劇場公開日 2022年3月18日

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「アガサ・クリスティは読書用」ガンパウダー・ミルクシェイク せつこんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0アガサ・クリスティは読書用

2022年3月22日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

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女殺し屋サムがターゲットの娘を庇い、かつやばい組織の息子を殺したことで雇われ主から追われることになる話。

これもシスターフッドアクションだから敵は全員男だし、若干フェニミズムを思わせるような箇所もあるけど、これはもう今は女性主人公アクションのテンプレでありお約束。本作の魅力はちゃんとアクションだった。

特に病院での三バカとのアクションが最高。サムは両腕薬で痺れて動かない、敵は既に重傷を追って歩くのもままならないしラリってずっと笑ってるというカオス状態。サムが遠心力だけを使って銃とナイフを使いこなすのスゴすぎだし、敵がずっと劣勢なのに楽しそうなのが良い。

エミリーを膝に乗せて運転させるカーアクションも凄かったし、登場人物達なんか男にめっちゃ恨みありそうな戦い方も爽快(これも女性アクションのお約束だけどね)。あとはアジア人の人、『シャン・チー』(叔母さん役)でもそうだったけど、パワープレーじゃなくて細かい動きを使って戦うスタイルなの綺麗なんだよな。

舞台が図書館ということで本の中に武器が入ってるんだけど、出てくる本の作者が当然全員女性。ヴァージニア・ウルフ、ジェーン・オースティンに銃が入っているのに対し、アガサ・クリスティは読書用なのやけに納得できる。ルイーザ・メイ・オルコット含め武器入ってる人達は女性文学として語られることが多いけど、その反面アガサ・クリスティはミステリーのすごい人って感じ。

そして最後に出てくる「若草物語」は、少女たちの生活を描いた優しげな文学の面もあるけどそこには確かにオルコット自身の女性としてのメッセージが含まれてる作品なので、殺さずとも強力なトドメをしたラストにふさわしい気がする。

せつこん