「わかってた、しんどい」母性 Under_dogさんの映画レビュー(感想・評価)
わかってた、しんどい
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題の通り"母性"、ひいては"母娘"という関係をめぐるお話です。
「毒親」という言葉に収束させるにはあまりに複雑で屈折した思いが交錯し、祖母・母・娘へと連続する女の"性"がじめっと描かれています。
プロットとしては母視点、娘視点でそれぞれの心象を描写しながら物語が進行します。
お嬢様家庭で育った母視点ではお淑やかで丁重な娘への注意は、娘視点では非常に威圧的に映っていたのはかなりインパクトがありました。
娘にとっての母への畏怖や嫌悪、自身に対する愛の欠如を理解した原風景とも言えるシーンだと思います。
終盤の娘の自殺未遂は、これまでの登場人物たちの陰鬱とした感情が一気に発露されたような出来事に思えます。
事実、これを契機になんだかんだで登場人物たちの人生が次へ、前へ進みました。
各々の思想や感情がどれほど行き場を失い吹き溜まっていたのか。
傍観者である私からすると「一段落は着いたのかもしれないけど当人同士でめちゃくちゃ尾を引くんじゃ…?」と思わなくもないですが、そこを不思議と爽やかで前向きに終わらせるのが湊かなえ作品らしいなと思いました。
「女は母と娘の2種類」というセリフがとても印象的です。
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