「男(私)には理解出来ない世界。だから湊かなえワールドか。この📽️を作った男達(監督含め)は本当に理解しながら作ったのだろうか。」母性 もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
男(私)には理解出来ない世界。だから湊かなえワールドか。この📽️を作った男達(監督含め)は本当に理解しながら作ったのだろうか。
(原作既読)①湊かなえの小説は『告白』があまりに面白かったので『ポイズン・ドーター、ホーリー・マザー』まで全作読破した。(その後の作品はちょっと間を置いている)。その読んだ中で、『母性』は『境遇』『高校入試』と並んであまり感心しなかった作品。そして本映画化作品もあまり感心出来なかった。(湊かなえ作品に特徴的な女性の持つイヤーな「闇」の部分の描写が少なかったせいか、話自体が作り物臭すぎたからか。)
②先ず、大地真央と戸田恵梨香との間の麗しい母娘愛というのが歯の浮くような台詞ばかりの浮世離れした世界で観ているこちらが気恥ずかしくなってくる。大地真央が演じているからかまるで宝塚の舞台の様にリアリティーがない。
この母娘“その一”がいびつなので続く母娘“その二”もいびつになるのも当然だと思われてくる。
②元々原作の方も面白くなかったので肝の部分以外は殆ど筋を忘れていて今回映画を観て思い出したくらいだが、肝の部分にしても火事の中で、娘“その一”が“娘その二”を優先して助けるために母“その一”が⚪⚪をするのは作り話臭いと、原作を読んだときから思っていた。今回も母娘“その一”の関係性をもっと人間臭く描いていたら、あのシーンにも幾らかの説得力が出ただろうと思うのだが。
③その後の戸田恵梨香はまるで「おしん」みたいだが、あんな陰気臭い顔をされていたら高畑淳子演じる義母みたいに嫌味を言いたくもなるもの。自分が歳を取ったからか義母の言い分の方が正しく思えてそちらに共感してしまった。
④女性には“母”か“娘”かの二通りがある、という切り分け方も乱暴だと思うけれど(湊かなえの良くできた方の作品群に描かれる女性達はもう少し複雑な内面を持っている筈だが)、大地真央演じる“母その一”は“娘その一”の戸田恵梨香に結局何も教えていない、“娘その一”且つ“母その二”の戸田恵梨香は“母その一”に喜んで貰うために“娘その二”を生むなんて母でも何でもないし、“母その一”の死から何も学んでいない。永野芽郁の“娘その二”も母親の顔色ばかり気にしているのは“娘その一”と形は変わっても中身は同じで、結局この三人の関係性からは“母性”とは何であるかが伝わって来ない。
⑤皮肉なことに高畑淳子の義母に一番“母性”を感じたし、如何にもいそうな口うるさい姑を絶妙に演じて一番笑わせてくれた。『舞い上がれ』の“ばんば”との演じ分けも見事な、この映画で最も人間臭く且つ女臭かった一番の功労者である。
⑥廣木隆一は『あちらにいる鬼』では感心したが、今回は題材を上手くさばけなかったようだ。
―追記―
久々に大阪梅田の箱の大きい映画館で映画を観たがほぼ満席。並んでいる人が多すぎてポップコーンやドリンクを買う気にもならないし時間もない。奈良ではないことだ(『ワンピース』とかは知らないが)。やっぱり大阪は人多いわ。