「自己再生? 家族再生? ネグレクト? 社会福祉? ……いや、テーマは「水は無料でいい」だった。」渇水 kazzさんの映画レビュー(感想・評価)
自己再生? 家族再生? ネグレクト? 社会福祉? ……いや、テーマは「水は無料でいい」だった。
映画の冒頭、姉妹が水のないプールで遊ぶ。幼い妹を楽しませようとする姉の健気さが伝わり、染みるシーンだ。
結局、このシーンが一番良かったように思う。
水道料金滞納者に督促をし、支払いに応じなければ給水を止めるのが業務の主人公・岩切(生田斗真)が、不幸な境遇にある姉妹と出会ったことで自身を見直す自己再生の物語…ではある。
であれば、岩切の気付きのポイントが重要な気がするのだが、そこが私には見えなかった。
母親が育児放棄状態の姉妹。幼い妹を抱えて追い詰められていく小学生の姉。その姉に助けの手を差し伸べ、拒否されたことで岩切の決心は固まったように見えた。
後輩の木田(磯村勇斗)に対しては業務への割り切りを指導していたが、自分の中では葛藤があったのだろうか。淡々と仕事をこなしながら不条理を感じていたのだろうか。
しかし、である。
ここまで岩切には妻子との間に問題があることは見えていた。自分の子供時代に親との確執があったことも匂わされていた。
たが、あの爆発した行動は社会の不条理への(あるいは納得のいかない業務への)反発ではあっても、自身の夫婦・親子関係の問題には直結しないように思えた。
息子や妻はあの行動を見てはいないのだから、何が彼ら家族の関係を雪解けさせたのか。
「メデタシ、メデタシ」に無理があるように感じた。
不良母(門脇麦)からの謎かけも単に思わせ振りなだけに感じた。
原作は未読だが、脚本段階での練りが足りないのではないだろうか。
そして致命的なのが、画面から暑さや渇きが伝わってこなかったこと。太陽の光を利用するなどして工夫された撮影ではあったが、私にはそれほど暑さが伝わらなかった。
特に、室内の描き方だ。電気も止められているのだから、もっと茹だるような暑さの演出をしても良かったのではないだろうか。
子役も含めて、演者たちはそれぞれ実力を発揮していて、場面場面は引き込むものがある。
が、全体感では不満が残る映画だった。
残念。
わざわざご丁寧にありがとうございます😊
どうぞお気遣いなく、私の方が、いろいろやらかしていますので。
あまり詳しく製作のことわかりませんが、なるほどと思いました。
知らない者にとっては、水道止められるという事実にも驚きました。生死に関わるのにとも思いました。電気もですが。そっちが気になってました。またよろしくお願いいたします🦁
おはようございます😃
共感かありがとうございます😊
そ、そ、そう大賛成、何で、
家庭のこと出すのかなと思ってました。原因もわからなかったし、
岩切の生育歴だからといって皆が皆、そうではないと思いますし。
姉妹のその後はどうなったのかもわかりませんでした🦁
こんばんは♪
お久しぶりです。おっしゃる通り。なぜ息子からのうれしい知らせがあったのか、わかりませんでした。姉妹の家も暗さしかわかりませんでしたね。
姉妹二人、特にお姉ちゃんが上手かったですね🦁
こんにちは。
岩切はあの姉妹の境遇を知り、息子と重ねたのでしょうけれど切り返す動機はあまり伝わってこなかったですね。鬱屈した様子にストレスの吐きどころがなく山もりになってるのは感じましたが。
姉妹の特にお姉ちゃんのストレスは責任感と緊迫感と信じられなくなっている母を妹のために信じたい気持ちで混乱していて、転んだシーンでは泣きたい自分をさらに隠して妹をなだめる姿が苦しいほどでした。
コメントありがとうございました。金魚も死んでしまった、という話なら、無情な物語として受け止めるんですが、忘れ去られるのが一番悲しいので、ちゃんと決着をつけてくれてよかった、と思いました。ただ、おっしゃるように、無理やりめでたしめでたしにした感はありますね。たぶん監督が優しい方なんだろうと思いました。
コメントありがとうございます。
木田が冗談で愚痴るくらいだったらいいんですけどね。
本気で言ってそうな人があれだけ多いと、制作側がそうなのかとすら思ってしまいました。
暑さの表現に関しても、仰る通り。
汗ですらあまり描かれてなかったように思います。