「終末のカウンドダウン、チックチック音」tick, tick...BOOM! チック、チック…ブーン! つとみさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0終末のカウンドダウン、チックチック音

2025年5月6日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

いい評判を聞いていた本作を観る前に、主人公ラーソンが作り上げた「RENT/レント」を観た。作中で同じ楽曲が使われていたり、おそらく大筋で同じ物語であろうことを見越して。
舞台の「RENT/レント」の良し悪しは分からないけれど、映画「RENT/レント」は面白くなかった。日本での評価はなぜか高いけれど本国アメリカでの評価も悪い。

不安に感じながらも本作を観たのだけれど、こちらはかなり面白く観ることができた。
というのも、大筋の物語のところは同じでも「創作」のほうに力が入っていたからだ。

一部の界隈の人にとってエイズは突然訪れた終末のようなものだ。新型コロナのもっと酷い版だ。
自由気ままに生きたいボヘミアンの人たちであっても死を意識せずにはいられないだろう。友が仲間が死んでいく中で、自分の身も明日には滅びるかもしれないと、命のリミットは既にカウンドダウンを始めていると感じたはずだ。

死を意識して恐怖に震えうずくまるのではなく、残された時間で事を成そうと奮い立つ物語が本作だ。
作中で何度か使われる時を刻むチックチック音が印象的。追い込まれていくことで生まれる創造性。消えてしまうかもしれない自分を残そうとする意思。作品の方向性が見えたときラーソンは覚醒していくことになる。

主演のアンドリュー・ガーフィールドの歌唱も良かった。
イマイチ良いと思わなかった「RENT」の楽曲とは違い本作の楽曲は良かったように思う。もしかしたら同じ楽曲があったかもしれないが「RENT」の印象がほどんど残っていなかったため判断出来ない。

コメントする
つとみ