劇場公開日 2022年11月23日

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「戸田恵梨香・高畑淳子・大地真央の凄い演技が見られます」母性 Bratscheさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0戸田恵梨香・高畑淳子・大地真央の凄い演技が見られます

2022年11月27日
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戸田恵梨香の演技が凄かった…
きちんと狂気を感じさせられた…

原作を読了した際に、人の嫌な部分がリアルに描かれた作品だなと思ったのだけど、各キャストとも、それがしっかりと表現されていた。
高畑淳子なんて、リアルすぎて嫌いになりそうw

大地真央も、素晴らしかった。
登場人物の中で、おそらく唯一の「常識を知っている人」な訳だけど…
常識を知っているのに、「常識人」ではない。
行動をみると、これはこれで一種の変人なのよね。
彼女の強すぎる「娘への愛情」が、娘を「母親至上主義」に縛りつけてしまうし、「娘としての自分への執着」に繋がる。
きちんと、「そういう娘を育ててしまう」人物になっていた。

だから、この映画の中で私が泣いたのは、火事で窮地に陥った中で、この母親が娘(戸田恵梨香)を叱責するシーン。
自分の娘が、孫より自分を助けようとするのを見て絶望している姿。
愛情を注いで育てた娘が、子を産んでなお、自分の『娘』でいようとしている。『母親』として生きようとしていないことに気づかされてしまった、その絶望がきちんと表現されていた。

永野芽郁も良かったけど、この映画の凄さは、戸田恵梨香・高畑淳子・大地真央の演技に尽きると思う。
ストーリーは、概ね原作に忠実。
いささかライトにしてはあるけど、原作の奥深さがしっかりと踏襲されていると感じました。
本当は、義妹はもっとクズだし、永野芽郁の演じた清佳も、もっとメンヘラ気質なんですけどね。

映画として綺麗にまとめつつ、原作のテーマはきちんと踏襲できていて、良い出来だと思いました。

ただ… もともとが鬱々とする作品ですからね。
出来が良いだけに、後味はあまり良くない。
それでも、一見の価値はありますので、興味のある方はどうぞ。

Bratsche