ハケンアニメ!のレビュー・感想・評価
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ものづくりの真髄
実写とアニメの融合映画というには失礼なぐらいの緻密な両立。アニメが実写に寄り添い、実写で人間の演技が存分に話を作り上げる。ものづくりをする人たちの苦悩、孤独、快感、使命感を表情豊かに問いかける。CMでいつも愛らしい吉岡里帆さんの、芯のある演技は良かった。気持ちが空回りして時おり噛む(ようにふるまう)演技がかえってリアル。この主人公に、中村さん、柄本さん、尾野さん、小野さん、六角さんの演技がガッチリ噛み合ってドラマの満足感をこの上なく高める。しかし一番プレッシャーだったのは監督ではなかろうか。お疲れ様でした。とても素晴らしかったです。
(大阪市の先行上映会という特異な事情のため)あっさりで。
今年131本目(合計405本目/今月(2022年5月度)8本目)。
ブルク7(バルト系列。movix系列というのが正しい表記?)で先行上映と上映に先立ち監督の方などのミニトークショー等で2時間30分くらいでした。
正規の公開日が20日で、特にトークショーとブルクからは「ネタバレ発言はやめてね」という指示はなかったものの、常識的に考えれば「そりゃダメでしょ」という話になりますので、そこは触れないことにします。
映画の本筋としては、映画内ですでにアニメ監督として一定の評価を受けている監督に対して、「ある夢・動機」を持った女性監督が、アニメのでき(視聴率)を競う、という趣旨。そのため、「アニメパート」と「非アニメシーン」(要は、普通のアニメではない部分、ということ)が混ざるという特異な映画です。
こちらも女性監督の方がそれに挑戦するという内容でしたので、取り方によっては「女性の社会進出」(フェミニズム思想)と取ることも「一応」可能ですが、争いはあっても、2021~2022年において、少なくも「女性が社会で会社等で働く」ということはもう常識であり、そういう思想までは感じられない、という部分です。
もちろん実話ではないので、当然作話の範囲ですが、アニメと一般作品(ここでは、アニメ以外の「普通の」映画をさす)の違い、また「元ネタありのアニメの作成」(たとえば、ドラえもん等)と「元ネタなしのアニメ作品の作成」などでの(映画内での)アニメ監督の考え方など、現在(2021~2022)まで含めて、かなり正確に描かれています。どれかに分類せよと言われると難しいですが、取り方一つでは「アニメ作品の完成にいたるまでのドキュメンタリー映画」か、それに準じる部分があるのでは…という気がします。
映画の中では、こうしたすでに一定評価を受けている監督に、新人女性監督が挑む…という内容で進んでいきますが…・おっと、その話をするともうネタバレですね。
先行上映のレビューって難しいですね…どこまでネタバレでどこまでがネタバレでないかというのが難しいですし、仮に「ネタバレあり」のタグをつけても、1クリックで表示されてしまいますし…。現在(2021~2022)では普通に先行上映会などある現在では、ここ(映画.com)もこれらに対するガイドラインが欲しいところです。
一部、やや法律関係で気になった点はあるものの、その話をするとネタバレであり、これを仮に指摘するとしても減点0.2程度であり、そうしてもフルスコアになってしまうので(七捨八入のルールを個人的に採用していることによる)、それらは今回は(こういう特異な事例を考慮して)減点なしとしました。
正規の公開日(20日)はそうですね…。「アニメパート」もありますが「いかにしてアニメ作品は作られるのか」ということに興味がある方にはお勧めかな、という一作です。
心に刺さる。熱意
行城さん推し❤ ❤ ❤
ズルい…
仕事とリンク
仕事!好き!
好きのために命を削る、0→1にする大変さと想いに駆られる
キャスト登壇付きの先行上映会が当たり、鑑賞。アニメの覇権を巡るドラマを主軸にしつつ、情熱の到達点とその先を描く。あなたの情熱をバカに出来る奴なんて1人もいない。でも、その情熱を作るのは、1人では出来ない。
アニメ産業のデカさを考えると、こういう作品も生まれてくるのは必然かもしれない。この作品は、アニメの覇権を争いながら、0を1にする苦悩と熱量を引き連れて襲ってくる。それ故に、序盤から涙腺ウルウル。自分の好きなもの、それを武器に戦うことは容易ではない。その難しさを可視化しつつ、あらゆるものが苛みながらも前に進む様はアツい。
アニメ産業といっても、分業に次ぐ分業の為、ピースは細分化される。その中でも、監督と監督、スタッフに声優など、根を張る様に広がっていく。そのピントに凄く面白さを感じるが、どうしてもテンポは難しくなる。その違和は仕方ないが、とても楽しい。その人にしか分からない痛み、その人にしか見えない景色、その配分も上手い。吉野耕平監督の魅せる多元的な情報展開と、人間ドラマを主とした描き方に迷いがなくて面白い。
そして、なんといってもアニメが凄い。プロデューサーも苦労したという2者のアニメの制作は、どちらも1級品。エヴァとアキラを彷彿とさせるキャラデザと、たぎるようなストーリー。声優の視点もあることから、本筋を大いに補完する。きちんと題材に留まっていないのが魅力的だ。
主演は吉岡里帆さん。原作者の辻村深月さんを「私の書いた斎藤瞳だ!」と言わせた風貌は見事で、可憐さを削ぎつつも可愛さを残している。そのバランスを濃い脇役たちがさらに引き立てる。中村倫也さんは舞台挨拶の時と同じ様なゆるさを感じさせつつ、締め切る緩急は圧巻。天才は伊達じゃない。そして、柄本佑さんと尾野真千子さんのプロデューサー陣も凄く良い!彼らのことは多く書かないので、過程を乗りこなしながら楽しんでほしい。
就活していることもあり、好きの情熱が報われないことも分かってきた。また、こうしてレビューしていても、作品を生み出すことに比べたらどうってこともないちっぽけなのかもしれない。だが、好きは逃げない。報われる人間は努力をしているのだ。華のある様に見えても、実は地味なのかもしれない。それがなんだ、超えようぜ…!そう言ってくれる作品だった。邦画にしか成せない技であり、ハイクオリティな良作だった。
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