LAMB ラムのレビュー・感想・評価
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アイスランドの霧に濡れた大地とホラー映画の親和性
羊がこんなに表情豊かな生き物だったのか!?それが本作の第一印象だ。今やカワウソやマムスターはもちろん、イグアナだって人に撫でられると目を細めることが確認されている時代なので、考えてみればそれは大した驚きではないのかも知れない。
しかし、その羊に出生の秘密があったとしたら。。。というのが、この秋、最も奇妙な映画と言われる『LAMB ラム』の提案である。そして、それは物語の冒頭とラストで衝撃的な映像と共に観客にもたらされる。マジで呆気にとられたというか。
人間のエゴが根底にあることは確かだ。亡くした娘の思い出を引きずる夫婦のかなり歪んだ日常が、ものの見事に破壊される様は、奇妙であると同時にどこか滑稽ですらある。けっこう演じづらかった筈の妻役を、実際に羊の出産に立ち会って役作りに活かしたというノオミ・ラパスの努力も記しておこう。
監督のバルティミール・ヨハンソンは母国アイスランドの霧に濡れた大地を語り部のように使って、自然に対して人間が犯した罪を告発しようとする。北欧ほど、ミステリーやホラーに適した土地はないと思う。
見せる、見せないの巧みな線引きに引き込まれる
実に奇妙な手触りの映画だ。観ると悪い夢に迷い込んだかのようなめまいに包まれる。本作が穏やかで、静謐で、ひんやりと冷たく、背後に広がる大自然が雄大であればあるほど、無性に”彼岸感”が増すと言うべきか。その中で一つの肝となっているのは「見せる、見せない」の明確な線引きだろう。それに「見せる」のであれば、どのタイミングで、どんな形で見せるのかも成否を分かつポイントだ。メインの「あれ」もそうなのだが、舞台に関して荒涼たるアイスランドの田舎風景のほかに何ら描かれない点についても同じことが言えるはず。こうやって外部をまるっきりそぎ落とすことで世界の果てのような断崖絶壁が出現し、我々の想像力も適度に研ぎ澄まされていく。そこにポツンと人の心理だけが浮かび上がり、狂気があらわになったり、身を切るほどの切なさや、愛おしさ、ユーモアが幕を張ったり。この繊細なニュアンスを伝える手腕に引き込まれずにいられなかった。
北ヨーロッパは民話の宝庫
北方になればなるほどキリスト教、特にユダヤ教的要素は薄れていくが、その習合性は他にもまして独自のものになる。この作品のように登場人物にはキリスト教や北方神話の主人公などの名前が象徴的に使われており、一見すると神話だ宗教だと気色ばむかもだが、そこにあるのは遊牧放牧の原始的な民話ベースにおける豊穣に対する民族レベルの憧憬と現実を象徴的に表現した物語であったと言えよう。パンやサテュロス、はたまた山羊か羊か、堕天使か・・いずれも迫害の対象となった閉鎖的集団への警戒物語であり、忌避の物語であり、一方で継承された生と死の物語でもある。
理解できない
美しい自然表情に豊かな羊たちにたぶんキリスト教的な世界観と黒い羊と…
ようわからん映画だけど早送りもせず最後まで画面に集中させる何かは感じました。
だがしかし鑑賞後は綺麗サッパリ心から消える作品でもありました。キリスト教世界バックボーンでマリアや羊やクリスマスなどら暗喩的意味もあるのでしょうが考察サイトを廻って深掘りしたいとまでは思えませんでした
全体的に不穏な空気が漂っていたのは良かった。 アダが成長したら絶対...
全体的に不穏な空気が漂っていたのは良かった。
アダが成長したら絶対やばいやつになって大変なことになるんだろうなと思いながら
ドキドキして見れました。
結局最後まで見て「え、だから何?つまりどういうこと?」って感想で終わった。
どうもネットで考察を調べると、すべてが聖書などになぞらえた構成らしい。
「なるほど!それは奥深い!考察しがいがある!」・・・とはなりませんでした。
それも一つの映画の形なのだろうけど、
私個人としては伝えたいことはその作品の中で伝えてほしいなと思います。
アダちゃん可愛い
ってなかなか思えません…。実際あまり感情表現を見せない気がします。
珍しいアイスランド産のジャンル特定難解映画。ホラーのようでもあり、ファンタジー?でもちょいちょい死んでるからサスペンス?最後のちょこっとだけまた全然ジャンルの違う映画になってしまったり。
アイスランドの片田舎で牧羊を営む夫妻は、娘を亡くし二人で生活をしていた。ある日、産気づいた羊の出産を手助けしていると、生まれてきたのは羊のようで、羊はない何かだった。二人はその何かを、亡くした娘の名前であるアダと名付ける。
ここまで言っちゃえばその何かの正体も大体わかっちゃうと思うし、予告編観ても分かるのでここまではネタバレ範囲ではないと判断して言っちゃうとその何かは人間っぽい形をした羊。羊っぽい顔をした人間、まあどっちでもいいんだけど、羊から生まれてきたから前者の方が正確かな。
娘の代わりになるアダを手に入れたことで二人はとても幸せ。愛情いっぱいにアダを育てるんだけど、自分が産んだ子ではないが故に起こる少しの歪みとかも微妙に見せる。
でも、映画全体を通してみるとそこが主題なわけではない。
途中出てくる旦那さんの弟もちょっとアウトローな臭いを漂わせつつ、最初こそやっちゃうんじゃないかと心配するものの結局アダちゃんと一緒に寝てたりお出かけしたり、情が移ってますやん。
じゃあ、そのアダちゃんの人間覚醒人類受け入れストーリーなのかなと思うとそうでもなし。ちょっと掴みどころのない、ある意味ヨーロッパ映画らしい難解さもあったり。
舞台となるアイスランドの大自然はもう絵かと思うほどの圧倒的な風景ではあるものの、山にも木々が生い茂るような感じではなくちょっと独特の寒々しさが漂う。あまり目にしたことのない風景に感じた。あ、アメリカのユタ州の田舎がこれに近かったかな。
にしても、終盤はちょっと唐突でびっくり。
そりゃあないよとちょっと思うのでした。
種明かしまではとても楽しかった
静かに見れる映画
得体の知れない”何か”を巡るスリル的なトーンの中、羊のなんとも言えないアンニュイな表情を差し込んで笑わせてくる変態的な作品
全体的に少ないセリフ量で、なおかつミニマムで抽象的な表現も多く、こちら側に想像させる余白を与えてくれるのでドキドキワクワクしながら見れた。
しかし、物語の”種明かし”的な部分で明るみに出た”あるもの”の登場で冷めてしまった。
造形なのか、見せ方なのか...
いずれにしてもそこまでがピークでした
ラストカットでの締めかたは良かったと思うので、
”種明かし”の部分さえもう少しどうにかなれば、自分にはより刺さったかなぁと思いました
。
あの洗濯バサミじゃ絶対洗濯もの飛ばされるって。
アダちゃんが観たい。
その気持ちだけで観たのだが
その気持ちを持って観てよかった。
持っていなかったら。
オーバーオールって
人間含めどの生物が着ても
可愛いんだね。
「幸せってやつ」
アイスランドの奥地で羊飼いをしているイングヴァルとマリアの夫婦。ある時、羊が異形の子を産む。かつて子供を亡くしていた夫婦は、その子にアダと名付けて自分の子として育てる。
雄大な大自然の中、ゆっくりと不気味に物語が進行。ただ思ったより怖さが無く、あの弟は別に出てこなくてもいいような感じがしました。そして父の正体が、直球過ぎて驚く。
羊は当分観たくない
アイスランドの広大な農場。羊飼いの夫婦には、隠された秘密がある。
その秘密が隠蔽されたまま、幻想的な風景が横たわる。
そこに人間の身体をした子羊が、何かの予兆を伺わせる。
それだけで十分恐怖を募らせる。
夫の兄弟の登場も何かの伏線なのでは?と勘繰りたくなる。
安心して観られたのは、3人が、アイスランドとデンマークのサッカーの試合を、テレビで応援しているシーンだけ。
久しぶりに観たノオミ・パラス。彼女の微妙な感情の揺れが、風景までも震撼させる。
羊は当分観たくない。真っ先にそれを言いたい。
スリラーなのかな
最初が1番スリラーっぽかった。
何かが起こっているけど,なんだかわからない不気味な感じがとても怖くて、それが人の叫びとかではなく,動物達の異常な雰囲気で表しているところは引き込まれた。
ただ、なぜ羊からあのような子が産まれてきたのか、あの最後に出てくるこの子のお父さんは何なのか、などなど、疑問がいっぱいで終わってしまった。
この夫婦はただ、小さい時に亡くした子供の生まれ変わりのようにこの子を育てた。奥さんは母羊を殺した罪があるけれど旦那にはない。でも復讐は旦那に対してなせれている。映画の完成度的に、スリラーとしてもそれ以外としてもちょっと疑問だった。
自然は物語る
この手の映画は絶対ネタバレは禁止にして観てもらいたい。映画の価値が半減してしまう恐れすらある
ラストを知れば、冒頭の羊達のシーンの意味がわかってくる。生々しさと詩情的なものが混ざりあったなんとも不思議な気分になる映画
笑っていいのか深刻になるべきなのかわからなくなることも。主演のラパスを初めて知ったがとても良い演技をしていたと思う。自身もアイスランド出身だというから思い入れも強かったのではないかと想像できる
雄大な景色の中で繰り広げられる、人間と羊の不思議な物語。だがやはり、無垢な羊に対して人間の傲慢さは見逃すことはできない
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