劇場公開日 2022年11月23日

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「女優陣の演技が素晴らしかった(から加点)」母性 kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5女優陣の演技が素晴らしかった(から加点)

2022年11月24日
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鑑賞方法:映画館

風呂敷を広げるのはうまいのに、たたみ方が今ひとつな作家・漫画家がいる。個人的に湊かなえと浦沢直樹がその代表格。湊かなえの場合、テレビドラマの印象がそうさせているのだけど。
そんな湊原作の映画。原作は未読。
湊かなえ原作にしてはおとなしめな始まり方。あまり大きな風呂敷を広げない。母の目線・感じ方と娘のそれとの違いをうまく演出した作りだった。母と娘という親子でありながら女性というジェンダー同士の関係は、男である自分には共感しきれない部分がある。
でも面白かった。出演していた女優たちの演技に引き込まれたからという理由もあるが、風呂敷を広げすぎなかった原作がよかったんじゃないかと思ってしまう。広げすぎない話をこれからも期待したい。
あと、気になったのは小説と映画の違い(ここからはネタバレが含まれます。ご注意を)。

原作を読んでいないから想像でしかないが、娘のさやかの名前が最後になって呼ばれたことに本当はもっとミステリー的な意味があったんじゃないかと感じた。自殺した女子高校生とその母親のコメント。これが自殺だったのか、殺人だったのかという謎のミスリードを投げかけてきた気がするが、永野芽郁がその話を聞いている時点で他人事に思えてしまう不思議(戸田恵梨香演じる母親の娘は永野芽郁と知ってしまっているから)。実は自殺した娘と母親の話ではなく、さやかとルミ子の話だったという驚きを原作では作り上げていたんじゃないかと思ってしまう。小説では書けるけど、映画(実写映像)では難しい演出方法。
いや、たぶんそんなミステリーではなく母と娘のあれこれを描いた物語として映像化したのだろう。宣伝の仕方も含めて難しい問題だ。

kenshuchu