すずめの戸締まりのレビュー・感想・評価
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大画面映えする映像美
「世界かあなたか」と「夢で見たあの人は」の非現実系に、神戸(阪神淡路)、東京(関東)、宮城(東日本)と実際に震災にみまわれた土地土地を登場させるという攻めた内容。
そこまでショッキングな映像があるわけでは無いが、実際に被災された人にはどううつるのか。
おっかなビックリしつつ,鑑賞…。
その場所を悼むこと
通常スクリーンで鑑賞。
原作は既読。
ボーイ・ミーツ・ガールと圧倒的クォリティーの映像美、そして情緒を増幅させるメロディーの劇伴。新海誠監督作品ならではの要素を押さえつつ、本作はロードムービーの面白さがプラスされ、心にバシバシ刺さる物語に引き込まれました。
打ち捨てられた土地の記憶を悼むと云うことは、今過ごしている日常がかけがえの無いものであることを認識することに繋がり、この日常を守るためにこれからも生きていかなければならないなと、とても前向きな気持ちになりました。
そして、その土地に起きたことを絶対に忘れないことが大切だな、と…。語り継ぎ、記憶を次の世代へ渡していくことも鎮魂に繋がる行為ではないかなと感じました。東日本大震災をストレートに描いた意義はそこにあるのかもしれません。
戸締まりの旅を通して成長した鈴芽が幼い頃の自分に言い聞かせた言葉に感動させられました。人は誰かとの出会いと別れを繰り返しながら、どんなことがあっても生きて生きて生き抜いて、大きくなっていく。苦しみの先に必ず希望があると信じて、これからもこの命を生きていきたいと思いました。
※修正(2024/04/05)
東日本大震災がエンタメ映画の題材になったことに驚き
設定・世界観こそ魅力をあるけど、世に出る時期を誤った感がある。
作家・京極夏彦は『遠巷説百物語』の刊行にあたって、「お化けというのは、災害や戦争、疫病のさなかには、出番がないんです。しゃれにならないですからね。(中略)東日本大震災から10年、まだまともに復興もしてないわけですよ。そこに今回の疫禍です。」と述べている。
被災者にとってはまだ10年。もう10年ではない。ところがこの映画では、まだ出番のないはずの「お化け」を登場させ、あの震災をエンタメ化してしまっている。
東北太平洋側の地域出身で当時をフクシマで過ごした私は、この映画がそれなりに否定的な意見を浴びさせられるのも無理ないと思う。
一方でこの映画は、今は首都圏に住んでいる私には、東日本大震災に対する社会の分断を表しているように感じられた。
首都圏にいるとあの震災は確実に過去のものになっているのが分かる。もう歴史の1ページでしかない。
だからみなし仮設住宅からの引越しの際のトラブルや就労に関するトラブルなどが報道で取り上げられると
「震災から何年経ったと思っているんだ」「いいかげん…」といった意見が飛び交う。
映画の企画段階でこの震災を扱うことに対してNGがかからなかったのも納得がいく。
被害を受けていない人、立ち直れた人にとっては過去の震災かもしれない。しかしながら、1万8千人ほどの死者を出し、未だに3千人近くの行方不明者がいるこの震災が過去のものになっていない人たちが少なからずいることは少し考えれば容易に分かることだろう。
この震災を扱った映画は他にもある。『風の電話』、『Fukushima 50』など。
この映画がそれらの映画と大きく異なるのが、予告編及びプロモーション段階で震災が題材であることに一切触れてなかった点である。これはさすがにずるいと思った。
映画の公開直前になって「緊急地震速報の音が鳴るよ、注意してね」なんてアナウンスして、ぎりぎりやるべきことはやった感を出している。
直前までこの震災の存在をオープンにしなかったのは、それが映画の宣伝にマイナスとなることを予測していたからではないだろうか。
試写会勢がこの点に一切コメントしていなかったのを見ると、たぶんここに触れることはNGが出されてたんじゃないかな。
(試写会では「この部分についてのコメントは無しで」と指示が入ることがたまにあるので)
今、世に出していい作品だったのだろうか。キャラクター・設定・世界観に魅力がある分、映画ビジネスとしてのやり方に疑問を感じる。
最後に私が2015年ころに国連防災世界会議でホテルの通訳アルバイトをしていたときに
あるアメリカ人宿泊客から言われた言葉を伝えて終わりにしたい。
「どうして私の部屋の番号が911なんだ。あまりにも不吉だ。」
911は2001年の出来事である。悲しい出来事に対して、「一区切り」は人それぞれなのだ。
不思議な後味がする映画でした。
一番好き!
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災害前後の心と生き方をブレない比喩表現で描く 物語への入りが勢いあ...
テーマは地震
貫かれたメッセージ
過去作品の話から入りますが、「君の名は」を見た時に新海監督は長野県出身と知り、多感な時期を美しい自然を身近に感じながら過ごされたと想像しました。
「君の名は」以前の作品での美しい星空や静かに降り積もる雪、風に舞う桜の花びらなどに自然への憧れやインスピレーションを感じて作品を作ってこられたのだと感じました。
人間は不完全で過ちを犯すけれど、自然はそんな人間をを癒してくれる優しい存在である。
そんな思いと少年の心を持った大人が作った作品群だったと思います。
しかし、あの3.11を経験し、そうした思いは打ち砕かれたのではないでしょうか。
自然は決して優しくはない。
そこに人がいようがいまいが関係なく、津波は大地を襲い、人々の営みを容赦なく奪い去っていきました。
自然には遠慮なんかありません。私たちに配慮なんてしてくれません。
その事実を思い知らされた後に作られた「君の名は」を見た時に感じたことは
「今ある風景は永遠ではない。今この瞬間を大切に。」
「先人達からの警告を忘れるな!」でした。
大昔の人達は子々孫々に警告するために岩に彗星を掘りました。火事で失われてしまったけど、文書に残したり、組紐の模様に、神楽の舞にメッセージを残しました。現在はスマホがあり、防災無線があり、宮水神社と防災放送のスピーカーとのツーショットには今度こそみんなを助けられるという神様の喜びを表しているのではと思ったほどです。
東日本大震災は言葉では表せない、つらく苦しい悲しいものではありましたが過去からの警告を活かしてなんとか生き延びて欲しいというメッセージを感じました。
監督には可愛い娘さんがいます。我が子も含めて未来ある若い人たちへのメッセージです。
「天気の子」でも、気候変動がテーマでした。水に浸る東京の描写も決して絵空事ではありません。「僕たちは大丈夫だ!」の言葉はこれから先を生きる人達にどんなことが起きても力強く生きて欲しい!というメッセージです。
そして、今回の「すずめの戸締り」です。前2作よりストーリーはシンプルでわかりやすかったです。声優さん達の演技が素晴らしく、伊藤沙莉さんのセリフなど、思わず吹いてしまう場面もいくつかあり重たいテーマに癒しをもらいました。
「君の名は」よりもさらに東日本大震災の見覚えのある景色に踏み込んでいて、既視感のある映像が随所にありトラウマのある方達にはつらいかもと思いました。
クライマックス、すずめの過去が明らかになっていく所は、涙がでてしまいました。
あんな思いをした人がたくさんいた、これは現実に起こったことだ。あの時も雪が降っていたな、さぞ寒かったろう。
地獄火のようなこの光景は気仙沼を思い出すな。などと。
隣にいた娘も泣いていました。
「泣くとは思わなかったのに泣いちゃった。」と言っていました。
すずめが幼い自分自身にかけた言葉は新海監督が一貫して伝えたかったこれからを生きる人達への「希望」「応援」のメッセージだと思います。
私は親の立場なのですが、同じ思いを我が子や同年代の方達に送りたいと思います。
星3と言っても新海誠の中の3
シン新海誠
話題作&大ヒット&高評価なので見てきました。
とってもよかったです。
隕石落下からの大雨からの、
新海誠誠が描くアフター2011の話…。
そうきたか!
宮崎のアレ、阪神のアレ、東日本のアレ、
日本人のほとんどが経験をしているので
見てて非常に怖かったです。
クライマックスもぐっときました。涙。
ラストも美しい。もう一回見たいかも。
あと今回の作品はひじょーーにバランスが
いいと思いました。
・テンポがいい、ダレない
・RADWIMPSのサントラ控えめ
・キャラデザ田中将賀がちょうどいい(君の名はからずいぶん変わったなと)
・声優がいい
・神木隆之介はそうとう上手い
・深津絵里、伊藤沙莉もいい
しばらくやってると思うのでみんな映画館で見れば
いいと思いますよ。
今回は女性向き
女の子主人公だから、ちょっと男には合わないかも知れないです。中盤ではますます男の子排除の雰囲気続きます(その中盤一番好きですけど)で、君の名は、天気の子を期待した側にはちょっと違うなあ、と思うけども、大変馬力を使って超人的な展開が観れて、僕は全体に好きではないけども、大変に見応えはありました。後半の、ありえないだろ、という、たまたま、偶然、が続きますが、こちらが慣れてないだけで、こういう展開アリかも、とも思います。歴史物は整然と展開しますけど、こうした未来の物語は、最終的にどう解決するかは誰にも分からない。(他の人のレビューで、問題解決になにか確信あるのがおかしいとありましたが、共感しますけど、作者からすればこうするしかなかったと思います)すずめが血と汗で世界を切り拓いていくのを観るのは辛面白かったです。強引ですけど、幸せな希望を抱いて帰宅するにはそうするしかない。なんか震災を恐れる毎日を生きるこちらの感覚みたいな映画でした。
新海誠映画作るのうまくなった?
個人的に新海監督に感じる押し付けがましい、くどい感じが抜けた?観やすかった。
映画としてクオリティ&熱量は『君の名は。』のがすごかった気がするけど。
ダイジンは長い間、要石として身を賭してきたのに、ラスト、、、。
それを受け入れるすずめちゃん、、想い人と共に生きる道を選びたいのは分かるけど、結局人柱は必要なんだ、、。
皆をハッピーにしろとは言わないけど少しモヤモヤ。
神木隆之介、絶妙に下手くそに歌うの上手。笑
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