「原因が人間なら、きっと無くならないのだろう」ムクウェゲ 「女性にとって世界最悪の場所」で闘う医師 バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)
原因が人間なら、きっと無くならないのだろう
TVのドキュメンタリー番組的な作りだよなぁ、映画にしなくても・・・とは思いましたが、この目を背けたくなるような現実をTVで放送するのは無理だと思いました。淡々と語られる尋常じゃないコンゴの現実、ムクウェゲ医師が語る異常なレイプ被害の現実。どうしてこんな酷いことをしようと思う生き物がいるのでしょう。あぁ、愚かだ。なんて愚かなんでしょうね、人間は。いつも思います。人間って欲望があると地球上で最悪の獣になれるんだと。
ムクウェゲ医師の存在も、コンゴの現実も本作で初めて知りました。何度かマスコミには取り上げられていらっしゃるのでしょうが存じ上げませんでした。そして、コンゴと日本の関係性ももちろん。
どれだけ我々が国外で祈っても頑張ってもコンゴの悲しみが癒えることはないと思うし、劇的に改善することはないのでしょう。国家自体が自浄することができなければ、強者の顔がすげ変わるだけのような気がします。しかし、今使っているスマホが完全に壊れるまで機種変更は見送ろうと決めました。それしかできることがないのです。知ること以外は。
果たしてコンゴに自浄はできるのだろうか?元武装勢力に属し、200人以上をレイプをした男性のインタビューが流れますが驚愕しました。選択しようが無かったという事情はわかりますが、被害者への謝罪の意が全く語られず、罪の意識が全くないように見えるのです。この人たちは<自分の事しか考えていない><自分がされて嫌なことをしたという意識がない>という道徳的、人道的に根本的な違和感を感じました。その違和感こそが元凶なのではなかろうか?
【他人のことを自分のことのように考えられない】、、、という決定的欠落があるような気がします。
だからこそ、ムクウェゲ医師は「利他」が大事、それが救うと言ったのではないだろうか?まだまだ闇は続きそうで嫌になる。