ゴヤの名画と優しい泥棒のレビュー・感想・評価
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あなたは私、私はあなた
ロジャー•ミッシェル監督の遺作。お人好しで他者思いなエスプリが効いた可愛いおじいちゃんケンプトン・パンプトン、それに振り回される妻のドロシー、夫婦の哀しい過去と、愛すべき者を守るための“ある行動”に涙腺が緩む。
センスの良い音楽と60年代のイギリスを体現した映像やカット割りも素敵。
ラスト35分ぐらいからは物語の面白さに拍車がかかる。とくに法廷シーンは観客も傍聴席に座ったような感覚で一体となり、ケンプトンを見守る。小気味良いセリフには思わず吹いちゃう(弁護士が良い味出してた)。
あぁ、なんて痛快な脚本、爽快で小粋な演出なんだ!
1961年、今公開中のウェスト•サイド•ストーリーの旧作が公開された時の話のため、作中でも「ウェスト•サイド•物語」に触れられている。
ゴヤの絵が盗まれた真相が今のイギリスの政策に繋がっている部分も重要なポイント。
ドロシー演じたヘレン•ミレンは今作ではtheおばあさんな役だけど、(ワイルド•スピードジェットブレイクではキレッキレのマダム役で登場)やはり上品な美しさは健在!こんな風に歳を重ねたい。
笑ってほろっと泣ける素晴らしい作品!ロジャー•ミッシェル監督ありがとう。
【1960年代の英国のタクシー運転手や、多くの人々が年金生活者や、社会的弱者に示した善性溢れる粋な作品。法律とは人を断罪するモノではなく、公平公正で適正な社会秩序を維持する為にあるのである。】
-1961年、ロンドン・ナショナルギャラリーから「ウェリントン公爵」の肖像画が、盗まれた。犯人とされたのは、正義感の強い年金生活者で、タクシー運転手のバントン(ジム・ブロード)だった。-
◆感想
・娘を失った哀しみが、バントンを社会的弱者を救う気持ちにさせたのだろう。
ー ナポレオン戦争の英雄「ウェリントン公爵」に対する彼の否定的な言葉。だが、その価値をTVで知り・・。
・バントンは絵画の身代金で高齢者のBBCのTV受信料を肩代わりしようと考えていたのである。
ー 1960年代から現代まで、孤独な老人がTVを通じて、社会と繋がろうとしている事は、何処の国でも同じなのであろう。
又、今作では、年金生活者や、社会的弱者に対する彼の視点が、随所で、ユーモラスに描かれている。-
・そんな彼の気持ちを支える息子ジャッキー(フィオン・ホワイトヘッド)。
最初は、娘を亡くした悲しみと、不器用な正義感を振り翳し、度々職を失う夫に呆れていた妻ドロシー(ヘレン・ミレン)が、徐々に彼の想いや娘を失った喪失感を克服し、受け入れて行く過程も上手く描かれている。
- そして、息子が、彼の代わりに行った大胆な事。-
・良心の呵責に耐えかね判決の三年後、出頭した"真犯人"に対し、検察官が言った言葉も忘れ難い。
ー 当時の英国官僚は、寛容な人物が多かったのだなあ・・。-
<ラストの法廷でバントンが語る言葉の可笑しさにクスクス笑いつつ、裁判員達が下した寛容な判断が心に沁みる粋な作品。
当時の英国社会の懐の深さを感じさせる作品である。
そして、”法律とは人を断罪するのではなく、健全な社会秩序を維持する為にある”という事を思い出させてくれた作品でもある。>
なんてったって脚本が最高!!!
ユーモラスなお爺ちゃん👴とそれにまたユーモアで応える肝の座ったお婆ちゃん👵この二人の掛け合いが作品の素晴らしいスパイスとなっていて全編通して笑いが絶えない作りになってる💕(本作の脚本家のリチャード・ビーン氏とクライヴ・コールマン氏には今後も注目だゎ🍀)残念なのは字幕がそれが伝わるほど上手に訳されず、非常に凡庸だった事……一体どなたが翻訳されたのかと最後に表示された名前を見てビックリ‼️松浦美奈さん………大御所ぢゃないですか😲こんな事もあるんだなー、と残念に思ってしまった。
ストーリーは1960年代に起きた実話を元にしたお話。私利私欲のためではなく、世の為人の為に自分が信じた道を貫くお爺ちゃんはある意味前日に鑑賞した『ドリームプラン』のウィル・スミス演じるリチャード・ウィリアムズ氏と通ずるものがある✨✨✨家族のために、というベースラインも共通。愛すべき奇人変人❤ ❤ ❤
前日のリチャード・ウィリアムズがうちの父親似ならこっちのドロシー・バントンの辛辣なユーモアはうちのお婆ちゃんにそっくりだゎ😊凄い家族だな、うち。
スゴい実話!
ケンプトンとドロシーの会話とても面白かったです。ドロシーは、いつも怒っていたけど、最後は笑顔!
中盤、絵画はいつ盗んだの?と思っていたらちゃんと回想シーンがあってよかったです。
ケンプトンは、大脚本家ですよね(^_^)
ラストの検察官の言葉は承けました。
息子も正直でよかったです。
とても面白い作品でした。
善き隣人
映像も音楽も編集もエッジが効いていながら懐かしい感じもして楽しかった。60年代のロンドンの街の様子が素敵に挟み込まれていた。
主人公ケンプトンの顔を見るたび次に何言うんだろうとワクワクした。「ウェスト・サイド物語」やってるから見に行こうと妻を誘ったら(まさに1961年!)「映画館に行くお金なんてありません」と言われてしまう。パキスタン人の若い同僚を「パキ野郎!」と差別する上司に抗議してパン工場クビになるが妻に言えなくて色々工夫する。かわいい。「パキ」の言葉で映画「ボヘミアン・ラプソディ」の若いフレディーを思い出した。差別といえば警察関係者が頻繁に「イタ公」と言ってた。そして絵画といえば「黄金のアデーレ」でクリムトの絵をみごとにオーストリアから取り戻したお洒落で美しいユダヤ人役がヘレン・ミレン。この映画ではユニーク過ぎる夫持ちの地味な太った妻。言葉使いの悪さに"Language!"と諫めるのいい感じでした。家政婦姿も家のトイレ掃除する姿も堂に入ってました。どんな役もやる素晴らしい大女優!ヨーロッパの女優の強さと自己肯定力に力づけられる。
法廷場面はイギリスだからどうしても笑ってしまう。なんだあの鬘!イギリスってなんか変で面白い。被告のケンプトン、アマチュアでもさすが劇作家、紡ぐ言葉が素晴らしい。弁護人かっこよかった!ケンプトン役のジム・ブロードベントはいい役者!動きも表情も本当に良かった。この事件を受けてイギリスは2000年から75歳(70でしたっけ?)以上はBBC受信料無料!さすがプラグマティックな国!
おじいちゃん可愛い
ユニークで可愛いおじいちゃん。都合の良い方に頭が回りついでに周りを巻き込む。
それを見守るおばあちゃん。
おじいちゃんは悪意なく楽々刑務所へ。
数日滞在。数回経験(笑)
なんだか犯罪が軽い気持ちに錯覚してしまう。
ちょっとクスッと笑える、優しい気持ちになれる、そんな実話の物語でした。
シャンテ公開にうってつけな一作
名画を盗んだ泥棒が老齢の男性だったという実話を描いたコメディだが、ストーリーにハチャメチャ要素はなく、至って川の流れのようにほんわかほのぼのと進むのは予想の範疇で、盗んだのは実は…という意外な展開もそんなに驚く事なく。
だからといってつまらなかったわけではなく、主人公ケンプトンの口八丁ぶりにしてやられ、そんな夫に呆れる妻ドロシーも最終的には内助の功を見せ、その息子ジャッキーがこれまたイイ子すぎるわと、多幸感あふれる人物だらけ。要は極端な悪人が出てこないので、安心して観られる。もっともそこがヌルく感じる人もいそう。
旗艦劇場がTOHOシネマズシャンテになっているのも納得で、年配の観客層が多いシャンテで公開するために作られたような一本。ま、観たのは新宿だったけど。
こうしたジャンルの作品を観たくなるのは、やはり自分も歳を重ねたからだろうか。
ドクター・ノオも盗んだよ
2022年2月16日
映画 #ゴヤの名画と優しい泥棒 (2020年)鑑賞
テレビの受信料を払えない高齢者がいるのに、ゴヤの名画 #ウェリントン公爵 をアメリカから買い戻したイギリス政府への怒りが主人公を突き動かす・・・
実話というのが凄いですね
@FansVoiceJP さん試写会ありがとうございました
ユーモアにほんのりと香る優しい嘘…もちろん盗んじゃダメだけどネ
こういう小粋なユーモアは、やっぱり涙を誘ってくる…。いい歳の取り方、じゃないのは分かってるんだけど、そう見えちゃうのよ。2人がただ、微笑ましい。
歳を取れば取るほど頑固になって、その考えを曲げることが難しくなる。このお爺さんもその1人。公共放送の無料化を叫び、ほぼほぼ聞こえない声を上げる。周りの空気を気にすることなく、人種差別に反対したり、正しいためなら医師を曲げない。傍から見ればまがい物…。そんな彼が犯した罪。フライヤーを読んでなくて良かったのが1つ。面白い夢想家じゃないのよ…。それが。
実話を基にしているとはいえ、抱えている問題は結構いろいろ多く、今にも通じる。マンネリ化した夫婦関係、働かないと過ごせない余生…大変さが滲む。それと絵画がクロスしていく…。ケンプトンの饒舌さにユーモアがほんのりと乗っているから、ラストはやっぱりジーンとくる。オシャレでユーモアが素敵。いい時間を過ごさせてもらった気分。もちろんやっちゃいけないことだし、こうなるとは限らないんだけど。笑
ロジャー・ミッシェル監督の作品を観たのはこれが初めて。知ってるタイトルの作品もあるけど、こうして交わったのも1つの縁。惜しまれつつも遺作となった今作。これを機に過去作を漁ってみようかな…。
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