ベルファストのレビュー・感想・評価
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モノクロ映像の必然性は
モノクロ映像メインの作品とのことで、重い内容を覚悟して鑑賞。
思いの外ポップな表現で繰り広げられたストーリーゆえ、全体を通して比較的明るく観れた。私は本作の歴史的背景にあまり馴染みがなかったため、表面的なところのみで観てしまったかも知れないが、確かにコメディージャンルの一面もあり。
オープニングは目を見張るほどのカラー映像で、その後は一部を除きモノクロ映像。スクリーンや眼鏡に反射する鮮やかなカラー等々、映像的にかなり工夫されていたと思うが、全体を通してモノクロにこだわった映像の必然性には少々疑問。変にこだわらずカラー表現の方がさらに映像美を押せたのでは、と個人的には思えてしまう。
とは言え、本歴史に疎い私がどうのこうのと言えるテーマではないゆえ、個人的な良し悪しは語る必要はないし、語ることはできないと言ったところか。
しわくちゃな顔
故郷に根を張ること、翼をひろげて異郷へ立つこと
モノクロームの鮮やかさ
ケネス・ブラナー監督をほとんど意識したことがなかったのですが、「シンデレラ」(05)は大好きな作品です。絵本がアニメになったり、アニメが実写になるときに、想像する余地が少なくなってしまうと却って表面的で陳腐になるやもしれませんが、そんなことは微塵もなくとてもイマジネーションをかきたてられて楽しめた印象があります。今作は、ブラナー監督自身の体験がベースになった自伝的映画です。平和だった街が宗教観の違いで分断され、暴力の連鎖となり引き裂かれていく様は、人間の歴史上繰り返し登場することで、やるせない気持ちになりました。とても印象的だったのは、モノクロで描かれているのにとても鮮やかな印象を受けたことでした。
人として生まれたなら
おまえが探せない所へは行かない
みんながバディに優しい、街の人々ももちろん家族も。宗教上の対立から街が混乱、混沌の世界に進んでいく中で9歳の少年は周囲の大人たちから学んでいく。未だに宗教戦争の何で?が分からないが、嫌が上でも巻き込まれざる得ない状況。抜け出せたバディは好きなベルファストから出ないといけなくなるが、出られたバディ家族は幸せだと思う。最後の献辞には心打たれる。
モノクロの優しい映像は彼の心か?
バディがかわいい
北アイルランド紛争
どんな時代・場所でも変わらず無垢なもの。
イニシェリン島から
イニシェリン島から見えていた、内戦中の本土、北アイルランド、ベルファストの話、と思って、興味を持って観てみたら、監督の自伝的なやつだった。
アカデミー予想のメラニーさんが推してた映画だった。(それでタイトルだけ覚えてた)
なんか、推すの分かる!
いい映画で、ベタといえばベタ。
記憶を辿って作っている感じにグッとくる。過去のもの、もう無いものへのノスタルジアに満ちている。
ケネス・ブラナーの故郷への熱き思い
【鑑賞のきっかけ】
俳優、監督、脚本と幅広く活躍しているケネス・ブラナーの自伝的な作品として注目していたものの、劇場鑑賞を逃していたため、今回、動画配信で鑑賞してみました。
【率直な感想】
<映画鑑賞に予備知識は必要か?>
基本的に映画は、何の予備知識がなくても、楽しめるように作られていると思います。
しかし、本作品は、特に日本人の場合は、ある程度の予備知識があった方が、ケネス・ブラナーが伝えたかったことを深く理解できるのではないかと思います。
本作品は、1960年代に北アイルランド・ベルファストで起こった暴動を中心に、若き日のケネス・ブラナーと思われる少年バディとその家族が辿る運命を綴った作品です。
この暴動なのですが、キリスト教徒の中でも、プロテスタントの一派が、カトリックの一派を町から追い出そうとして起こしたもの。
プロテスタントとカトリックの対立という現実を、少年バディは初めて目にした訳です。
でもこの暴動は、突発的に生じたものではないと言えるでしょう。
アイルランド島の歴史は、イングランドの侵攻と支配の歴史です。
アイルランド人の多くはカトリック。ここに、イングランドから、プロテスタントが持ち込まれることとなります。
つまり、カトリックとプロテスタントの対立には、長い歴史があり、1960年代の暴動は、深く根付いていた対立が表面化したものと考えられます。
その結果、現在、アイルランド島は、ベルファストのある北部は、イギリスの国土であり、南部は、アイルランドという独立国家です。
だから、イギリスの正式名称は、「グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国」という、とてつもなく長い名称になっています。
この映画の救いは、少年バディの一家はプロテスタントなので、暴動の首謀者側であるのですが、両親は宗派の違いによる対立には否定的で、少年バディもそうした両親の考え方に沿った形で成長していくところでしょう。
<一部カラーなのはなぜ?>
本作品は、冒頭、現代のベルファストの様子がカラー映像で映し出され、やがて時代を遡って1960年代の映像になるとモノクロとなります。
でも、物語の途中、一部カラー映像になります。
それは、少年バディが、両親などに連れられて、映画や演劇を鑑賞するシーンがあるのですが、観客席はモノクロなのに、映し出される映画や舞台上の俳優は、カラーで表現されています。
この演出の意図は何かと考えたのですが、少年バディが生きている現実世界は、暴動により治安が悪化し、光り輝いた世界ではないと感じられます。
これに対し、鑑賞する映画や演劇という架空の世界は、少年バディにとって、光り輝く世界に見えたのではないでしょうか。
【全体評価】
ネタバレになるので書けないのですが、物語のラストに流れるテロップには、ケネス・ブラナーの心の温かさがにじみ出ていて、辛い現実を描いた作品ではありましたが、後味は良い作品に仕上がっていたと思います。
「ニュー・シネマ・パラダイス」と「Dearフランキー」を足して
「ベルファスト」というからIRA絡みの「デビル」(’97 ハリソン・フォード、ブラッド・ピット)の
延長線かと勘違いしてました。 ケネス・ブラナー監督ごめんなさい。
ストーリーはブラナー監督の少年期の追想のようですが、
G・トルナトーレの「ニュー・シネマ・パラダイス」を思い起こさせます。
やっぱり映画監督って子供の時分から人一倍映画が好きなんですね。
子供目線で見ている点は「Dearフランキー」と同じ発想ですね。
こちらはスコットランド・グラスゴーの話ですが。
まずモノクロで撮っているのが深みがあってとても絶品です。
ストーリーも宗教対立の中で自分の生まれ育ったベルファストに対する
強い思い入れに揺れる家族を描いていて、見る者に感情移入させます。
主人公の少年の脇を固める4人(両親・祖父母)の役者もナイスです。
そして何よりも劇中映画が懐かしさを呼び起こすのはたまらない。
「リバティ・バランスを射った男」(’62)ではJ・スチュワート、J・ウェイン、そしてリー・マービン。
L・マービンを画面中央にアップで映すなんて凄すぎです。
「ニュー・シネマ・パラダイス」でも「駅馬車」のJ・ウェインをアップにしてたけど。
ゲーリー・クーパー主演の「真昼の決闘High Noon」(’52)ではあのグレース・ケリーが
映っているではないですか!!
彼女はまだこの時は駆け出しで可憐な女優でしたが、その後モナコ王妃になっちゃうのだから。
監督はなんとあの巨匠、フレッド・ジンネマンですよ。
そしてテーマ曲ディミトリ・ティオムキン作曲の Do Not Forsake Me, Oh My Darlin。
耳からも記憶を呼び起こさせてくれる。
幸せを感じさせてくれる場面でした。
欲を言えばジョン・フォード監督の「わが谷は緑なりき」が無かったのは残念であった。
場所はウェールズだけど炭鉱夫一家の話なので、亡くなったおじいちゃんへのオマージュとして是非入れておいて欲しかった。
ブラナー少年は当時この作品を見なかったのかなぁ?
蛇足です。 ベルファストは北アイルランドNIRの首都ですが、
ロンドン・テムズ川のロンドンブリッジそばに同名の巡洋艦が博物館として停泊しています。
幼少期のインパクトある思い出
良い映画をみました
アカデミー賞で作品賞を受賞したと知り、へーっ、どんな映画かなーと気になってやっと鑑賞。
モノクロ映画ってだけでとても印象はオシャレになり、音楽も映像も役者さんも全て素敵でした。
ストーリーは北アイルランドで起きた実際の歴史に基づいていますが、大人のあーじゃこーじゃがメインではなく、ある普通の一般家庭に住む男の子が、ある日突然、その日常を脅かされなければいけなくなるというもの。
ベルファストという場所も初めて知り、この場所でそんなことがあったということも初めて知りました。
社会で起こる争いごとに、社会的弱者達はいつも巻き込まれ、生活を脅かされ、選択を迫られる。
そんな中でも、バディやバディの家族は前を向き、時にはユーモラスに生きていく姿に勇気をもらいます。
心優しく、思慮深い祖父母の存在もかなり大きく、二人のシーンには何度も心がホンワカさせてもらいました。
まだ小さなバディだからこそ、大人が気づかないシンプルなことに気づく。そして素直で、真っすぐで、純粋。
歴史に翻弄されながらも力強く生きる登場人物達に学ぶことは多くありました。
本当に良い映画!!
どの登場人物にも感情移入しちゃう
殺伐とした動乱のベルファストで過ごしたケネス・ブラナーの想い出。まず、純情で、愚かでもあり、それでいて何かに踏み出し始める微妙な年齢の子供バディの視線で描かれている。ここがとてもいい。「トルコの喜び」味のチョコバーとか「環境に優しい」洗剤とかバディならではのこだわりアイテムが芸の細かいくすぐりだ。殺伐としたシーンのなかでも可愛くて笑える所が多いところはとても癒されるが、ちょっと「受け狙い」っぽくてズルいぞ。
バディ本人だけじゃなくて父ちゃんにも母ちゃんにもじいちゃんにもばあちゃんにも感情移入、というかシンパシー感じる。武装集団側のビリーと父ちゃんの関係ものっぴきならないところが良く表現されていました。人間そのものと、加えてその関係性の描写がいいんですね。いい映画を観ました。
音楽もゴキゲンでしたね。
母ちゃん役、カトリーナ・バルフっていう方ですか?初めて見たけど脚長くてめちゃくちゃスタイルいいじゃん、って思ったらファッションモデルなんだそうですね。道理で。
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