アキラとあきらのレビュー・感想・評価
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池井戸作品の宿命か
池井戸さんの小説は面白く、かなりの作品を読みました。物語に引き込まれていっきによめてしまいます。それがTVドラマになり、下町ロケット、陸王など楽しめました。ところが映画になると・・・。空飛ぶタイヤ、小説ではとても面白かった、好きな作品でしたが、映画になったら『あら?』そして今回のこの作品も、その感じが。かなりのボリュームを2時間に収めなくてはならないから、致し方ないのかもしれませんね。池井戸作品は小説が一番面白い。身も蓋もないけど。
おもしろかったです。
原作が上下巻ある小説なので、展開が早く感じますが、役者さんが演技が良いですね。しっかり楽しめました。 細かい部分は、小説で楽しもうと思います。
半沢直樹よりリアリティあったかも🎶
お金は人に貸すもの。 自分も銀行員時代、理想と現実のギャップを感じていましたが、忘れずにベースに持っていた考え方です。アキラとあきら、半沢直樹よりリアリティあったかもです😃
アキラ300%
もう、たまらなく嬉しいです。大好きなんですよ、池井戸潤。「空飛ぶタイヤ」、「七つの会議」、そして映画化3本目となる本作は「アキラとあきら」。ドラマ化もされていたようですが、全く知りませんでした。キャストは総入れ替えでの2度目の実写化。しかも、メガホンをとるのはなんと三木孝浩監督。主演は大好きな横浜流星と竹内涼真。期待出来ない要素がないっ!!! かなりハードルが高かったのに、やはり面白い。 そして、やっぱ凄いや、三木監督。人物の描き方が素晴らしい。池井戸潤の作品って、人物が多くてあまり映画向きじゃない。ドラマの方が面白いと思える。現に「七つの会議」では人物の描き足りなさが目立ち、ストーリーとしては非常に面白いものの、勿体無いなと思ったのを覚えている。でも、本作は過去2作品とは比べ物にならないくらい人物像の作り込みが素晴らしかった。これは、紛れもなく三木監督の才能。やっぱりいいなぁ、この監督は。大好きっ。 横浜流星、竹内涼真を初めとした豪華キャスト。髙橋海人、江口洋介、石丸幹二、ユースケ・サンタマリア、児嶋一哉、宇野祥平、塚地武雅、上白石萌歌、奥田瑛二。池井戸潤作品の好きなところでもあります。大俳優のアンサンブル。見応えあって楽しい。先程も言ったように、ひとりひとりのキャラが立っていて本当に面白い。横浜流星カッコイイなぁ、竹内涼真男前だなぁ、髙橋海人演技上手いなぁ、、、江口洋介怖ぇ、ユースケ・サンタマリア雰囲気良き、塚地武雅の貫禄凄いなぁ。語り始めたら止まらない。誰か一人好きな俳優がいたら、絶対に見てください。後悔しませんから。 本作は「2人のアキラの再生」を描く人間ドラマ。色んな場面で三木色が出ており、暖かい気持ちで終わりを迎えれる、言わば池井戸潤ぽくない作品。テンポもよく、ストーリー展開もお見事。今までの池井戸作品が苦手だと思っていた人には、意外にも面白いと思えるかも。ただ、池井戸潤ファン、経済映画好きの私には少し物足りなく感じた。後半の畳み掛け方、爽快感、興奮度。なんか上がらず、ちょっと残念。これはこれでいいんだけど、ラストにはやっぱり不満を覚えてしまった。もっとガツン!と来て欲しかったなぁ。 他にも演出が若干くどかったり、物足りないと思ってしまったが、選曲センスや配役が最高に良く、銀行の話なのに竹内涼真パワーなのか、すごく身近に感じて居心地がいい。エンドロールのbacknumberもハマっていたし、映画としてはかなりの成功なのでは?ヒットしそうな作品の予感。この調子でいっぱい経済映画作ってくれ!! 「空飛ぶタイヤ」「半沢直樹」「七つの会議」のような奥深さは少なかったが、いいセリフ・いいシーンが沢山あって愛おしい作品だった。上記3作品は好みが別れるため人にオススメしにくいが、本作は結構万人受けしそうなのでオススメしやすい。面白く、楽しく、考えさせられるいい映画です。この夏にぜひ。
ひとことReview!
映画自体はしっかりとした作りで、「困っている人を救いたい」という山崎瑛に共感したいけど、次々と出てくる経済用語と経済的ロジックは、頭の整理が追いつかず途中で疲れてしまう。原作ファン、金融業界人、偏差値60以上の大卒向け。
見る視点によって感想が極端に違うような作品…。
今年257本目(合計533本目/今月(2022年8月度)33本目)。 原作小説はあるようですが、小説のあとにWOWOW版があり、それはネットフリックスで見ることができますが、どうも全部見てしまうと結局映画版はその「縮小バージョン」であるようなので、主人公の生い立ちなどがわかりうる1話だけを見てから向かいました。 その1話だけ見た感想、また、ここで事前に仕入れていた知識では、「そこそこ」法律系知識が要求され、しかも「会社法」>>「民法」といったところかな?と思えるのですが、実際のところは逆の感じです。 他の方も書かれている通り、小説版ないしWOWOW版を2時間に圧縮しているため、妙なセリフや途中のカットがわかりにくい点はまぁ確かにあります(ストーリーの接続が妙にうつってしまうなど)。ただそれより結局のところ、「単純な経済ネタ映画」として観るのか、「多少にも法律系の話題を扱う映画」として観るのかが人によってバラバラになりがちで、後者の類型で見ると結構な知識が要求されてしまいます。 (映画としての)ストーリーは他の方が書かれている通りで、名前(読み方)が違う2人が数奇な運命で同じメガバンクに就職した後、いろいろあったところ、とある会社の危機に際して書類を見ていたら、とんでもないこと(下記参照)が書いてあり、それをどう解消していくのか…という趣旨になります(ほかにも語り口はあると思いますが、もっぱら私は法律的な観点で見にいったので)。 ストーリーとしてはそれほど珍妙ではないのですが、小説版にせよWOWOW版にせよかなりの長さがあるものを2時間で収めたためにあっちこっち「飛び」がすごく、ある程度法律ワード(法律ワードというより、突き詰めると商法会社法と民法の話)が飛び交い、しかもそれもわかりにくい部分で説明も少ないので、うーんどうだろう…、評価は分かれるかな…とは思ったものの、今週(26日の週)は、作品が少なく、事実上本作品か「異動辞令~」の一騎打ち(そして、3番手にシーフォアミーが、入る形?)になるのでは…と思います。 娯楽映画として観るのは人それぞれだと思いますが、そこらの映画とはくらべものにならないくらいに求められる知識が高く、その部分で人を選んでしまうのかな…という気がします。ただ、だからってその部分まで(原作にない部分も含めて、一般大衆がみることが想定できる映画に対応して、追加して)作成すると4時間コースになりかねず、これもこれで仕方がないのかなぁ…という気がします。 採点にあたっては下記を考慮しています。 ---------------------------------- (減点0.3) 上述通り、「一定程度の法律系知識」が要求される映画なので、それ前提で見るのか(視聴者側も最低限の知識を持っていることを前提にするのか)、あるいは単純な「娯楽映画」として観るのかがやはり人によってバラバラで、前者として観る立場(私はこの立場)では、「これは結構厳しいなぁ」というレベルです(映画版ゆえに圧縮しまくった関係で、説明が少ないか、固有名詞は出るもののその説明が不十分等)。 ただ、小説版にせよWOWOW版にせよ、あることないこと付け加えられないのはこれも確かであり、引いてもこのくらいではないか…と思います。 ---------------------------------- (▼参考/連帯債務と連帯保証、単純保証と連帯保証などのお話) ・ このストーリーにはこういったお話が出ます(なので、最初に「会社法>>民法」と書きましたが、会社法的なお話はほとんど出ません)。 連帯債務も連帯保証も似た部分と違う部分があり、映画内で参照されているのは後者です。この2つは似た部分もあり条文(民法)上も準用(読み替え規定)があるものも多いですが、違う部分も多いです。 そして、保証の中でも単純保証と連帯保証ではまた話が違ってきます。単純保証であれば、貸した金がかえってこない場合に、「まず主債務者に言え」と言えます(催告の抗弁権、452条)。それでもダメな場合、「主債務者から取り立てる財産があるなら、まずそれから手をつけろ(着手せよ)」とも言えます(検索の抗弁権、453条)。ところがこれは単純保証の場合で、連帯保証の場合はこの2つの権利を持ちません(454条)。つまり、「いきなり連帯保証人のところに金返せ」ということになります。 ※ 催告・検索の抗弁権には特殊な例外があります。 ところで、連帯保証人の場合、複数の保証人がいます(そうでないと「連帯」にならない)。このとき、例えば4人で1000万円の連帯保証契約がむすばれているとして、「いきなり飛び越えて金返せ」と言われても「4人いるんだから、自分は250万円しか払わない」とは言えません(「「分別の利益」がない」、といいます)。つまり、全額返せと言われたら全額返さなければならないのであり、全額返した場合の残りの主債務者と連帯保証人との関係は「そのあとで」調整する内容になります(債権者は原則関係してきません)。 なお、映画内ではこれと組み合わせて「根保証」という概念も出てくるので結構厳しいです(なお、2020年から民法改正でこのあたりの条文が変わっているので、映画のストーリー内でこの「根保証」の論点の理解を本気で考えるとはまります)。 ただし、「根保証」それ自体は、実は「それほど」特殊なものではなく、実は身近に存在します。就職・転職された経験がある方は、就職転職にあたって「何か迷惑をかけた場合、連帯して保証します」というものを書かされたことがある方は多いと思いますが、これは実は「根保証」の一種です(「身元保証に関する法律」(1933年)がその最たる例)。
善人による復讐は、弱者への救済。ってな話。 とてもテンポが良く、逆...
善人による復讐は、弱者への救済。ってな話。 とてもテンポが良く、逆転に至るまでのキャラ配置も含めた展開が素晴らしい。 ラスト近くのユースケに手の平返されるアンジャッシュ児嶋が可哀想で笑える。泣けるシーンなんだけど。
主演二人が対照的だけど、とても熱くて良い
とにかくスッキリする逆転劇。嫌なキャラも必死に戦っていること、ちゃんと見せ場があるから良い。 児島以外みんな良いキャラに見える笑 それに最初とラストが繋がるから観ていて気持ち良い。 仕事に対するモチベーションが上がる、仕事前日に観ることをオススメする作品。 演者がみんなキャラと合ってると思った。 竹内涼真演じる人を救うバンカー。 やっぱり熱いキャラが合っている。過去の辛い経験と目標となる人物との出会いがしっかりと描かれているから、その熱意に説得力が出て、暑苦しくならないのが良い。 一方、横浜流星演じる老舗会社の御曹司。 流浪の月で過剰な愛情による激しさと脆さを見事に演じて凄えと思ってたが、今作も冷静沈着だけど内には熱い思いを秘めている姿は良かった。 それと弟を演じた高橋海斗も良い。兄に対してコンプレックスを抱え、反発する姿が良い。ジャニーズという肩書きに頼らずしっかりと存在感を示せている。
なんか古臭いけど泣けた。
小説を自分が書くようになり、自分が物語をつくるなら?そんな視点で映画をみてる。もちろん僕にはこんな話は書けない。しかし、久々映画館に行ったな。 最近、映画好きの女性と映画の話をしていた。彼女とはシュミがかなり異なるな。関係はない。アキラとあきら、感想をのべる。 タイトル、失礼極まりないかもしれないが、なんか古臭い。現代劇なのになんでだろう。 銀行員のはなしが池井戸さんの物語だが、バンカーに、こんな誇りってあるんだろうか?金貸しだもんな。そこのリアリティがいまいち感じるから古臭い感じがするんかもなあ。市場経済は利益第一主義だ。こんな素晴らしい銀行員はおらんな。金八よりおらんかもしれん。 はれの日に傘を押し付け、 雨の日に傘を取り上げるとは、劇中の言葉だが、全くそのとおりでしょうね。マイナス金利の謎な現代社会、それだけで銀行丸儲けだ。また、手数料で110円〜220円がコンビニでとられる。月に10回、お金をこまめにおろしたら2200円毎月、さっぴかれる。年間では、二万五千円くらになる。ひどい社会。 さて、本題にもどろう。 竹内くん、横浜流星くん、良かった! テーマは、運命になるんかな。そして仲間とか人情とか。僕も運命に翻弄された人生を送っています、三回の挫折が自分を変えた。 さて、竹内くんには、出世欲望がゼロだ。ないわけではないが、葛藤もそれほどは見えない。葛藤を描くことに注視したほうが、リアリティがあって、おもしろくて人間的かな。例えば比較するなら、半沢直樹では、同期が自分の生活のために半沢を裏切るけどその方が人間らしいし、そこを乗り越えて許した半沢直樹が人間らしかった。 竹内君みたいに債権回収を人情からやらなかったり、偉いひとのプロジェクトを蹴ったら普通は、左遷どころですまん。パワハラとイジメにあってメンタルやられて潰される。現代社会は厳しい。 しかし、愚直に懸命に生きる様をみて、感化されるのも人間だ。そこに社会の希望がある。 竹内くんは、確実性を求める江口に懸命にこたえ、さらに仲間に誠心誠意尽くした。そして頭取も動かした。 社会に、いま、「正論」はあるのか?理想なんかとっくに無くした日本人。1現実、2正論、3理想、僕はあらゆるものは、この三段階をだと、なんとなく最近、哲学的に考えていた。 正論すら、通らない社会になった。コンプライアンスなんて、名前ばかりが独り歩きして、中身が伴わない社会だ。 そんな中で、正論を通して、理想をとおした主人公。 「バンカー」ってなんなんだ?働くとはなんなんだ? 働くとは人のために役立つことである。労働とは人のためのものである(私の考え) そうでなければ、人間は労働に誇りなんかもてんのだ! あらためて、自分の考えかたや、運命など考えさせられたよい映画でした。
超スッと入ってくる
夏休みでみんなワンピースをみにいってるのか、公開3日目日曜の夕方にもかかわらず、空席が目立つ。 池井戸潤の作品は毎作品楽しみに観ており、今作も期待してました。 いい意味で想像と違いました。いつものとてもドロドロした裏切りや企業の闇という感じとは違い、とてもスッと入ってくる。 主演をはじめ、全ての俳優が自然に演じている。2人はもちろん、上白石萌歌はいつものおっとりとした雰囲気と違う役割でも合いすね。 演出、音楽もわかりやすいものですが、違和感なくマッチしてたと思います。 人情に訴えるストーリーも心揺さぶられました。 久々に正統派な映画、とても良い時間でした。
【”救済”小さなベアリングの絆が、二人の優秀で漢気溢れる男達が”人生の舵”を取り戻していく過程を描く、胸が熱くなる人間ドラマ。青春映画の旗手、三木孝浩監督の絶妙な手腕に唸った作品でもある。】
ー メガバンクに入社した山崎瑛(竹内涼真)と、階堂彬(横浜流星)は、同じ東京大学経済学部卒として、同期の中では頭一つ抜きんでている。
が、生い立ちは真逆で山崎瑛は銀行の融資を得られず廃業した小さなプレス工場の息子。
故に、彼は人を救えるバンカーを目指している。
一方、階堂彬は老舗海運会社、東海郵船の御曹司。
父親を含めた3兄弟たちの、身内でありながら柵に囚われた姿に嫌気が差し、銀行員に・・。ー
◆感想
・物語の設定、構成が絶妙である。
原作では長く語られていた山崎瑛と、階堂彬の子供時代の話を最小限にとどめ、銀行に入行してからの二人の生き様にフォーカスして描いている点が良い。
ー そして、子供時代に二人が一瞬交錯した、”ベアリング”を彬がハンカチで拭いて、瑛に渡すシーンの再後半との連動制が、鮮やかである。ー
・新入社員研修の一環で”会社側”と”銀行側”に別れて、ある会社に融資するかどうかを、チーム毎に検討させるシーン。
ー あのシーンは、見事だったと思う。
山崎瑛チーム(銀行側)が、階堂彬チーム(会社側)が作成した貸借対照表から、粉飾決算を見破り、融資を拒否する・・。そして、二人は周囲からその力量を認められつつ、それぞれのバンカーの道を突き進んで行くのである。-
・山崎瑛は、地道に足で町工場を回り、資金繰りの厳しい会社の経営者(宇野祥平)の愛娘の心臓移植手術だけでも受けさせようと、バンカーとしてはやってはいけない事をし、地方都市に飛ばされる。
一方、階堂彬は順調に、出世街道を突き進む。
ー それにしても、今時、本社勤めが出世コースで、地方勤務が出世から見放された人の辿る道って、どうかなあ・・とは思ったが、物語的には分かり易いので特に突っ込まず。-
・山崎瑛は地方でも、足で稼ぎ実績を残し、見事に本社復帰を果たす。そこには、彼を地方に飛ばした常に”確実性”を求める不動(江口洋介)が営業部長として、君臨していた。
ー 不動は、一見ヒールの様に見えるが、至極真っ当な男である。後半描かれる彼の行動からそれは分かるし、仕事の出来ない男がメガバンクの営業部長にはなれないだろう。-
・階堂彬の家が、崩壊寸前だった描き方もスリリングである。
二男(ユースケ・サンタマリア)は東海郵船Gの東海商会の社長。三男(児島一哉)は東海観光の社長だが、東海郵船を率いる長男(石丸幹二)と合わず、勝手にリゾートホテル、”イーストオーシャン下田”を開業するが・・。
ー 今作の時代設定が、バブル期である所で、観ている側は”マズイよなあ・・”と感じる。
そして、山崎瑛にコンプレックスを持つ弟、龍馬(高橋海人)は、義兄たちの”イーストオーシャン下田”がリスキーで実質は赤字になっていることを薄々感じつつ、連帯保証金を出してしまう。-
■白眉のシーン幾つか
・東海郵船の危機を救うために、前途洋々たるメガバンクを退職し、社長になった階堂彬が、義兄たちと対決するシーン。義兄たちの粉飾決算を見抜き、追及する姿。開き直る義兄たち。
ここで、驚いたのはプライドの高い階堂彬が、階堂家を再び一つにするために、彼らの前で土下座するシーンである。
自分が、東海郵船を継がずに逃げた為に、階堂家の絆が解れた事に対する自責の念と、亡き父への詫びだろうと、私は思いながら観ていた。
更に、義兄たちに告げた亡き父の”義兄たちにイロイロと、押し付けてすまなかった・・。”という言葉。それまで、シニカルな態度を取っていた次兄が、立ったまま涙する姿。
ー このシーンは沁みたなあ。次兄も、自分自身が長兄に対し、コンプレックスを持っていた事と、”自分の人生の舵”を父に決められてしまい、レールの上で走らざるを得ない苦しさが垣間見えるのである。
そして、彬の行動により、東海郵船Gに、再建への微かな光明が差すのである。
彬の提案を、義兄たちが承諾した事により・・。ー
・東海郵船Gを救うために、山崎瑛が考えた”救済策”の秀逸さの見せ方。
ー この映画では、複雑な会社間関係や再建方策を、ホワイトボードを上手く使って観る側に分かり易く説明する。見事である。
そして、山崎瑛の稟議書は、不動を納得させ、頭取(奧田瑛二)にまで上げられるのである。
観ていて、胸が熱くなるシーンである。
稟議書に押された、不動の印のアップが滲んで見えてしまったよ・・。-
<当初から、階堂彬が山崎瑛の行動、言動を見ていて度々言う言葉。
”お前は、育ちが良いよ・・。一度どんなところで育ったのか見て見たい。”
ラスト、総てが解決し、海が良く見える丘の上で、”アキラとあきら”が固い握手をするシーン。
そして、山崎瑛が常に首から下げているあの”小さなベアリング”が落ちた時に、階堂彬が、子供の時と同じように、ハンカチで丁寧に拭いて渡す姿。
今作は、非常に濃密な、胸が熱くなる人間ドラマである。
青春映画の旗手、三木孝浩監督の、絶妙な手腕に唸った作品でもある。>
2時間でよくまとまってた
竹内涼真は
“貧しいけど雑草魂で駆け上がる、心のまっすぐな青年顔”なんでしょうか?
そういう役が多いと感じるなどw
見応えがあって良かったです。
階堂兄弟、どんだけ経営センス無いねん、とちょっと思いましたけどw
ユースケの男泣き良かったです。
赤い糸
池井戸作品に外れなし。 毎度パターンは同じだが、胸熱シーン満載。 今回も楽しませてもらった。 ストーリーについてはよくあるパターンで良く言えば安定感がある。 悪く言えば毎度の展開の中で俳優陣が豪華かつ個性的でとても素晴らしかった。 テレビドラマのような過剰な演出もなく、個人的にはとても好感が持てた。 主演の2人は文句なしに男が見てもかっこよく、 特に横浜流星は冷静で知的なオーラをまとっていた。 だが、最後に彼らを遙かに凌駕して持って行ってしまったのは江口良介だった。 剣心の時といい年を経るごとに存在感が増している。 ファーストインプレッションが最悪だっただけに後半の言動は心に刺さった。 男同士だが運命の糸で結ばれた2人、ちょっと暑苦しいが堪能した。
本作では2時間にまとめるというこは並大抵の大変さではなかったでしょう。見事に大きな破綻がなく、映画作品に仕上げました。
【ご注意】結末には触れていませんが、一部ストーリーを解説しています。 先ずは、三木監督のファンにとって三作品が同じ月に公開されているという奇跡みたいなことになっています。しかも三作品は多種多様。三木監督本来のらしさ溢れる悲恋映画もあれば、山崎貴監督が手掛けそうなロボット映画もあれば、本作のような福澤克雄監督が手掛べき池井戸潤原作作品に挑戦したりで、真に三木監督のフトコロの深さを感じさせる三作品同時公開となりました。 本作は、池井戸潤作品としては異例の雑誌連載小説のまま単行本化されず埋もれていたのが2017年にWOWOWでドラマ化されたのがきっかけとなり注目されて映画化に至った作品です。 日本有数のメガバンクに同期入社した山崎瑛(アキラ・竹内涼真)と階堂彬(あきら・横浜流星)。同じ読みの名前を持ち、性格や信念が正反対の2人が、立ちはだかる「壁」に協力して立ち向かうストーリーです。 少年期の偶然のふたりの出会いから始まり、約30年間にわたるふたりの熱い関係は、連続ドラマWでも全9話18時間でやっと描けているのに、それを本作では2時間にまとめるというこは並大抵の大変さではなかったでしょう。でも本作では、ふたりの銀行に入る前のいきさつをバッサリと切ってしまい、重要なエピソードのみをピックアップし適宜挿入する手法で、見事に大きな破綻がなく、映画作品に仕上げました。 銀行が舞台で、池井戸作品の中でも銀行業務の中でも中枢を担う部分を扱う作品だけに専門用語が乱舞しますが、三木監督は慎重に深入りをさけて、金融や経済が苦手な人でも楽しめる作品に仕上げました。ラストシーンでアキラとあきらが、お互いを見つめ合うシーンは、まるで三木監督の作品にありそうな恋愛映画のような終わり方だったのです。 物語は1988年に遡ります。実家の零細工場が倒産したばかりの山崎瑛、運転手付きの高級車に乗っている階堂彬。普通であれば、交わることのない幼い2人が、運命の出会いをします。2人の“アキラ”の人生の交差はこの年から始まっていたのでした。 やがて2000年4月。メガバンク・産業中央銀行の新人研修で伝説が生れました。研修の最終行程で行なわれる実践形式の融資プロジェクトで、相対した瑛と彬。誰も想像のつかない提案をした融資を申し込む会社側の彬。それを粉飾決算と見破った、融資の可否を判断する銀行側の瑛。お互いの健闘を讃える2人。この時はまだこれから待ち受ける過酷な“運命”を、2人は知る由もなかったのです。 入行直後から大型融資案件を決めて、勢いづく彬。それに対して瑛は担当する零細企業が切り捨てらようとすることに我慢できず、職務上の秘密を漏らしてしまい、地方支店に左遷となります。かつて実家の工場が銀行に切り捨てられて倒産した辛い過去を持つ瑛にとって、同じような零細企業を救うことが銀行員になった目的だったのです。だから担当する企業が切り捨てられることに納得ができませんでした。 そんな瑛に彬は、おまえは理想主義者だと見下すのでした。 やがて、彬の実家が経営している大手の海運企業東海郵船では、代替わりが起こり、弟の龍馬(髙橋海人)が、社長に就任します。 そこに目を付けた、グループ会社の社長を務める叔父の階堂晋(ユースケ・サンタマリアと階堂崇(児嶋一哉)に龍馬は乗せられて、ふたりの叔父が立ち上げたリゾート開発事業の支援を引き受けてしまいます。それを危惧する彬は龍馬に意見しますが、龍馬は聞く耳を持ちません。 そのころ本店に復帰して、東海郵船の担当となっていた瑛と新人行員の水島カンナ(瀧本美織)は、龍馬がとんでもない保証契約を叔父のふたりと結んでいた事実に気付きます。瑛は彬に東海郵船は危機的状況にあり、それを救えるのは彬しかいないと伝えるのでした。 危機に陥った実家の東海郵船に対して、跡継ぎとなることを嫌って飛び出していた彬は、見捨てようとしていたのです。そんな彬に、何とか東海郵船を救おうと奮闘していた瑛は「逃げてはいけない。ちゃんと向き合うんだ!」と彬に一括するシーンが峻烈でした。このあと彬は、龍馬からの「助けて兄さん!」との嘆願も受けて、銀行を退行し、東海郵船の社長を引き受けることになったのです。 持ち上がった東海郵船グループの倒産の危機を前に、瑛と彬は、これまでお互いの信念の違いから反目し合っていた関係から一致団結します。そして固い絆で結ばれるようになっていくのでした。 そんな社長となった彬に瑛は、ウルトラCともいうべき画期的救済策を提案します。 一瞬希望が垣間見えますが、そこに立ちはだかったのが瑛の上司の不動公二(江口洋介)。彼の口癖は「融資の確実性」。瑛の救済策には確実性が見込めないと自行の支援を拒絶するのでした。 はたして瑛と彬の熱い絆で、東海郵船は救えることができたのでしょうか? まっすぐな性格の瑛を全身で表現する竹内涼真と、冷静沈着で陰を持つ彬を目線一つで感じさせる横浜の横浜流星が効いていました。三木監督の演出はごくごく自然体で、『半沢直樹』の福澤監督ほどにオーバーアクションではないのですが、瑛と彬の危機的状況に立ち向かっていく熱さは充分に伝わってきました。 特に、自分の理想を曲げずに社会の中で強く生き抜く姿勢を演じきった竹内には、『六本木クラス』で奮闘する主人公とオーバーラップします。適役でした。 また瑛の壁となって立ちはだかる上司の不動にも注目。冷徹な江口の演技だからこそ、感動の結末につながりました。瑛が「倍返し」で仕返ししなくてもです(^^ゞ ところで一見すると金融ドラマに見える本作ですが、実は重要な人生ドラマのテーマが隠されていたのです。 それは、「どんな人生の問題集(宿命)を背負ってでも、乗りこえられるのか!」というものでした。その命題を解き明かすために瑛にはいろいろな試練が降りかかります。それでも諦めず、立ち向かうことを止めなければ、神さまはちゃんとどこかに解決策を用意してくださっているというものでした。 なぜ神さまが出てくるのかといえば、本作の冒頭で「宿命は必ず乗り越えられる」と瑛少年に語ったのが、瑛の父が経営していた「山崎プレス工場」の専務保原茂久(塚地武雅)だったからです。保原は熱心なクリスチャンであり、聖書の言葉を引用して、父の会社の倒産に泣き崩れる瑛少年を励ましたのが、この言葉だったのです。 わたしも人生とは問題集のようだと常々思っています。人にはそれぞれ宿命があり、ざまざまな業(カルマ)を背負って生きています。生きていると順風満帆とはいかず、まるで何かの問題集を解かされるているように、難題が降りかかってくるものです。その難題を解いて、自分がどんなことに気付くべきか、難題からの教訓を得ることこそ人生の目的ではないでしょうか。そしてそこから逃げずに立ち向かっていると、不思議に解決策は見えてくるものです。それが保原の伝えようとしたことだったのです。 神さまを信じようとしない人でも、本作をご覧になっていただければ、人生に解けない問題集はないと実感してもらえることでしょう。いま瑛のように人生の難題にぶち当たって苦悩しているしている人が、本作をご覧になっていただければ、きっと乗り越えられない宿命はないと、心の奥の奥から勇気が湧き上がってくることでしょう。落ち込んでいる人に特にオススメしたい作品です。 最後に向井理と斎藤工が主演したドラマ版も見応えたっぷりでした。ぜひ宅配レンタルか「Amazon prime」でご覧ください。特に映画版では割愛された叔父たちのグループ企業によるリゾートホテルの運営実態が、どんなに劣悪だったか具体的に描かれます。きっとこれでは仕方ないなと皆さんも納得されることでしょう。 公開: 2022年8月26日 上映時間:128分
心に響く素晴らしい作品
空いた時間ができて前情報なしに鑑賞しましたが、まさかこんなにも骨太な作品だと思いませんでした。 私は演出とか脚本とか演技とか難しいことは分かりませんが、大変素晴らしい映画だと思いました。もっと若い頃に見ていたら、はたまた仕事が全て思い通りでなんの苦労もしたことがなければ、もしかしたらこんなに心を強く揺さぶられるほど感動しなかったかもしれません。登場人物それぞれに立場があり、それぞれの気持ちを察することができるくらい人生経験を積んできたからこそ、この作品に共感できるのではないか、そしてほとんどの大人がそんな思いに共感できるのではないかと思います。 素晴らしい映画だと思います。原作も読んでみます。
人の気持ちを動かすのは土下座なのか。
池井戸潤の原作小説で銀行物。半沢直樹的な展開かと思ってたんだけど、かなり違ってました。竹内涼真演じる山崎瑛(アキラ)は小さな町工場の社長の息子。子供の頃、銀行に見捨てられ工場は潰れていた。その経験から人助けをする銀行員を目指している。横浜流星演じるもう1人の(あきら)海堂彬は、大企業の長男。彼は同族経営が嫌で銀行員になった。この2人が巨悪に立ち向かう話かと思っていたが、悪人は存在せず海堂家の会社を救う為に山崎が頑張る話だった。ビジネスというより家族問題がメインだったかな。ずっとダメダメ役のユースケと児島がはまってたな。何より良かったのは本部長の江口洋介。こういう話だとパワハラ上司の非道ぶりを見せられるかと思っていたが、彼はできる上司だった。確実性を求めるがゆえ、山崎の感情移入が強い提案を却下し続ける。ドラマ的には不快だけど、それ普通だからね。出番の少なかった塚地の存在感も大きく、良かった。ラストは運命的な出逢いの2人の握手。ウルッ。
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