tick, tick...BOOM! チック、チック…ブーン!のレビュー・感想・評価
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かごか翼か、鳥に聞け
ミュージカルinミュージカルinドラマなのね。
予備知識なく見はじめたので、アンドリュー・ガーフィールドがこんなに歌って踊るとは思ってませんでしたので新鮮です。
「レント」は観たことない。ブロードウェイでロングランとなっている作品だとは知っていた。そこにこんなドラマが隠れていたとは。
本作もミュージカルが苦手なひとには、とっつきにくい作品となっている。
突然歌い出すな、とか気持ちをメロディにのせて語るな、とかいうやつね。
私はこの作品がしっかりとあちこちのスクリーンで公開してほしかった。ミュージカル映画として素晴らしい出来栄えだからだ。
映画というスタイルでないと、この作品は描ききれない。
チックチックと時を刻む音は、聞きたいときには聞こえず聞きたくないときに聞こえる。
いつかは訪れる「Boom!」のときに伏して涙で命乞いをするのか、全力で散るのか。
この難問にぶつかることができるのは、一握りの人間だけ。そして、多くが年老いて気づく。
どこから始めるの?
ゼロからさ
やり直すにはいいところからのスタートね。
芸術は人を食い尽くす
誰かの削られた魂や、打ち破れた夢、手に入ったかもしれない物質的富、愛されるはずだった心、讃えられそこねた希望、全てが「芸術」という姿で我々の前に現れる。そして、いたずらに幼い夢やか細い希望に灯りをともす。
『レント』を生み出した感性の原点
ブロードウェイを変えたと言われる『レント』の作曲家、ジョナサン・ラーソンの、あまり知られていない時代の物語だ。『レント』作曲のエピソードを観たいファンは多かったかもしれないが、あえて『レント』の話は出てこない。だが、あの戯曲を書くことができた彼の感性が、どのように育まれていったのかが良くわかる内容になっている。90年代のニューヨーク、もうすぐ30歳になる青年が夢を追いかけ続ける苦悩をミュージカルで描くわけだが、夢を追う人たちの背中を押してくれる素敵な内容になっている。タイトルは、作中で展開される彼のあまり知られていない戯曲から取られているが、もうすぐ30歳目前で、時間のリミットがせまって焦る気持ちを的確に表現している。エイズに感染した親友との別れ、恋人との別れ、多くの別れなどが彼に『レント』を書かせたのだと納得感ある作品で、作家の人生と創作の物語として非常によくできた作品だった。
もがき続けた先にあること
1993年に初演され、今も世界の人々に愛され続けるミュージカル『RENT』で知られるジョナサン・ラーソン。30歳を目前に、創作に悩み、突然現れたエイズという病魔でかけがえのない友を失い、窮乏しながらも夢を追う日々で、自作自演の「Tick,Tick…BOOM!」を完成させた。このミュージカルをベースにしたのが本作だ。
ラーソンに扮したアンドリュー・ガーフィールドがステージのピアノで歌い始める。刻一刻、留まることなく過ぎゆく時間、人生90年の1/3となる30歳を目前に控えた彼の日常が、躍動的な歌で綴られていく。冒頭の掴みは抜群、映画館で観て良かったと実感した。
周知の通りアンドリュー・ガーフィールドはメソッド俳優である。スコセッシの『沈黙-サイレンス-』では、信念を貫き通そうとするロドリゴになりきり、共演者たちは気軽に声をかけられないほど役にのめり込んでいたという。だが今回は違う。役柄が身体に憑依するまでに自分を追い込むことで知られる俳優が、さらに進化を遂げている。ジョナサン・ラーソンの心に湧き上がる言葉をナチュラルに歌いこなし、軽やかなダンスも披露しているのだ。
主演俳優たちをサポートする共演陣たちの慎ましさにも好感が持てる。説明過多に陥ることなく、ことの成り行きを観客に共有していく脚本もよく練られている。
監督はリン=マニュエラ・ミランダ。「イン・ザ・ハイツ」、「ハミルトン」での作詞、作曲、主演と大ヒット・ミュージカルを連発した彼は、歌と踊りを緻密に設計し、ラーソンの身の回りに起こった出来事を語る劇中歌に彼の日常の生活を重ね合わせる見事な演出で、ひとときも飽きることのない映像を作り上げている。
この映画にはときめきがあり、やるせない哀しみがあり、苦渋に満ちた別れと悔恨がある。そして、決して諦めることなく夢に向かって努力し続けるクリエイターの“命を削るような日常”がある。もがき続けた先にラーソンは何を見つけるのか…。
できることなら映画館の大画面、そして最高の音響で味わっていただきたい作品だ。
若くして成功を手にしたいと願うすべての若者たちへ
1990年代のニューヨークで、自作ミュージカルを評価され、ブロードウェーで華々しく活躍することを夢見ている若者がいる。しかし、現実は厳しく、恋人は結婚してニューヨークを離れたいと言うし、同業の親友はビジネスで成功を収め、パワーエリートとして羽ばたく一方で、仲間の1人はHIVに感染してしまう。切り取る時代は限られているが、主人公の焦りは時代や国籍に関係ない。30歳になる前に成功を手にしたいのに、時間は刻々と過ぎて行く。そんな追い詰められた思いが、タイトルの「tick ,tick ...BOOM!」には込められているのだ。
同名の舞台を制作したジョナサン・ラーソンはやがて、代表作『RENT レント』で希望通りブロードウェーを制覇する。世界各国で上演された傑作ミュージカルとして語り継がれる作品だ。そのことと、ラーソンを待っていた過酷な運命とを重ね合わせると、改めて、人生とは時間との闘いであること同時に、かくも儚いものかと思ってしまう。
そんな切ない物語が、これが監督デビュー作のリン=マニュエル・ミランダによるダイナミックな演出と、ラーソンの夢と挫折をそれこそ体から絞り出すように演じ、歌うアンドリュー・ガーフィールドによって映像化された本作。彼らがターゲットにしているのは過酷な時代を生きる、それからもしばらく生きることになる若者たちだ。ミランダとガーフィールドは共に本年度映画賞のフロントランナーである。
「RENT」を知らないと…
「RENT」には正直馴染みがないが、ジャンルとしてミュージカル映画は結構好みにて鑑賞。
観終えて正直なところ、ちょっと地味に感じた。ミュージカル映画というと、大勢でエネルギッシュに歌って踊って、それを色鮮やか映像で盛り立てるといったイメージだったが、本作はソロで歌い上げるのがメイン。そんな中でも、男女デュオでコミカルにテンポよく歌っておどけていたシーンが個人的にはやっぱり一番好きかな。
本作はとても丁寧に創られていると感じるし、もちろん音楽は最高だしで、評判通りとても良い作品だとは思うが、個人的には恥ずかしながら何しろ「RENT」に疎いため、ジョナサン・ラーソンの功績や偉大さに共感しにくく、正直なところもうひとつ盛り上がれない。本作は準備してから観た方が絶対に良いと思う。
いずれにしても本作の影響で「RENT」にはものすごく興味が湧いた。
劇中歌が最高
Netflixお得意の伝記物。
主人公のことも、その作品も全く知らないけど。
その歌たちに引き込まれる。
歌い手さんたちの声にも、引き込まれる。
30歳なんて、30/90。
だけど誰かと比べて、卑屈になることはある。
そこからどう諦めずに、前に行くかなんだろうね。
☆☆☆★★★ 他人の自伝映画でありながら、監督の想いが詰まった私小...
☆☆☆★★★
他人の自伝映画でありながら、監督の想いが詰まった私小説ミュージカルでもある。
「ソンドハイムは27でブロードウェイデビューした。それなのに、僕は一体何をしているんだ!」
芸術家やアーティストの焦りには際限がない。
あの手塚治虫にして、売れている若手の漫画家の作品を担当編集者に向かい「これのどこが良いのか教えてくれ!」
(正確ではなく、伝わっている雰囲気から)
…と、普段から喰いついて来たとゆう。
手塚治虫はまだ人生の大成功者だからまだ良いとして。一方で此方は、毎日毎日あくせくして働いたところで大した身にもならない日々。
最早、人生に於ける目標もなくなり、ただ漠然とした日々を過ごしているだけ💧
話が脱線してしまうので映画の方に戻して、、、
映画の内容は、『RENT 』でブロードウェイでスーパーヒット…いや、特大ホームランを叩き出した、ジョナサン・ラーソンが世の中に認められる前の奮闘物語。
作品全編で描かれるのは、彼の作品製作にあたっての苦悩と、彼を取り巻く周囲の人々の友情。そして彼が愛した女性との関わりが、如何に彼の代表作となる『RENT』と深く関わっているのか?を。彼の作品を愛し、目標とし、成功を掴み取った《監督》リン=マニュエル・ミランダが恋文をしたためるかの様に、慈しみながら演出に専念している。
映画の流れとしては、ラーソンの幻のブロードウェイデビュー作品になるはずだった『スーパービア』から『chick、chick…boom!』へと移行するに至った経緯は何故か?
その経緯の間に、同じ夢を共有していた仲間たちが目標変更した事での孤独感であり。当時はまだ得体が知れなかったHIVで、志半ばで亡くなっていった友人達への鎮魂歌。
作品の中で『RENT』に関する作品作りは描いてはいないものの。ラーソンが『RENT』に到達した経緯が描かれる。
※ 映画自体に描かれるので書き込んでしまうのだけれど。ラーソンは『chick、』でブロードウェイデビューを果たし、次の『RENT』で飛ぶ鳥を落とす勢いのミュージカル作家になるものの、その成功を自らは体験出来なかった。
何故なら、『RENT』の初日の直前に彼は亡くなったのだから。
ラーソンは、同じくブロードウェイミュージカルに於ける伝説のミュージカル作家であるローレンス・ハートと同じ運命を送ってしまったのだ。
映画本編は、そんな『スーパービア』と『chick、』の視聴会(さしずめ現代ならクラウドファンディングに近いのだろうか?)で、資金出資者を募るに辺り、より良い曲を作ろうとするも思い通りに行かずに苦悩する姿を、時間軸を何度も交互に入れ替えて描く。
どちらもラーソンの友人達が撮った映像が残っており、それを基にしている為、違いがはっきりと分かるのだが。最初に記した様に、私小説風味の演出である為か。ラーソン…特に『RENT』に対して思い入れの強い人。又は、リン=マニュエル・ミランダに関心のある人以外(例えばハリウッドの大作映画であり、エンターテイメント性のある作品を好む人々)にはなかなか浸透しづらいのでないだろうか?
おそらく監督自身も、「僕と同じく『RENT』を愛している人にだけ理解して貰えれば、それだけで僕は満足なんだ!」(勿論、本人はそんな事は言ってはいない。作品を観た此方の単なる思い込み)…と、思っているのではないだろうか。
『スーパービア』は好評だったものの、作品の完成には至らなかった。
だからこそ新たに『chick、』は生まれ、それをきっかけとして『RENT』の成功をも生み出した。
まさに、『バンドワゴン』に於ける♬ プランを変えよう ♬ の良い成功例でもある。
ミュージカル作家を目指し大成功を収めた監督の『RENT』に対する想いの強さ。
それを作ったラーソンに対しての尊敬の念と、ラーソンの作品作りに深い関わりがあった女性を、ラーソンに変わって深く愛する感情の昂り。
それらを、作品本編を作る事での監督自身が、恋人の様に想い抱いていた作者へのラブレター。
映画全編でラーソンに対する愛に溢れている作品でした。
プールの場面でのファンタジックな演出はとても良かった
※ レビューを書き込んだ後にWikipediaを確認したところ。ラーソンの実質的なブロードウェイデビュー作品は『Saved! - An Immoral Musical on the Moral Majority 』であるのを知りました。
自戒を込めて訂正します。
2021年11月28日 シネリーブル池袋/スクリーン1
不安定なキャリアの中でも尚も夢を追う決意表明した、故ジョナサン・ラーソンの胸熱自伝ミュージカル。
自身のキャリアへの不安と鬱屈をぶつけたミュージカルを情感たっぷりに見事に映画にしている。この作品を作った時には、ラーソンはまだ水面下で動いていた「Rent」が大当たりする事は当然解らない。そんな不安定なキャリアの中でも、作品を作り続ける決意表明をこの作品でしてみせたのだ。その夢を追う葛藤を、タイトルにもなっている焦燥感を滾らせて演じたガーフィールドの情熱的な演技がお見事!。ボブ・フォッシーの「キャバレー」を彷彿とさせるパスティーシュで作品を構築していくリン=マニュエル・ミランダの演出センスもパワーがあって好印象。
それにしても作品で描かれるこの頃からラーソンを買っていた、ミュージカル界の大家ソンドハイムの慧眼には感心した。
ミュージカル強すぎ!!
作曲家ジョナサン・ラーソンの自伝です。
好みじゃない!!総じて(笑)
音楽も詞も(笑)
虫酸が走る(笑)
しゃらくさい(笑)
あー、ガッカリ…
65点ぐらい。
ミュージカルの舞台形式で、会場に観に来てる客に語りかけるように、回想しながら進んでいきます。
タイプじゃない!!
『ラ・ラ・ランド』や『グレイテスト・ショーマン』は大好きだけど、
これはダメだ…
「イン・ザ・ハイツ」を手掛けたリン=マニュエル・ミランダ監督のパンチの効いたミュージカル映画
近年私が最も好きな映画「イン・ザ・ハイツ」の原作者として作詞や作曲なども手がけ、現代ミュージカル界を代表するリン=マニュエル・ミランダの長編映画初監督作。このことは知らずに見たのだが、「イン・ザ・ハイツ」に似た作りだなと思いながら見ていた。後で知って納得。
解説には、名作ミュージカル「RENT レント」を生んだ作曲家ジョナサン・ラーソンの自伝ミュージカルを映画化した、とある。そのことを私は全く知らず、事前に調べておけばよかったと後悔した。実在した自分の動画を再現しているシーンも多い。
「歌う」と「語る」、何か「詩を読んでいる」ように歌う。映画『ピニェロ』の〈ニューヨリカン・ポエッツ・カフェ〉を思い起こさせる。リン=マニュエル・ミランダ一家はほぼプエルトリコの流れを汲んでいるというから、影響を受けたのだろうか。
前半はちょっと流れが掴めず、ストーリー展開についていけなかったが、後半からはだんだんとフォローでき、当時のエイズの流行と恐怖の中で生きる人たち、NYで才能を認められ前に一歩を踏み出す主人公の若者の破天荒な生きざま、だんだんにのめり込んでいった。
2022年8月11日@Netflix
命短し、夢見よ若者〜〜
夢を持ってその夢を追いかける時間の期限が迫って来る実感を
言語化したのが「チック、チック、ブ〜〜ン」!!
30歳が目前のとある音楽作家、ジョナサン・ラーソンが
恋人との危機を抱えながら、なんとか30歳までに
チャンスを掴みたいとあがく姿を
時にユーモラスに時に熱く描いたミュージカル。
ミュージカルと知らずに観に行ってなんかとても現代的〜〜〜
スタバを思わせるコーヒーショップで
老若男女全員が歌い出すシーンなど私の大好物!!
楽し〜〜!!
でも、せつな〜〜い!!
こんなに苦悩した人が成功したのは良かったけど
なんて、束の間!!!!
人生って優しくない〜〜
で、月に8回ほど映画館で映画を観る中途半端な映画好きとしては
話の筋は決して難しくは無いけど、
表題の通り夢を持つことは素晴らしいけど夢をいつまで追うのか?
それは、なかなかに厳しい現実で、夢を追い続ける余裕、
金銭的にも時間的にも、また人間関係的にも上手く行かないと、
才能があってもいつまでも見果てぬ夢は追い続けられない。
才能を確実に見つけて貰えるかは、結局、運なのかな〜〜
そんな運がいつ来るかもしれない若者、厳しい話。
この映画ややこしいのは
ブロードウェイを変えた作品と言わた作品、「RENT レント」を作り
若くして亡くなったジョナサン・ラーソンの自伝物語を
これもまたブロードウエイに新風を吹き込んだと言われる
「インザハイツ」や「ハミルトン」などの原作者
リン=マニュエル・ミランダが、初監督作として作った映画なので
中途半端にブロードウェイの情報を見聞きしてる私ごときは
もう紛らわしい話〜〜
アンドリュー・ガーフィールド に対してこれまでは
1ミリもミュージカルの要素を期待していなかったので
なかなか新鮮で楽しい映画でした。
興味のある方はぜひ、ご覧あれ!
感動をありがとう!
映画を見てこんなに感動したのは久しぶりだ。
彼が描いた歌に涙。
彼らを想い、マイケルを想う。I think of them and think of Michel...
唯一無二の才能。
先が見えない辛さ。
HIV Positiveの言葉の強さ。
90年代の懐かしみ、音楽。。
come to sense!!
90年代に青春を送った人は、この映画を見て懐かしく思うだろう。
色々思い出される。
フィラデルフィアや KIDS、MTV、今とは違う空気感を是非味わって欲しい。
共感の嵐
わかる。
わかりすぎる。
共感の嵐。
ミュージカルの舞台と、作り出すまでの過去の出来事がクロスしながら映画は進む。
主人公のただ音楽を楽しめればいいというだけではなく、名を挙げ、一流ミュージカル作曲家として認められたい、自分の作った曲で大きなステージを作りたいという欲求。
30歳の誕生日という区切りと、夢を諦めて就職する仲間たち、なのに何者でもない自分というコンプレックスや焦り。
僅かなチャンスに賭ける意気込み。
そのための曲の、産みの苦しみ。
絵、映像、小説、漫画…いや、役者、監督、芸術家など、「作品づくり」に関わったこがある人間、夢破れて挫折した人間などには共感する部分が大きい。
特に、別れ話をしにきた恋人を引き留め、抱きしめながら、「このシーン、このセリフをどんな曲にしよう」と考え、宙でピアノを弾くように指を動かすシーンは、「そうなるよね」という思いしかない。
『アメイジング・スパイダーマン』では、若すぎたからかあまり上手いとは思わなかったが……
『ハクソー・リッジ』で狂気の主人公を演じたときは彼と気付かず。
ですが、本作と『タミー・フェイの瞳』では顔の筋肉全てから手の指先・足のつま先に至るまでの演技、感情表現がすさまじいアンドリュー・ガーフィールドに驚きました
最初は訳わからなかったが
RENTの原作者の自伝的作品。もともとミュージカル苦手な自分だが、ストーリーが進むにつれて、徐々に引き込まれていった。
アンドリュー・ガーフィールドは好きでも嫌いでもない役者だったが、さすがにハリウッドの役者さんって凄いのだと驚嘆。
この時代のエイズは本当に不治の病いだったんだ。
命を削り、作品を遺す
1 後に大ヒットミュ−ジカルを残したジョン・ラ−ソン。世に出るまでの苦悩の日々と周囲の人との交流を描く。同名ミュ−ジカルの映画化作品。
2 この映画には、色んな要素が含まれていた。ベ−スとなっているのは、全体を通じたミュージカル映画としての歌と演奏の魅力、そこにアルバイトしながら成功を夢見て創作に取り組む若者の苦闘の姿、主人公と共に暮らしたり働いた仲間や恋人との濃密な人間関係、ゲイが未だタブ-視されていた時代にあっても自然な形で作品の中に登場させた先見性、才能が認められても商業的な価値とは別に捉えるシビアなショ-ビズの実態が散りばめられていた。
そうしたことで、作品としての深みと厚さが増したと思う。
3 主人公は苦心の末に創り上げたミュ−ジカルを業界人向けにお披露目したが、公演のオファーは得られず、夢を諦めかけた。
その時、三人の言葉が彼に力を与えた。
一つは、俳優の夢を諦め広告代理店に就職した友人の言葉。これに彼は恐らく打ちのめされたと思われる。もう一つはエ−ジェントの女性からの言葉。この作品のきっかけになったのだろう。そしてこの世界のレジェンドの励ましの言葉。これらがなければ、今回の作品はなかった。
4失意から立ち直った彼は、友人や恋人とともに晴れやかな顔で30歳の誕生日を迎える。直後、その後のラ−ソンの業績と急逝が後日譚的に紹介され映画は終わる。作者は死んでも作品は残るが、如何に命を削っていたのかに思いが至りしみじみとなる。
それほどに劇中の歌曲は、いずれも素晴らしい。ホリディブランチの歌、アパートの室内でボ−ボ−ボ−と歌うナンバーなど独創的でポップ。水中でひらめき最後のピ−スとなった作品はとても美しかった。
5ラ-ソンを演じたガ−フィルドは表情豊かに演じ、歌と演奏も見事であった。
ゲイで黒人の友人、もどかしい恋愛関係の恋びと、食堂の赤毛の仲間など周囲の人々も印象に残った。
全58件中、1~20件目を表示