「映画をゲームしたようなゲームが一周回って映画に!!ゲームの映画化とは何が正解なのか……」アンチャーテッド バフィーさんの映画レビュー(感想・評価)
映画をゲームしたようなゲームが一周回って映画に!!ゲームの映画化とは何が正解なのか……
プレイする映画をコンセプトとして開発されたゲーム「アンチャーテッド」シリーズ。それを一周回って映画化するということもあって、逆に映画として独自性を出すのが難しかったのだろう。
映画化企画が具体化したのは2009年に遡る。主演にマーク・ウォールバーグ、監督も『アメリカン・ハッスル』のデヴィッド・O・ラッセルが決まっていたが、なかなか進まず、その後も何度も何度も……企画会議を繰り返し、ついに完成に至った今作『アンチャーテッド』。
ゲームの映画化作品に対して、何度言ったかわからないが、とりあえず完成したこと自体を祝ってあげたい。
そもそも映画化する必要があるのか……という問題にぶち当たって、企画進まない作品は山ほどある。『グランド・セフト・オート』や『クレイジータクシー』などが、2000年代から映画化されると言い続けているのに、未だに実現していないのと同じこと。「ゲームの映画化」と気づいてもらえなければ、意味がないのだ。『グランド・セフト・オート』を映画化したところでギャングの抗争にしかならない。
先日公開された、『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』と違って、今作は言ってみれば『ナショナル・トレジャー』や『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』などの娯楽性の強いアドベンチャー映画としての側面が強いながらも、次から次に押し寄せる展開は、まるでゲームそのもので、ボタン操作表示がいつ出てくるかと思うほどであり、そもそも映画化する必要があったのかという疑問点はギリギリ回避できたかもしれない。
それなりの没入感もあって、自分ならどっちを選択する、どの相手を信用するかといった、アトラクション的な要素も強いが、それを感じるにも、そもそもゲームをプレイしたことがあって、いくらか忖度も必要。
そう考えると、やはり映画化する必要があったのかという疑問点に戻り、ゲームの映画化自体がノイズとして何周にも付きまとい、何が正解なのか、つくづく考えさせられる。
企画が発表されてから、すでに10年以上が経過していることもあり、マーク・ウォールバーグに加え、トム・ホランドが新たな主人公として加わったのも、不思議な師弟関係のようなものが築けて、結果的には良かったのではないだろうか。
決して駄作ではないし、娯楽アドベンチャー映画として楽しめるだけに、アクションを観るのと同じように、あまり考えてはいけないのかもしれない。
ソニーがゲーム作品のドラマや映画化を目的としたプレイステーション・プロダクションズが設立されて、第1弾となる今作。『The Last of Us』のドラマも現在撮影中で、『ゴースト・オブ・ツシマ』の映画化や『ツイステッド・メタル』のドラマ化企画もすでに進行している。
まずまずな出だしということで、大目に見て良いのではないだろうか…….