劇場公開日 2022年3月18日

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「アクションもだけどファッションも実にいい(本の使い方も)一作。」ガンパウダー・ミルクシェイク yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0アクションもだけどファッションも実にいい(本の使い方も)一作。

2022年5月6日
PCから投稿

いわゆる「シスター・フッド」映画としての側面が大きく取り上げられることの多い本作。その部分ももちろん非常に良くできていて、華麗というか体重をしっかり乗せた重たいアクションとともに見応えのある作品となっています。

小道具の使い方も入念、というか結構あからさまで、ジェーン・オースティンなどの名著を、文字通り敵にたたきつけます。ウルフもオースティンも、こんな使われ方は想定していなかったはず…。敵の男達は、ちょっとコミカルさが上滑り気味な三人組を除くとあまり個性も感じられず、なぎ倒す爽快感という点では今ひとつなところもなきにしもあらず。しかし彼らの凶悪さはそうした身体的な部分ではなく、その言動に如実に表れています。一見女性の立場に立っているかのような物言いをしつつ、実はモノ扱いにしかしていない、ワインスタインとかの面々を寄せ集めたようなボスなど、喋っている姿だけで観ている側の殺気をかき立てる人物描写はさすが。

本作のもう一つ本作の物語上の重要な柱として母娘関係があり、むしろこちらの方がメインテーマじゃないかと思うほど。彼女たちの間に何があったのか、そして三人の仲間達との関係は、といった詳細については多くを語らず、アクションで見せる演出は見事。最後まで飽きさせずにテンション高めで引っ張っていく作品です。

yui