「女性スパイものとして悪くはないかな」355 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
女性スパイものとして悪くはないかな
予告から、女性スパイの痛快アクションを期待して鑑賞してきました。期待ほどではありませんでしたが、スパイものらしく敵と味方がめまぐるしく入れ代わり、最後まで飽きずに鑑賞できました。
冒頭からいきなり銃撃戦が始まり、その後も気持ちいいぐらいテンポよく進み、世界各地を巡りながら徐々に登場人物を加え、二転三転する展開は悪くなかったです。そこに中心人物となる女性スパイの人物背景を加え、物語に奥行きを与えていたのもよかったです。
また、女性スパイものならではの美の競演も見どころの一つです。組織の一員として体を張って戦う姿も素敵ですが、オークション会場潜入シーンのドレスアップした姿はまた格別。主演のジェシカ・チャステインはもちろん、ペネロペ・クルス、ルピタ・ニョンゴ、ファン・ビンビンらが、スクリーンを彩ります。中でも、イチ押しはダイアン・クルーガー!それまでの印象とがらりと変わった装いは、ひときわ輝いて見えました。
ただ、気になる点もちらほらありました。まずは、テンポのよさと引き換えにしたような展開の荒さです。大筋のストーリーは理解できるし、そこそこ興味深いのですが、「なんでそれがわかった?」「なんでそうなった?」「これはどういうこと?」となるシーンがやや多く感じました。勢いで観てしまえばいいかもしれませんが、やや気になりました。
次に、スパイ組織のわかりにくさです。複数の組織を背景にして多くの登場人物がからむのですが、これが少々わかりにくかったです。本作のウリは、組織を超えての女性スパイドリームチームなので、各組織の目的や位置づけや関係性をもう少しわかりやすく描いてくれるとよかったです。
最後に、女優陣のアクションがやや物足りなかったです。体を張ったアクションなのはわかりますが、今ひとつ強さを感じませんでした。それなのに、彼女たちがほぼ無傷で屈強な男たちを全滅させているのは、いささかやりすぎで興醒めでした。「アトミック・ブロンド」のシャーリーズ・セロンみたいな、タフな強さが見たかったです。
というわけで、多少気になるところはあるものの、女性スパイものとしては、そこそこ楽しめる作品に仕上がっているのではないかと思います。