百花のレビュー・感想・評価
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静かな展開だからこそ、俳優の力量が試される映画
静かで、光量の少ない映画です。ですが、ポイントでぐっとくるものもある映画です。暗さの中に、はっとするシーンがあります。最後のクライマックスは記憶というあやふやなものの本質をついているような感じもあります。
健康な人間はしっかり物事を記憶していると思っているけれど、記憶というのは自分の置かれた状況によって意味合いが様々に変わり、読み替えられていく。認知症を患った母親と、許せない記憶にすがる息子の対比で、記憶に生きるひとの在り様を描いているんだなって思いました。
こういうアクションの少ないカット、カメラワークの静かなカットは、まさに俳優の演技が映画の出来不出来に直結すると思います。その意味では、原田美枝子ってすばらしい女優だなって思いました。最後の施設でピアノを弾いた後に見せる表情。あれは難しい。誰に向かってはっきりどのような感情を出しているのかさえ、わからないというシチュエーションを演じた見事な表情です。
菅田将暉も、涙のシーンはほんとうに感情移入できるし、最後のシーンはさすがにここぞという締めのシーンを演じ切ってます。この二人の俳優の力を感じる映画でした。尚、長澤まさみの妊婦姿みれるのもレアです。
#66 私には良さがわからなかった
母と息子の記憶と互いに対する想いの違いを描いているんだろうけど、私には良さが全然わからなかった。
子供よりも恋を選んだ母を延々と恨んでる息子も、ひたすら誰かに頼って生きてる母親も全然共感できない。
唯一共感できたのは、人は忘れるから生きていけるってこと。
良いことも悪いことも全部覚えてたら頭がパンパンになって新しいことを覚えられないし、何より嫌なこともずーっと覚えてたら気分悪いもんね。
そういう意味じゃAIに生まれなくて良かった。
「記憶」を巡るせっかくの仕掛けが機能していない
劇中、記憶を詰め込みすぎたAIの歌手の失敗によって、「忘れることは人間らしさでもある」ということが語られるが、確かに、人というのは、自分にとってインパクトのあること以外は忘れてしまうものなのだろう。
その点、認知症になった母親が、最後までこだわった「半分の花火」と「一輪挿し」が、彼女にとって最も大切な記憶であったということはよく理解できるし、息子がその理由を知って、自分に対する母の愛に気付くという物語の構造にも納得できる。
しかしながら、そこに持っていくまでの物語の流れには、違和感や不自然さを感じざるを得なかった。
例えば、母の日記から、母が愛人と駆け落ちした状況が明かになるが、そこでは、母の心情が語られないし、一人残してきた息子を心配する気配もない。さらに、阪神大震災が起きなければ、母が息子の元に戻ったかどうかすら分からないのである。そんな神戸のエピソードには、本当に必要だったのかという疑問が残る。
物語の核心とも言うべき「半分の花火」にしても、息子が覚えていなかった(忘れていたのを思い出した)というのは不自然だし、「一輪挿し」に至っては、息子が思い出したのかどうかすら明かでない。
こうした語り口から、母が大切な記憶以外を忘れていく一方で、息子が大切な記憶を思い出していくという仕掛けが、十分に機能しているとは思えなかったのは残念だった。
花火も記憶も半分
歳をとった人向け
友人の母親がホームに入所した。
アルツハイマーの症状が出始めた彼女は「早く死ねばいいと思ってるんでしょ」「邪魔なんでしょ」などと返事のしようがない憎まれ口を叩き続けてるらしい…
ちゃんちゃんこが目前となった私もボケるんじゃないかな⁈って思う事が多々ある。
ついさっきの事を失念したり同じ事を繰り返し口にしてみたり…
共に多くの時間を過ごして来た子供としては居た堪れないなと。
大手の代理店に勤めて素敵な同僚と結婚。順風満帆を絵に描いたような菅田くんの役どころだけに苦しさも大きい。
逃げ出したくもなるよね。
原田美枝子の焦点の定まらない視線が上手いなと。
焦点が定まらない故考えが読めない怖さが伝わります。
ただ若い人が観てもつまらないだけの作品だと思います。
エンタ色の薄いドキュメントに振った作品。
原作読んだ方が楽しめたかな?
普段から映画を観ない人には薦めないと。
母と息子が愛を取り戻す物語
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