劇場公開日 2022年3月25日

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「「ニュー・シネマ・パラダイス」と「Dearフランキー」を足して」ベルファスト Golgo14さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「ニュー・シネマ・パラダイス」と「Dearフランキー」を足して

2023年2月8日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

楽しい

幸せ

「ベルファスト」というからIRA絡みの「デビル」(’97 ハリソン・フォード、ブラッド・ピット)の
延長線かと勘違いしてました。 ケネス・ブラナー監督ごめんなさい。

ストーリーはブラナー監督の少年期の追想のようですが、
G・トルナトーレの「ニュー・シネマ・パラダイス」を思い起こさせます。
やっぱり映画監督って子供の時分から人一倍映画が好きなんですね。
子供目線で見ている点は「Dearフランキー」と同じ発想ですね。
こちらはスコットランド・グラスゴーの話ですが。

まずモノクロで撮っているのが深みがあってとても絶品です。
ストーリーも宗教対立の中で自分の生まれ育ったベルファストに対する
強い思い入れに揺れる家族を描いていて、見る者に感情移入させます。
主人公の少年の脇を固める4人(両親・祖父母)の役者もナイスです。

そして何よりも劇中映画が懐かしさを呼び起こすのはたまらない。

「リバティ・バランスを射った男」(’62)ではJ・スチュワート、J・ウェイン、そしてリー・マービン。
L・マービンを画面中央にアップで映すなんて凄すぎです。
「ニュー・シネマ・パラダイス」でも「駅馬車」のJ・ウェインをアップにしてたけど。

ゲーリー・クーパー主演の「真昼の決闘High Noon」(’52)ではあのグレース・ケリーが
映っているではないですか!!
彼女はまだこの時は駆け出しで可憐な女優でしたが、その後モナコ王妃になっちゃうのだから。
監督はなんとあの巨匠、フレッド・ジンネマンですよ。
そしてテーマ曲ディミトリ・ティオムキン作曲の Do Not Forsake Me, Oh My Darlin。
耳からも記憶を呼び起こさせてくれる。
幸せを感じさせてくれる場面でした。

欲を言えばジョン・フォード監督の「わが谷は緑なりき」が無かったのは残念であった。
場所はウェールズだけど炭鉱夫一家の話なので、亡くなったおじいちゃんへのオマージュとして是非入れておいて欲しかった。
ブラナー少年は当時この作品を見なかったのかなぁ?

蛇足です。 ベルファストは北アイルランドNIRの首都ですが、
ロンドン・テムズ川のロンドンブリッジそばに同名の巡洋艦が博物館として停泊しています。

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Golgo14