ベルファストのレビュー・感想・評価
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歴史の勉強をもっとやっときゃよかった
北アイルランド紛争があったことは知っていたが、何が原因だったかを本作品で教えてもらい、歴史的背景を理解して観ていれば、もっと入り込めたかなと、自分の知識不足を少し悔やんだ。
モノクロの作品は最近マクベスを鑑賞したが、遠近や陰影がはっきり見えて新鮮な感じで色が無いことへの違和感は感じない自分に感心した。
狭い地域の紛争は、ウエストサイドストーリーもそうだけれど、その地域の経済事情が芳しくないと内向きになり、敵を作り上げてしまうのだろうか、我が国も経済格差が広がり続ければこのような事態を目にするのかも、と恐ろしく感じた。
ラストシーンでバスに乗った子供、孫を見送り自宅のドアを閉めた後、擦りガラス越しに映るジュディ・デンチの嗚咽が圧巻!涙を誘われました。
これは何度か見返したい作品になりました。
子供の目線に救われる
007のMとして散ったジュディー・デンチさんの、次のフェーズともいうべき「おばあちゃん女優」さんのチャーミングさを堪能できる作品。愛すべきおばあちゃんの可愛さと年を重ねて腹が座りまくったアイリッシュの女性のかっこよさに、シビレました。
アイルランドの町の中で起きるカソリックとプロテスタントの対立の激化と暴動を子供の視線で描いていて、この話はどこの国の人でも、共感しやすい作りになっているのが、うまい!と感じました。私は沖縄出身で今年は沖縄本土復帰50年でコザ暴動をテーマにした映画もいくつか製作されていますが、ベルファストは沖縄で起きた話のような気もしてくるし、ウクライナの町の隅で起きた話のような気もしてくるし、この作品を観た世界中の
国の人々が、自分の住む町で起きた話のように感じてしまう、不思議な力を持った作品でした。
登場してくる人物がそれぞれ個性的で、それも良かったです。
これがアカデミー賞獲ってもおかしくない
ケネス・ブラナーの半自伝的映画。
彼は9才にロンドンに引っ越すまで北アイルランドに住んでたそうですが、そんな子供時代のベルファスト市のお話。
北アイルランド問題を描いていましたが、宗教的な対立によって住んでる所の市民同士で窓ガラスを割るなどの暴動があったのはかなり衝撃でした。
主人公の家族はずっと住んでたベルファストから引っ越すか留まるかという選択肢で揉めながら最終的に選択を出す話ですが、暴動シーンの怖さと普段のほのぼのとした日常や学校の女の子との関係等を交互に描いていたために、ベルファストに残りたいと思う気持ちにも理解出来てしまう。
そういった所が素晴らしいです。
もし自分が子供の頃から住んでいる場所が戦場になってしまったらと思うとなかなか考えさせられました。
ただ、今作にモノクロの映像が言うほどハマってるとは思えないのと、思った以上に淡々としていたために少しダレる時もありました。
来週はアカデミー賞があり、最有力はパワー・オブ・ザ・ドッグと言われてますが、今の世界情勢を考えると今作の可能性も無くはないと思えてきました。
とりあえず、数年後くらいに故郷を離れたウクライナ人がこれを観たらどう感じるか、非常に気になります。
ちなみに、劇中にソーのコミックとアガサ・クリスティの小説が出てきた時は腹抱えて笑ったw
去った者、残る者、命を落とした者に…
劇的な面白さはないですけど、命の危機が迫った中で去るか、残るか決断しないと行けない苦しみというのが伝わってくる作品でした。
どう行動するのか良かったかなんて後になって振り返らないとわからないでしょうけど、安全圏から当事者たちをあれこれ批判するような人にはならないよう気をつけたいです、とりあえず。
ケネス・ブラナーがインディペンデントみたいな作品を撮った
ケネス・ブラナーは業界の大御所だけど、新たにこれほど瑞々しい感性の作品を撮るなんて驚き。彼の過去作とはかなり趣が異なる作品で、まるで初期のジャームッシュみたい。
まず白黒の撮影が見事。そして時折差しはさまれる懐かし映画のカラー映像が効いている。それに最後の空の青にはやられた。息をのむほど美しかった。
ベルファストという長年キリスト教の宗派対立の激しい土地の物語で、実際かなり過酷な現実があるのだけど、その中で生きる家族の日常が、どこかユーモラスだったり、愛おしかったり、とぼけていたり、その描写が素晴らしい。
そして主人公のジュード・ヒル君の演技の魅力。彼の演技と存在感は、文句なしにこの作品のキーポイントだろう。
脚本も素晴らしいので、これを書き、監督も務めるケネス・プラナーの才能恐るべし。
世界中の故郷を去る子どもたち
ベルファスト、北アイルランドのこと、少しは知っていたけれど…。
昨日まで普通に隣人であった人が、今日は宗教の違いで敵になってしまう。故郷が安全なところでなくなってしまう悲しみ。
60年代終わり頃のベルファストは、どこか日本の下町のようだ。みんな知り合い。子どもたちが道で遊んでいる。
何かとんでもないことが起こっている。それをバディの視点で追っている。お母さんの緊張、必死さ、お父さんの不安、もどかしさ、お祖父さんお祖母さんの愛情。セリフは少ないけれど眼差しと仕草がとても良い。
音楽もとても効果的。
ナチスから逃れたユダヤ人の子どもたち、ウクライナから逃れた子どもたち、のことを考えた。故郷を離れても、次の故郷を見つけられるように。そしてまた故郷に帰る日が来ることを祈りたい。
全体的に薄いケネスブラナー調ではあった
ケネスブラナーは本当に相性が悪いというか、今まで一度も作品を面白いと思ったことがなくて、でも個人のパーソナルな映画で白黒で臨んでいるのならと思ったけどそんなことはなかった(笑)。やっぱりケネスブラナーはケネスブラナーで映画の人ではない気がしている。
もちろん60年代のイギリスの社会問題、宗教的対立などよくわかってない。けれどキュアロン『ROMA』がそんなの関係なく圧倒的に映画だったのに比べると、ケネスブラナー的軽さに止まっている。ジュディデンチの表情一発の強さと、終盤のダンスシークエンスの喧嘩ばかりだった両親の「若き日はきっとこんなだったんだろうな」という踊りの軽さはピタッとはまっていいのだけど、それ以外のエピソードも出てくる映画までもが軽い。薄い。こんなに薄い挿入映画があっただろうかというくらい活かされてない統一された薄さ。
観る前の想像が上回ってしまってたのかもしれない。短い時間に集約させてたのは良かったと思う。フェリーニの『アマルコルド』はじめ、台湾映画のこういった題材に比べても、実際に出来事でなくて、そこから結局個人の映画表現が全開になるかどうかなので過度の期待だったのかも。
実体験を基にしたからこその名言の宝庫
1969年の北アイルランド
人々が家族の様に助け合いながら生きる小さな街を舞台に起きた悲劇と、悩み苦しみながらも明るく前向きに戦い抜いた人々の姿を、ひとつの家族をとおして描く
ポスターや予告編の高揚感や弾けた感じを期待していくと、オープニングから度肝を抜かれること間違いない
貧しくも牧歌的な平和な毎日を過ごしていた街が、ある日突然、宗教の違いを理由に暴徒に襲われる
実際に起きたプロテスタントとカトリックの抗争を、ケネス・ブラナーが自身の実体験を基に、故郷への愛情とコロナ禍で生まれた様々な諍いへのメッセージをこめて作り上げた渾身の一作
映画という媒体が持つ、リアリズムとファンタシズムとエンターテインメント、それらが見事に融合し幸福な化学反応を起こした
結末は決して幸せではないのに、人々が互いを受け入れて生きる術を模索することの希望と、苦境でも生き抜く人間の逞しさを感じさせる
しかもこの映画、明言の宝庫!
ネタバレになるから書かないけど、ぜひあなたに響くセリフを探しに行ってほしい
悲劇的な社会を生きる。
アカデミー賞作品賞にノミネートされていたので、観させていただきました。
感想
映画愛が伝わってくる作品でした。
ほぼ全編モノクロ映画の中で数少ない輝きを見せている場面の演出としてカラー描写の映画鑑賞シーンが描かれていたので、この点については監督の映画愛を感じました。
私は反戦映画と思って見ていたのですが、この作品はケネス・ブラナー監督の半生描くドキュメンタリー風映画だったので物語展開としてはあまり動きがなく、冗長に感じました。
宗教の価値観による争いという時代背景は、現在のロシアvsウクライナ戦の様で悲しい気持ちになりました。
子供が巻き込まれる抗争は起こるべきではないと深く痛感致しました。
総評
人生の豊かさに有り難みを感じる事が出来た作品。
モノクロ描写の中にも感じる色味描写が興味深いと感じた。
内戦の一方で日々の平穏な生活はあったのだと実感した。おじいちゃんが...
内戦の一方で日々の平穏な生活はあったのだと実感した。おじいちゃんが亡くなったときのパーティ(お通夜?)のシーンの華やかさにびっくり。映画の冒頭でアイルランド紛争の概略説明などあるとよいなと思いましたが欧米の方は常識なのかなと。主人公(息子)とお母さんが良かった。
北アイルランドとスコツトランドの区別どころか、ユダヤ人とロシアの違いすらわからんのだ‼️❓
宗教の差による争い、それは一部で、ただ、一家族の成り行きなのだ。
それで、起伏のない展開だが、モノクロのプラシーボ効果だろうか、家族の肖像がとても印象的なのだ。
少年はゆうに及ばず、父と母がとても魅了的、良い家族だ、ジジイにババアもとても心に残る。
カメラマンが最高に良いので、映像だけで、恍惚とさせられる。
不穏な時代に、不穏な社会、不穏な思想、その中での家族愛。
ジーザスクライストは宗派や十字軍、魔女狩りやエクソシストどころか聖書も読んだこともない。
多分、宗教とか思想は利用されるだけ、人間の悪い性根に👎
でも、愛があれば乗り越えられる、そう、能天気に。
能天気な映画🎞🎟🎬🎦を是非。
静かな作品でした
自伝的作品ということで
派手さは無くて淡々とという感じの良い作品でした。
対立の深さをもう少し表してもよかったんじゃないかとも思いますが
まあ日本人には理解し難い歴史的背景なので
これくらいでちょうどよかったのかもしれませんね。
カトリックとプロテスタントの対立。 荒れる北アイルランドの都市ベルファスト。
ルター宗教改革以来、欧州中で殺し有った旧教と新教の対立は、現代でも終わっていない。
北アイルランドという、イングランドから支配され差別された地区に生きる祖父母、故郷を捨てる息子夫婦、離れたくない孫。
ベルファストという土地の持つ歴史の中で生きるアイルランド人3代親子。
新教VS旧教の対立の根は何なのだろうか。
良い映画だった。
題材(宗教紛争)からしてちょっと共感し難い。
生まれてからずっと現在に至るまでベルファストという街でしか暮らしたことのないある家族がロンドンへ移住していくまでの日常を子供の視点からモノクロ映像で表現した作品。
宗教が紛争に発展するような環境にない私には今一響かなかったです。
街を離れた人、残った人、そして犠牲になった人
ベルファストは怖い街というイメージがどうしてもある。
そこにあった人々の生活や、バリケードが張り巡らされるようになってもあった人々の暮らしが少年の視点から描かれていく。紛争だけではなかったのだと改めて思うと同時に、たとえ子供でも紛争と無縁ではいられない現実もある。
ベルファストを離れたくない、おじいちゃんおばあちゃんと一緒に行きたい、などという場面は胸に迫る。
生まれ育ったベルファストを離れたくないという母。そんな母に街を離れる決断をさせた紛争は酷い。
ロンドンで大工の出稼ぎをして、たまの週末に戻ってくる父。滞納もするし、競馬もやめない。もちろん仕事をやめる訳にはいかないけれど、街が危ない状況でも妻に子供を任せて行ってしまう。
決して良い父親とはいえないと思うのだけれど、ジェイミー・ドーナンがなんとも魅力的に演じていた。
ウルトラノーマル 映画的か?退屈か?
話に盛り上がりはなく、淡々と進み淡々と終わりますので、多くの人が退屈でしょうが、落ち着いてカッチリした構図と彩度限界超えのカラー画面の挿入など極めて映像的な映画です。
1時間40分でまとめているところもよいです。
アイルランド問題や宗教対立は日本人には感覚的に理解できませんが、押しつけがましいテーマや主張も希薄で、ひたすら少年の立場からみた英国の地方都市の在りし日の思い出、といった趣は好感が持てます。
表現しようのないふわっとした雰囲気が好きか嫌いかが評価の分岐点でしょう。
#21 久々に見たモノクロとカラー混合作品
昔『ランブルフィッシュ』という映画を見たとき、全編モノクロなのに金魚だけが色がついてて、斬新な演出だと驚いたら黒澤明監督が最初に用いた方法だと知ってビックリした記憶がある。
本作も予告編とかテレビの紹介とか見てて、てっきり単なるモノクロ映画かと思っていたら、冒頭からカラーでびっくり。
つまり主人公の実生活はモノクロで映画とか新しいものはカラーなのね。
1960年代後半は、日本ではベトナム戦争で忙しくて遠いアイルランドで起きてることにまで気持ちが行ってなかったけど、こんな感じの時代を経てたのね。
私的にはeverlasting loveの歌がめっちゃ気に入った追憶映画でした。
バディ少年がいい
アイルランド紛争について描いた作品。
まだ子どもだったので、あまり知らなかったが、
ロシアとウクライナの戦争真っ只中だけに色々考えさせられる。
人種、民族、宗教など様々なことで争いが起きる。
監督の体験をもとに作った作品だというが、バディ少年の演技が素晴らしい。
つくづく思うのは、映画が楽しめる平和な世の中になってほしい。
屈託のないバディ少年を見ていたら、自分が小さい頃はみんなあんな子どもだったし、周りの人みんなに見守られて育ってきたなあって思ったよ。
ケネスブラナーの映画愛万歳!監督賞は彼に!
モノクロ映画なのに要所要所のカラー部分が流石!と思わせる
映画が大好きな彼の生い立ちに楽しみながらも、アイルランド事情に翻弄されていくタッチが、映像美と音楽も相まって盛り上げている
今回のアカデミー候補なので作品賞は無理でも監督賞をとってもらいたい!そう思わせる力作でした
子供時代の郷愁は素晴らしい感情
ケネス・ブラナーの子供時代の映画。素晴らしい街ベルファストでじいちゃん、ばあちゃん、伯父さん、伯母さん、友達やクラスメートの女の子、みんな愛情に溢れている。
こうやってみんなに愛されれば街が宗派対立でヤバいことになっても楽しく生きられる。むしろ子供はそんなのお構いなしに楽しく生きてられる。
ベルファストを描いた『ベルファスト71』はひたすら破壊と殺戮の映画だったのとは大違い。
大人はいつも大変そう。
子供は楽しそう。でもケネス・ブラナーのお兄さんは大人の大変さもわかる年になって大人しい。
無邪気な子供は最強に人生を楽しんでいる。
あとは、人生はだんだんつまらなく深刻になって落ち目になる。
誰もが子供時代は最高に楽しかったはず、そんな感情を蘇らせてくれた。住んでた街は違えど、こうした感情は世界共通だと思わせられた。
どんなに戦争や暴動があっても、生まれた街やそこに住む人を誰もが嫌いになれないのと同じ感情。
ヴァン・モリソンの曲が素晴らしくて、さらなる郷愁を誘いました!
『救命士』のT.B.シーツというわけわからん曲しか知らなかったのて、こんな曲作る人だとは思わなかった。
ヴァン・モリソンが映画を大きく盛り上げてます。
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