劇場公開日 2022年3月25日

  • 予告編を見る

ベルファストのレビュー・感想・評価

全275件中、1~20件目を表示

4.0ケネス・ブラナーと“ベルファスト”の街が奏でる珠玉の98分間

2022年3月29日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

第94回アカデミー賞で脚本賞に輝いた「ベルファスト」だが、筆者は敢えて今作の編集力を特筆すべき点として挙げたい。北アイルランド紛争のど真ん中にいた少年の眼差しだけを描くのでなく、両親や優しい祖父母の視点もとらえている。にもかかわらず、98分間にまとめあげた今作は、ケネス・ブラナーが実際に“分断”を体感したからこそ作り得たと言うことが出来るかもしれない。

コメントする (0件)
共感した! 22件)
大塚史貴

4.5ケネス・ブラナーの創造性の源泉ここにあり

2022年3月26日
PCから投稿

ブラナー監督は自らの屈託のない幼少期を描いた小さな物語が、まさか世界中の観客を虜にするなんて想像したろうか。ライフワークのシェイクスピア物はもちろん、「シンデレラ」から昨今のクリスティ物に至るまで、多くの原作翻案で知られる彼。オリジナル企画として放たれる本作は、そのオープニングから懐かしい時代、愛すべき故郷へと回帰していく穏やかな思考の流れが、一つの映像として芸術性豊かに刻まれている。ある時は、家の前の封鎖空間を舞台劇のようなタッチで描き、またある時には映画にしかなしえない内面へのクローズアップ、かと思えば日々激化する対立をパワフルに見せ、次の瞬間にはそれを上回る力強さで人の絆や思いやりをしっかりと紡ぐ。モノクロ映像の中に浮かぶ家族一人一人の表情、セリフ、思い出が胸を締め付ける。特にジュディ・デンチのあの言葉には思わず泣いてしまった。ほんの100分足らずの作品だ。でも本当にいい映画を見た。

コメントする (0件)
共感した! 27件)
牛津厚信

4.0☆☆☆☆ 〝 アイルランド人は旅人だ、世界中にパブはある。だから♬...

2024年3月16日
iPhoneアプリから投稿

☆☆☆☆

〝 アイルランド人は旅人だ、世界中にパブはある。だから♬ダニー・ボーイのメロディーは、何処に居ても聴こえて来る 〟

人よりもある程度は映画を数多くは観ている方…とは思うのですが。この作品に関する事前の情報は特に此方には届いてはこず。気が付けば、アカデミー賞に多くノミネートされている…って事だけの知識。
元々、これまでの監督ケネス・ブラナー作品が個人的に好きではないのもあって、それ程の期待もしてはいなかった。

いや〜とても良い作品でした。今年のアカデミーノミネート作品だと、ネット系作品に対する拒否感覚は未だに根強いだろう…との予想もあり。更には、現在のウクライナに対するロシアの侵略行為が、民族間の差別・対立から発生している事も考えると。スピルバーグの『ウエストサイド…』に時流は流れているのでは?と思っていたのですが。この『ベルファスト』の受賞の可能性もかなりあるのでは?との思いを強く持ちました。
例え無理だったとしても、ジュディ・デンチとキアラン・ハインズの助演男女優W受賞の可能性は高いとの思いを持ちました。
アラン・ハインズ、、、良かったなあ〜

ベルファストの街で、ひっそりと暮らす小さなカトリックのコミュニティー。そこにプロテスタント集団が襲いかかる。
同じ民族同士であるのに、宗教観の違いと言うだけで流血や略奪の限りを尽くす悲劇。
そんな時代背景をバックボーンに、幼い少年が初めて迎えた少女との淡い恋物語がとても良かった。

お祖父さんとお祖母さんの、少年を諭すように話す《恋とは何か》を伝える人生訓の深さ。
間違った行ないに対して毅然とした態度で叱るお母さんと。普段は頼りなさげなのだけど、いざとなったら暴力主義には絶対に屈しない父親の強さ。
それらが渾然一体となり、未来へと向かって〝 月を目指す 〟

ケネス・ブラナーの演出は、つい先日に公開された『ナイル殺人事件』の時にも感じられたのですが、この作品でもかなりアクの強い演出。
特に印象が強かった演出として。まるで加藤泰監督作品のように、人間・車・バス・建築物等を、下から煽る様に撮っている場面が随所にあり。必然的に空が映る場面も多く、その際には重苦しい雲が空を覆っているところ。
その辺りのアクの強さに苦手意識を覚えると、少しずつ気持ちが作品から離れてしまうかもしれない。
とは言えそのアクの強さが、時折感じる異様な力強さへと繋がっていたのでは?とも感じました。
本作品はそこが最大の見所だったと思っています。

知識に乏しいので、ひょっとしたら間違った考えにあたるのかもしれないのですが。作品の中で暴力主義を掲げる集団が、後に泥沼の争いを繰り広げる【IRA】の過激派グループへと移行する事を示唆していたのかもしれないですね。
(ググッたら、IRAそのものは1919年の発足で。その運動がより過激化したのは、作品中に描かれていたと思える時期だったみたいですね)

2022年 3月25日 TOHOシネマズ錦糸町楽天地/スクリーン12

コメントする (0件)
共感した! 0件)
松井の天井直撃ホームラン

3.0故郷の出奔を余儀なくされた真の理由

2024年2月25日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

<映画のことば>
「3年かけて延滞税を払ったのに、お礼の言葉もなし。」
「当然だろ。相手は税務署だぞ。」
「歯をくいしばって払ったのに、完済の証文もなし。それで、手紙を書いたのよ。」
「何て書いた?」
「私の夫が、延滞税を完済したという証明書が欲しいと。ブラックリストに名前が載っていないか、確認してくれと。」
「余計なことを。」
「なぜ?」
「手紙を読んで役所は、俺の口座を遡って調べた。追徴税572ポンド。5年かけて、分割で支払えと。お前の手紙のおかげだ。」

宗教的な紛争もさることながら。
それにに加えて、過酷な政治(重い税負担)ー。
もちろん、それも重い財政負担(戦費の調達)からくるものなのでしょうけれども。
そのことも、故郷の出奔を余儀なくされた理由の一つ(…が、しかし、相当に大きな理由)として、見逃すことはできないと思いました。評論子は。

おそらくは、そのために親は経済的に困窮し、子供たちは(空腹と小遣いの不足から)食料品店で、万引きを働く始末。

それらの事情が、当時の北アイルランドのこの地に暮らす人々の上に、暗く重たい影を落としていたことは、疑いのないようで、問題の根本的な解決には、移民となることのほかに良策はなかったようです。
「苛政は虎よりも猛なり」(礼記)とは、よく言ったものだとも思います。

戦乱だけでなく、ベルファストにも「人食い虎」が潜んでいたからこそ、時代も地理も遥かに離れた場所のこの寓話と同じようなことが、監督の身の回りでも起こってしまったということになるのだと思います。評論子は。

本作は、評論子が参加している映画サークルが、2022年に札幌地区で公開された映画のベストテン映画(外国映画部門)として選定した作品の「見逃しの補遺」として鑑た作品でした。

その評に違(だが)わない、佳作であったと思います。評論子は。

<映画のことば>
「わざと数字を読みづらく書け。
先生が良き解釈をして、選択肢が増えれば勝率も上がる。」
「それって、ズルじゃないの?」
「スプレッド・ベッティングさ。」
「でも、正解はひとつでしょ。」
「答えがひとつだけなら、紛争など起きはせんよ。」

コメントする (0件)
共感した! 12件)
talkie

3.5監督の回顧録

2024年1月31日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 1件)
ゆい

3.5北アイルランド紛争

2024年1月18日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

2024年1月18日
映画 #ベルファスト (2021年)鑑賞

#ケネス・ブラナー 監督が故郷ベルファストを舞台に幼少期を描いた自伝的ドラマ

プロテスタントとカトリックの対立と激しさと、その中でも家族の強い絆をモノクロ映像で描く

何となく懐かしく感じてしまう映画でした。子ども目線だからなのかな?

コメントする (0件)
共感した! 2件)
とし

2.0サムネの雰囲気と高評価で期待し過ぎた…

2023年11月26日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

吹替版で観た為、バディの声があまりに子供コドモし過ぎてて、上手く馴染めなかった……。

宗教·宗派間の争いがあんなに酷いのは理解に苦しむ、無垢な子供もおそらく同じ気持ちと思う。
そこまで大事なことなのだろうか?
もっと大事な、生きるに重要な事も有るのでは?
バディの素直さが響く。

好みの違いも有ってか、あまり残るモノを感じられなかった。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
奇妙鳥

3.5また宗教紛争か、同じ宗教でも宗派で対立、あさましすぎる。 ラストに...

2023年11月26日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

また宗教紛争か、同じ宗教でも宗派で対立、あさましすぎる。
ラストにおとんが感動的なことを宣うが、そんなの当然じゃないか。これで評価が高いのか?
てなわけで評価ほどは私的には刺さらず。
刺さったのは唯一、母親役カトリーヌ・バルフの美しさのみであった(笑)

コメントする (0件)
共感した! 2件)
はむひろみ

4.09歳の少年バディーの人生の岐路?!

2023年9月10日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

ケネス・ブラナー監督の故郷
北アイルランドのベルファスト
家族の愛に包まれた生活を送っていた
少年バディーの生活が、1969年の8月に
プロテスタントの武装集団がカトリックの
住民に襲撃したことにより、
生活が一変した!

同じ地域にいながら2つの宗派があり
対立してしまう!
当時の紛争が、モノクロームの街並みと
共に重苦しく、身体にのしかかる情勢が
描かれていました。

祖父や祖母に囲まれた穏やかな暮らし
ずっとこのままでいられたら、幸せだった
けど、、
家族の愛、宗教の違う人との友情。

決断を迫られた一家。

何が正解だったか、分からないけど

どこにでもいる少年の笑顔を見て
平和を願う気持ちになりました。

ケネス・ブラナーの愛した故郷が
歴史と普遍的テーマを感じました。

コメントする 2件)
共感した! 26件)
美紅

4.0アイルランドの片田舎

2023年9月4日
iPhoneアプリから投稿

少年の心を中心に丁寧に描いた

コメントする (0件)
共感した! 3件)
トッキー

3.0故郷と家族への想い

2023年8月24日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

サイト評価から知識ゼロで鑑賞。モノクロとその使い分けで雰囲気がある。決して広くない街なのに普通の人達があれだけ争うって、宗教への考え方が違い過ぎる。しかも、それほど昔ではない。ところで、ミハルの街だったんだ。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
げっちゃん

4.0突き刺さる数々のセリフ

2023年6月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

怖い

セリフのひとつひとつに魂がこもっていました。こんな映画、始めて観ました。
ただ、どうなんだろうか、そのセリフと映像、音響がバランスはしていないとも感じました。いや、全然、問題ないんですよ、全編通じてセピア(モノクロとも微妙に違って感じたので)なんだけれどフィクション部分(映画内映画とか演劇とか)はカラーで区分けしてあって、うお、すげえ工夫だなと感心しましたし、暴動騒ぎやら普通の生活とかすぐそこにありそうな音の響かせ方でした。役者も名演技でしたしよく出来た映画でした。でも、セリフが突出し過ぎているんですよねえ。玉に瑕ではなく玉が瑕?
その中でも印象的なところは
・ベルファストの遠景がガンダムのまんま(笑)。ゴッグが上がって来たところ、ホワイトベースのドッグの位置、カイが自転車で駆け下りていくとことか次々とオーバーラップしました。あれ?
・宗教紛争で荒れるベルファストでの人々の日常生活でしかありません。とも言えるでしょう。地味な話です。
・バディが誕生日プレゼントでもらったサンダーバードのコスプレセットですが、あの銃、自分も持ってた!!!!懐かしい!!!
・最大の山場は「洗剤」でした。見どころです。失笑しちゃいました。あれは卑怯です。が、人間、カオスに投げ込まれると火事場の馬鹿力ではありませんが、訳のわからない行動をしちゃうものですね。そういうところを上手く表現していました。

アカデミー賞脚本賞は伊達ではなかった。いい作品でした。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
zem_movie_review

3.0ただの個人の郷愁

2023年6月16日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

昔を懐かしむ作者の吐露しか感じない。
昔は苦労したけど、良かったなあ…的な。
あっそ…としか感想が出ないな、コレ。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
ドラゴンミズホ

3.0宗教の対立の根深さを考えさせられた 主人公の少年の家族は多数派のプ...

2023年6月4日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

宗教の対立の根深さを考えさせられた
主人公の少年の家族は多数派のプロテスタントだが、少数派のカトリックへの攻撃を強要され、嫌がらせを受ける。
父親の立派な考え方、祖父のユーモアのセンスもよかった。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
省二

4.0よかった。

2023年6月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 3件)
だいず

3.5モノクロ映像の必然性は

2023年5月6日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

モノクロ映像メインの作品とのことで、重い内容を覚悟して鑑賞。
思いの外ポップな表現で繰り広げられたストーリーゆえ、全体を通して比較的明るく観れた。私は本作の歴史的背景にあまり馴染みがなかったため、表面的なところのみで観てしまったかも知れないが、確かにコメディージャンルの一面もあり。
オープニングは目を見張るほどのカラー映像で、その後は一部を除きモノクロ映像。スクリーンや眼鏡に反射する鮮やかなカラー等々、映像的にかなり工夫されていたと思うが、全体を通してモノクロにこだわった映像の必然性には少々疑問。変にこだわらずカラー表現の方がさらに映像美を押せたのでは、と個人的には思えてしまう。
とは言え、本歴史に疎い私がどうのこうのと言えるテーマではないゆえ、個人的な良し悪しは語る必要はないし、語ることはできないと言ったところか。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
いけい

4.5故郷

2023年4月18日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

アマプラで鑑賞

最近、なぜか北アイルランドでの紛争を描く作品を目にすることが多かったが、そんな一連の流れをこの名作が締めくくってくれた

出演している方々誰もが見事に演じられていた

コメントする (0件)
共感した! 2件)
がい

4.5しわくちゃな顔

2023年4月13日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

ニュー・シネマ・パラダイスのような雰囲気だが、かなり不穏なコミュニティーは北アイルランド紛争のようだ、ラストシーンにアップされるおばあちゃんのしわくちゃな顔が、QRコードのように私の脳に読み取られ、涙があふれてきた。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
ひろたん

3.5故郷に根を張ること、翼をひろげて異郷へ立つこと

2023年4月9日
iPhoneアプリから投稿

60年代の北アイルランド紛争と都市ベルファストの経済停滞を重厚にとらえすぎることなく、家族とコミュニティと個人のイシューへと丁寧に重ねている。

何かを失うことになっても、家族にとって何が大切か。持っているものを手放すことなく、新たなものを手に入れることはできない。

個人的なことの重要性に比べたら、宗教間の相違なんて表層的な問題に過ぎない。父から息子へのアドバイスは普遍的な愛に満ちている。そして祖母は息子家族に翼を与える。

コメントする 1件)
共感した! 7件)
atsushi

3.0モノクロームの鮮やかさ

2023年4月8日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

ケネス・ブラナー監督をほとんど意識したことがなかったのですが、「シンデレラ」(05)は大好きな作品です。絵本がアニメになったり、アニメが実写になるときに、想像する余地が少なくなってしまうと却って表面的で陳腐になるやもしれませんが、そんなことは微塵もなくとてもイマジネーションをかきたてられて楽しめた印象があります。今作は、ブラナー監督自身の体験がベースになった自伝的映画です。平和だった街が宗教観の違いで分断され、暴力の連鎖となり引き裂かれていく様は、人間の歴史上繰り返し登場することで、やるせない気持ちになりました。とても印象的だったのは、モノクロで描かれているのにとても鮮やかな印象を受けたことでした。

コメントする (0件)
共感した! 5件)
赤ヒゲ