の仕込み。
英国諜報部で偽の英国軍将校のプロフィールを作り、細部を作りこんでいく。
このプロフィールを作りこんでいく過程で、諜報部の女性秘書官ジーン(ケリー・マクドナルド)が加わり、モンタギュー、チャムリー、ジーンの微妙な三角関係が展開される。
戦下のラブロマンスというのも、映画で描かれるのは、かなり久しぶりで、安易な不倫関係に発展しないあたり、奥ゆかしくてよろしい。
また、作りこまれる偽将校の偽プロフィールは、戦争で壊れてしまったロマンス物語で、実際に繰り広げられる三角関係とのダブルミーニングがある。
根底には「戦争さえなければロマンスは続いたのに・・・ しかし、戦下だから起こったロマンスでもあり、そこがもどかしい」というジレンマであって興味深い。
さて、前半を、偽将校の死体がスペイン海岸に流れ着くまでとすると、後半は、仕込んだ偽文書がナチスドイツ中枢に届き、ギリシア侵攻をホンモノと思うかどうか。
ここでは、二重三重のスパイが登場し、英国側とナチスドイツ側との丁々発止のスパイ戦が繰り広げられるのだけれど、映画としては、若干手ぬるい。
前半同様、英国のモンタギュー、チャムリー、ジーンが中心となって描かれているのが、演出のキレを損ねたと思うのだ。
思い切って、スペインを舞台に、じっくりと描いてみせて欲しかったところ。
ただ、そうしてしまうと、上映時間が3時間を超えかねないので、後半側を端折ったのかもしれません。
スペインでのスパイ合戦がやや手ぬるい分、偽将校の偽ロマンス相手がジーンだと掴まれてしまい・・・という危機を盛り込んでいるので、なんとかサスペンス的には持った感じ。
最終的には、作戦は成功、連合国側のシチリア上陸作戦も成功と相成るわけだが、ほとんど流血騒動のない戦争映画としても成功の部類。
監督は『恋におちたシェイクスピア』『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』などのジョン・マッデン。
ピリッとしたスパイスは欠けるが、素材の良さを生かした作品をつくる監督です。
故・池波正太郎が喜びそうな映画でした。
サスペンスというより人間ドラマ
分類としてはサスペンス作品だろうけど、主人公ユーエンの人間ドラマになってて、ミンスミート作戦の緊迫感も終盤のみで、全体的に戦時下の緊迫感をあまり感じられませんでした。
タイトルとしてはミンスミートだけど、本当ならユーエンとした方が合ってるように思えた。
めっちゃ複雑。でも、めっちゃ格好良い!
「機密文書を持たせた死体を流して、ナチスを騙す作戦」の映画。
なんて、ぶっ飛んだ作戦なんや!
007とまでは行かなくても、それなりにドキドキワクワクできる映画なんだろな。
と思って、映画館に行きましたが、観ても観ても派手なシーンは無く、粛々と仕事をこなす登場人物達と、その人間模様が描かれた映画でした。
期待してたのと違ったけど、面白かった!
とにかく、面白かった!
映画は、ユーエン・モンタギュー少佐(コリン・ファース)が、妻子をアメリカに送り出す為のパーティから始まります。
ユーエンは、元弁護士の英国諜報部員(MI5)ですが、仕事に没頭するあまり、妻との間には深い溝か生まれ、旅立つ妻とは二度と会えないかもしれないと考えています。
また、ミンスミート作戦を共に遂行する、チャールズ・チャムリー大尉(マシュー・マクファディン)は、戦死して英雄と称えられている兄を持ち、兄の死から立ち直れないでいる母親と同居しています。
そして、機密文書を持って流される死体の偽のプロフィールとして創作された人物、ウィリアム・マーティン少佐の創作上の恋人として作戦に関わることとなったジーン(ケリー・マクドナルド)。
ジーンはユーエンに惹かれ、チャールズはジーンに惹かれており、チャールズは上司のジョン・ゴドフリー(007のMのモデル!演じるのはジェイソン・アイザックス)から、ユーエンの弟は共産主義者で、ソ連のスパイかもしれないからユーエンを監視しろという指令を受けています。
既に人間関係が複雑です…。
さらに、引き取り手の無い適切な死体を見つけて来て、ウィリアム・マーティン少佐の偽のプロフィールを創作して、偽の機密文書と偽のラブレターを持たせて海に流して、その偽情報をヒットラーまで伝えてナチス軍を撹乱させなければならないという作戦が、観る前に想像してたよりめちゃくちゃ複雑…。
想像以上に複雑でしたが、007ネタでクスッと笑わせてくれたり、ロングコートを来て、作戦について話しながらロンドンの街を歩くコリン・ファースとマシュー・マクファディンの格好良さだったり、派手では無いけれどストーリー以外の場面も良くて、観てる者を飽きさせない程よいバランスが素晴らしかったです。
また、死体流すという突拍子も無い作戦ながら、全線で戦っている兵士達の犠牲を少しでも減らして、ナチスに打撃を与えなければならないという、正義感は全ての登場人物達に共通で、「前線で大砲打ったりしてるだけが戦争じゃない。自分達は自分達の戦い方で敵を倒すんだ。」という、静かだけど熱い情熱を持って仕事をする彼らの諜報部員魂(?)みたいなのには、格好良い…と思わずにはいられませんでした。
ストーリーは複雑で、しかも淡々と進みますが、それが諜報戦争をリアルに見せ、彼らの静かな闘志をより浮き彫りにして見せることに繋がっていると思いました。
全てが終わった後の場面、多くを語らず最後もやっぱり静かに映画は終わります。
諜報員は多くを語る必要は無いんです。
当時、表には出てないであろう、イギリス本国からナチスと戦った影の存在達の格好良さを知れる良い映画でした。
何度も言いますが、確かに複雑なストーリーなので、映画館など映画に没頭できる環境でじっくり観ることをオススメする映画です。
弟(アイバー・モンタギュー)はその筋の大物だったとは!
もともと第一大戦~第二次大戦前後の歴史ものは大好物だが、この作品って作戦そのものの巧妙さを楽しむというより、この作戦を取り巻く人間ドラマを楽しむってことかな、というのが個人的見解。
作戦そのものは至ってシンプル。偽の侵攻作戦の情報を持った(偽の)高級将校の死体を、ナチスのスパイに見つかりそうな中立国スペインの海岸に流してナチスを騙す。 以上。
この偽の情報を、どのようにもっともらしく見せるか、そのディテール作りの過程で起こる人間ドラマが正にこの映画の見どころかなと。
ちょっとややこしいのは、スペインの将校がドイツの二重スパイと見せかけてイギリスの三重スパイだというところと、ドイツの反ヒトラー派の情報将校が、この情報を偽物と理解しながらあえて正しい情報として国に報告したというところ。( イギリス軍御用達のクラブのバーテンが、実は反ヒトラー派のドイツのスパイだったという設定もちょっと複雑か。)
それから言わずもがな、コリン・ファースの演技はやはり格別ですね。戦時体制下のプラトニックなラブロマンスも個人的には悪くないなと。
あと、主人公のユーエン・モンタギュー少佐の弟(アイバー・モンタギュー)が共産主義に傾倒していたくだりについて、Wikipediaの「ヴェノナ文書」のページを見るに、彼はGRU(旧ソ連軍参謀本部情報総局)のスパイでコードネームはIntelligentsiaとNobility、ロンドン映画協会の設立者、国際卓球連盟創設者、初期のヒッチコック映画のプロデューサー等々の様々な肩書を持つそうな。 何と!(映画も卓球も後に共産主義を拡散するための媒体になったであろうことは想像に難くないが、この辺の史実はイギリスでは常識なのでしょうか?) ということは、当時弟の アイバー・モンタギュー(ソ連)経由でも本作戦の欺瞞情報をドイツに流していた、あるいは反ヒトラー派に働きかけていた可能性も!?と想像が膨らみます。
今や「ヴェノナ文書」が公開になって、そもそもルーズエベルト政権自体がコミンテルンの巣窟で、それら共産主義者のスパイが対日参戦の黒幕だったことが明るみとなっており、またチャーチルも米国の参戦を渇望していたわけで、太平洋戦争の開戦経緯が最大の欺瞞だよなぁと改めて考えてしまった。
ア〇ビ〇バボー向き(もうやった?)
ミンスミート(mincameat)
英国のドライフルーツをラム酒等に
漬け込んだ伝統的な保存食で
パイの詰め物に用いる
「挽肉」の意味があり
かつては本当に肉を使っていたので
ミートと呼んでいたそうである
第二次大戦末期の英国で
ナチスドイツを欺くために
諜報部MI5が本当に実施した
欺瞞作戦「ミンスミート作戦」
を映画にしたもの
面白そうじゃんと思って
観に行きましたがハッキリ
まぁ~眠かった
だいぶ第二次世界大戦の
予備知識無いとしんどい
感じでした
知ってても眠かった
戦争裏側映画としては
あまりに展開が淡々と
しており途中記憶の怪しい
部分があります
ヨーロッパ大陸をドイツに
征服された連合国軍は
反抗作戦の機を着々うかがって
おり英国のチャーチル首相は
その重要ポイントにドイツの
同盟国イタリアの南方
「シチリア島」の攻略を
掲げていました
ただ連合国にもドイツにも
その重要度はわかっていたので
当然ドイツもシチリアの
守りを厚く固めており
そのまま攻め込んでも
英国軍の犠牲が多大に
なることは明らかでした
チャーチルはそれでも
やるしかないと思って
いたため英国諜報部「MI5」の
ユーエン・モンタギュー少佐と
チャールズ・チャムリー大尉は
英国軍の被害を抑えるために
ドイツに
「シチリアと見せかけて
ギリシャから侵攻する」と
思い込ませる欺瞞作戦を
発動します
つまり(ニセの)重要文書を
持たせた死体を敵に偶然拾わせる
という凝った作戦です
そんなにうまくいくのかと思って
しまいますが
この作戦の発案には先例があり
一度目はニセの地雷原の地図を
ドイツの戦車団に拾わせたら
まんまと引っかかったこと
二度目はガチの重要文書を
運んでいた飛行機が墜落
したのだが遺体がイギリスに
帰ってきた時には機密文書を
遺体が持ったままで漏洩
「しなかった」というもの
である(手紙は未開封だった)
つまり今回は架空の将校が
スペイン海域で飛行機が墜落
重要文書を持ったまま死亡し
スペイン沖に漂着し
スペインはドイツ諜報部と
繋がっているのでニセ情報を
直達させるという作戦です
その架空の将校は英国海軍海兵隊の
「ウィリアム・マーティン少佐」で
・上官の連合国への紹介状
・身分証
・家族との手紙
・観劇チケットの半券
・パムという恋人との手紙
・軍服の請求書
・銀行の催促状
など全てを偽造
「マーティン少佐」が少々
ドジな性格である設定のため
身分証に再発行済の細工まで
する凝りようだった
そうです
諜報部はこれらを
ギリシャから攻め込むという
ニセの重要文書と一緒に
ブリーフケースに入れ
コートのベルトと鎖で
固定し離れないようにしました
その後英国の潜水艦セラフに
乗せられたマーティン少佐の遺体
は1943年4月24日にロンドンを出て
4月30日にスペイン沖に漂着する設定で
セラフから放流されました
この遺体の出所は不明ですがこの
映画ではウェールズのアル中の浮浪者
「グリンドウ・マイケル」という
事になっています
4月30日にスペインの漁師によって
マーティン少佐の死体は発見され
検死が行われた後英国領事館に引き渡され
ますがどの程度本腰でニセ機密情報が
伝わったかを確認させる描写が
なにせフィクション全開で
やや無理やりくさかったですが
まあうまくいってもらわないと
映画になりません
その間MI5は待って祈るしかない
のですがユーエン少佐は
マーティン少佐の架空の恋人の
モデルになったパム役の職員
ジーンに惚れちゃったりしましたが
ジーンには軍人の旦那がいました
チャムリー大尉はユーエン少佐に
スパイ容疑がかかってるから外せ
そうするなら兄の遺体を自宅に返す
などと軍令部から脅しをかけられる
場面もありますがなんだかんだ
ユーエンを信じるという
男の友情的な場面もありました
いやこういうシーン入れるから
また眠くなるんだけどね
結局このニセ機密文書はうまく
ドイツに届いたようで
シチリアに英国軍が攻め込むと
抵抗がほとんどなく
上陸したジーンの旦那も難なく
制圧できたり諜報部の頑張りと
「死体」は英国軍兵士の犠牲を
極力減らすことに成功し
連合国軍は後の
「史上最大の作戦」
ノルマンディ上陸作戦から
形勢逆転に繋がっていったん
でしょうね
スペインにあるマーティン少佐の
墓碑には後に英国政府から
「ウィリアム・マーティン少佐として
英国民の多大な命を守った英雄
グリンドウ・マイケル」と
彫られたそうです
当時MI5に所属はしていたらしい
イアン・フレミングの名前が
出てきますがこれはたぶん
創作だと思いますが
墓碑は本当らしいです
全体的に内容に対して
123分は長すぎました
せめて90分には出来たはず
お話し的には
奇跡体験アンビリバボーの
再現VTR使ったコーナーが
似合っていると思います
30分で出来ます(笑)
ひょっとしてもうやった?
【”仲間までも監視し、利用するMI5の諜報活動でナチス欺瞞作戦を成し遂げられるのか・・”作戦を立案したモンタギューを演じたコリン・ファースの哀しみと苦しみを湛えた演技に魅入られた重厚な作品。】
ー 今作は、史上でも有名な英国、MI5の諜報作戦”ミンスミート”をベースにしているのは、御存じの通り。
であるので、実在した人物が多数登場する。
勿論、劇中にも登場し、ナレーションも担当したイアン・フレミングも。
彼が、英国海軍情報部に在籍し、第二次世界大戦中には諜報員としても活躍したあと、007シリーズの執筆活動に入った事は有名である。-
◆感想
・登場人物が多いので、最初は戸惑うが、直ぐに内容に没入する。
そして、MI5のチャールズ・チャムリー(マシュー・マクファディン)と共に”ミンスミート作戦”遂行役となった弁護士から転身したユーエン・モンタギューを演じたコリン・ファースの哀しみを湛えた存在感は流石である。
- 仕事に没入した人生を送って来たが故に、妻との間に出来た亀裂。妻は子を連れ、米国の英国機関に在籍することに・・。-
・それにしても、”ミンスミート作戦”の突飛さは、特筆に値する。しかも史実である事に対しても。
- 街中で亡くなった浮浪者を”ビル・マーティン少佐”に仕立て上げ、”英国軍のギリシャ上陸計画”を示唆する手紙を持たせ、中立国スペインの海岸に漂着させる。実際にはイタリア・シチリアに上陸する作戦を遂行するために・・。
驚くのは、手紙を何度もユーエン・モンタギューが書き直し、更に海軍省で働くジーンを”ビル・マーティン少佐”の恋人パムに仕立てあげる入念さである。
それは、最初彼らの作戦を鼻で嗤った海軍のゴドフリー総督(ジェイソン・アイザック)を見返すためではなく、偏に1943年当時劣勢であった連合国の勝利のため、世界平和の為であろう。-
・驚くのは、信頼すべき相方チャムリーとモンタギューの複雑な関係性である。チャムリーはジーンに惹かれつつ、ジーンはモンタギューに惹かれている。
そして、チャムリーはゴドフリー総督 ー イアン・フレミングの007シリーズのMのモデルである。ー の指示でモンタギューを監視するのである。モンタギューの弟(マーク・ゲイティス)が共産主義者であるという噂を基にして・・。
- 同じ組織に所属する者同士でも、信頼しきれない諜報部隊員の心理的プレッシャーは相当なものであろう・・。-
・チャムリーとモンタギューが”吐きそうだ・・”と呟く、”ミンスミート作戦”決行の日。
そして、重い沈黙の中、戦地からテレグラムで届いた結果。
- このシーンは、今作では唯一ホッとした瞬間であった。そしてチャムリーとモンタギューが早朝、二人で石段に腰掛け”飲みに行くか・・”と言葉を交わすシーンも沁みたなあ。-
<今作では、”ミンスミート作戦”が上手く行き、第二次世界大戦の流れを変えた切っ掛けになった作戦成功の理由を、反ヒトラー派であったレンネ大佐が敢えて偽情報を本国に流したという解釈を取っているが、実際はどうだったのであろうか。
今作は”事実は小説より奇なり”を地で行く戦争時諜報作品であり、複雑な人間関係を描いたヒューマンドラマでもあり、懐深い重厚な作品である。
エンドロールで流れた、ユーエン・モンタギューの妻が戦後、英国に戻り夫と平穏に暮らしたというテロップは感慨深いモノがあった。>
ある程度の知識は必要!だが良かった
ポスター見た瞬間に観に行こうと決めた映画
コリンファースが出る諜報機関ものってだけで、「キングスマン」を思い出してワクワクした。もちろんそんなドンパチじゃないのは端からわかっていたけど。
低評価の人が多くてびっくりしたけど、話展開は割と早いし、第二次世界大戦時の英独を中心とした各国の動きをすんなり把握していかないとすぐ置いていかれる気はする。
主役たちが動いて作戦を進めていくんじゃなくて、主役たちは裏で動くので、会話劇になりがちだし、退屈になる人が多いのはわかる。
でもそれはもったいない!
第二次世界大戦時、イギリスはヨーロッパ侵攻のためにシチリア島を押さえる必要があった。けれども、島って基本的に攻める方が不利。海岸で待ち伏せられたら被害は甚大。ただでさえイギリスは北アフリカ戦線を張った戦争で一進一退が続いて犠牲者が増えていた。これ以上無駄な犠牲者は出せない。
そのためにシチリア島に展開するナチスドイツにはシチリア島から離れてもらう必要がある。でも、シチリア島が要になるのは当事国の指導者全員わかってた。そんな中で、イギリスは大博打を打つ。歴史上稀に見る大博打。
それがミンスミート作戦
ミンスミート作戦は少し聞いたことがあったくらい。
(ミンスミートって調べたら、イギリスの挽肉の保存食。なるほど「死体肉の保存」ね)
作戦立案したら今度はいかにして「自然に」嘘を伝えるか。死体探しやら持ち物の準備などをみんなで考えていくのは面白かった。バカリズムと井浦新の「殺意の道程」のような。
「自然さ」を生むために、死体に肩書きや生い立ち、ロマンスも考えていく。そうして、存在しない男に肉付けがされる。肉付け作業をしているユーエン(コリンファース)達は楽しそうだった。
ロマンスは、作戦に携わる女性たちを映すようで泣きそうになった。実際そうなんだろう。
最後のユーエンとチャムリーの会話は本当に良かった。
自分達の行動を賛美もせず、安堵感が広がる。
もう少し長くていいから、展開をもう少しゆっくりにして、観客の理解を助ける部分は欲しかったかなー。
特にスパイとか戦時欧州の状況とかは欧米人以外には馴染みは薄めだし…
でも、時代背景を多少なり知ってたらめちゃくちゃ面白いと思います!
ちょっと中途半端
クーリエみたいな映画を期待していたが、ちょっと違った。 展開はわかるんだけど抑揚がなさすぎて地味なのよね。やっぱり安全なところで繰り広げる作戦だから、緊張感もそこまでないし。
ジーンとはプラトニックで終わってよかったけど、随分簡単に恋に落ちるもんなのね。。。
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