マイスモールランドのレビュー・感想・評価
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島国じゃぱん
17歳のさっちゃんが可愛かったために最初から最後まで泣きっぱなしでした。上映最終日だったために駆け込み鑑賞となりましたが、ずっと気になってしょうがなかったのも確か。
今日、スーパー銭湯に行った際、近くにいたオジさんたちの会話を耳にした。「タイ人の○○君、知っとるやろ?あいつ360万稼いで国へ帰ったそうや」云々といった会話。あぁ、出稼ぎ労働者ならいっぱい稼げるんだな~などと聞き耳を立ててしまったのですが、この映画を観てふと思い出してしまいました。なぜ稼ぎに来る外国人は稼げて、難民は就労出来ないんだ?そんな知識すら持ち合わせていませんでした(恥)
日本が難民受入れに消極的なのは知ってました。この作品の場合には日本語ペラペラの主人公サーニャをはじめとして、一家全員日本語がしゃべれる。父親は仕事もしてるし、サーニャだって大学合格を目指しているくらいだ。それがある日突然難民申請が不認定・・・愕然!さらに父親が捕まってしまい、入管に収容されてしまったのだ。
自分の居場所、アイデンティティー、未来・・・何もかもがわからなくなり途方に暮れるサーニャ。コンビニもクビになってしまい、大学どころか生活が・・・なんかね、入国管理局って何様なの!!と憤りを感じながらも、これが現実の日本。刑務所の囚人のような扱いをされる、これがオ・モ・テ・ナ・シなのだ。裏ばかりなんだねぇ・・・そして「仮放免」という言葉も勉強になった。
ウクライナ難民についても第三国を通せば「避難民」として受入れるみたいだけど、多分長期間受入れにはしないだろうし、難民認定率1%未満の日本という国に来た難民はほんとに可哀想。スリランカ人女性ウィシュナさんの死も話題になったばかり。
埼玉県川口市・蕨市は日本に住むクルド人難民の6割を占めているという。2021年には入管難民法改正案が否決されたが、まだまだ残されている問題は多い。そんな社会問題をテーマにサーニャの心の揺らぎが絶妙に描かれている。仕事も生活も、そして難民の心さえも奪っていく入管。
就労や県外への移動禁止、医療保険に入ることが出来ない。そんなスモールランドに縛られた家族。荒川の県境をまたぐことで反発してみる伏線やトルコと日本の石といった話が全て胸に刺さる。もっと驚いたのがサーニャが卒業した小学校に色んな国の言葉が壁に書かれていたことも印象的。彼女が一種の国際的感覚を身につけることにもなったのだろう。思い出しただけで泣けてくる・・・
「日本人」はプラチナチケットか?
クルド人問題は安彦良和氏の「クルドの星」くらいでしか触れる機会が無かったので、ほとんど知りませんでしたし、入管の非人道的な扱いは時々ニュースで取り扱われるけど、やっぱりどこか遠い出来事。ただ「人の不幸を観て自分の幸福を確認する」。こう言ってしまうと身も蓋もないけど、残念ながらたまにそういう経験をしておかないと、自分の持っているものの価値に気づけないことは間々あるのかなと思いました。とは言えそれですべての問題が片付くのなら、日本でみんな死ぬ寸前みたいな顔をして満員電車に揺られている今の状況は起きてない訳で。結局困難に立ち向かう抵抗資源は持っているだけでは意味がないのだろうということでしょうか。
それにしても嵐莉奈さんの奇麗さは際立ってましたね。演技もできるのに、全力脱力タイムズでは勿体ない使われ方をしてましたね。
セツナイ!カナシイ!アームジョウ!!
主演の娘がメチャクチャ可愛いのもあり2時間感情移入しまくりで見入ってしまった
観ている間、この世の不条理や己の無力感にとことん支配される
しかし悲しいかな人間は二、三日すればまた普通の日常に戻ってしまう生き物(クルド人のこと少しでも知れてヨカッタ)
とにかく主人公が「誰も○らない」の柳○優○にならなくてよかった!
あと、カラオケで尾崎を歌うときは昭和生まれの面子でね(*゚∀゚)
今、日本で現実にもあること。
ロシアがウクライナに侵攻してにわかにクローズアップされてきた問題だけれど、意識して見よう、接しようとすればもうずっと以前からあった、閉鎖的な日本社会の歪みに愕然とする。
それはロヒンギャの方などの難民に対するものもそうだけれど、外見が外国風のいわゆるハーフの方たちにも普通に特別な反応してたんだな、と。サーニャ役の嵐莉菜さんもモデルとして称賛される目鼻立ちは自身の長所であると同時に、出会う度に出自を問われ説明を繰り返すうんざりなルーティーンなのかもしれない
私たちはそういうことを普段何の気なしに繰り返している。高校の場面でクラスメイトの女の子たちが(友達役でやがて海へと届くで印象的だった新谷ゆづみさん出ていたのエンドロールで知る)普通に接しているシーンは我々年配者より子供たちのほうが分け隔ちなく接することが出来ているのが当たり前なのだと気付かた。もっとあちこちで上映しつ皆さんに見てもらいたい。
クルド人のこと
正直、この映画を観るまで、クルド人の事は何にも知らなかった。
見終わった後で、国を持たない民族のクルド人の事、トルコがフィンランドのNATO加盟へ反対する理由など、含蓄深い内容(自分が知らなさすぎただけだが)だった。
わが国の「やりざま」
まずは今作が商業映画デビューである川和田恵真監督。
早稲田大学在学中に制作した映画『circle』が、東京学生映画祭で準グランプリを受賞。その後、2014年に「分福」に所属し、是枝監督の『三度目の殺人(17)』で監督助手、西川美和監督の『すばらしき世界(21)』でメイキングを担当するなど、多くの現場で研鑽を積んできています。
そんな川和田監督がデビュー作で取り上げたテーマは「残留資格を失う在日クルド家族の物語」。ちなみに、同じ問題については2020年公開の『風の電話』でも扱われています。
まず、彼らが「残留資格を失う」ということは「県外への移動」や「就労」が許されません。そして、それを破ったことが発覚すれば「期限なく収監」されるか、或いは「帰国」を強いられます。しかし、彼らは元々弾圧を逃れてきた難民です。帰国すれば即座に逮捕、またはそれ以上のことをされる可能性が高いのです。これは、そのことを知りつつも手を差し伸べることのない、わが国の「やりざま」であり、多くの日本人が知らないでいる「現実」なのです。
まさに社会的なテーマですが、川和田監督はこれを単に道徳的、または欺瞞的に述べたり、或いは「必要以上に振りかぶった悪意」を使って涙を誘うような「安易な脚本」にはしていません。例えばそれは、友達の「ドイツ」いじりや、また年配の女性に全く悪意ないつもりで言わせる「お国にはいつ帰るの」という問い、そして「ガイジン」という呼び方など、ちりのように積もる日常の「小さな悪意」の連続から、いずれは、うまくいかない現状の全てに対し、主人公の少女に「いかにも日本語的」な「しょうがない」と言う言葉で諦めさせる「居た堪れなさ」があります。
まさにこういった表現方法に、師匠である是枝イズムを感じたり、また、そこに辛さだけでなく「ユーモアや優しさ」を散りばめる部分に西川さんの作品にも通じる部分を感じます。
そして役者陣。
物語の中心であるクルド人少女を演じる嵐莉菜さん。その家族(父、妹、弟)役に嵐さんの実の家族(パパ、最高)。また、親しくなる友人に『MOTHER マザー(20)』の奥平大兼さん。さらに彼女たちを取り囲むように平泉成さん、池脇千鶴さん、藤井隆さん他、芸達者たちが配役されていて付け入るスキがありません。
さらにはクルド監修に携わったワッカス・チョーラクさん。
十条で日本初で唯一のクルド料理レストランのオーナーをされ、普段からクルド文化の認知度向上のためのガイドとして取り組んでおられます。今回、当事者であるクルド人の方について、(エキストラ以外の)メインキャストとしては「出演することで不利益が出る可能性がある」と言うことで配役されていませんが、制作サイドにワッカスさんのような当事者がいることで、物語上都合の良い嘘がない安心感があることも重要な点です。
特殊な状況下ということを忘れるぐらい─
物語の設定は特殊だったけれど、社会問題に根ざし、内容や展開が身近に思えるもので、興味をそそられ、見入りました。決して、楽しい内容ではあるません。観賞中も、つらい思いも何度か・・・。それでも、色々と感情移入させられながら見きった気がします。何よりも、美しかったですから─その要因はものすごく強いのかも─いろんな意味で。
難しい問題を扱った作品ですが、啓発というよりドラマ的な要素が強い作品だったと思います、良くも悪くも─。
とにかく、興味を持ってもらわなければ、何事も動きませんから、そういった意味では、良き作品かなと。
嵐莉菜さんに釘付けでした
とにかく今や日本の片隅に生きているだけで様々な問題が浮かび上がる破綻の国・日本。かつての繁栄もここ20年くらいで地の底に沈み、入管問題も今まさにそこにある危機的問題。
そんな中、ハーフモデルで充分な活躍ができそうな高校生の女の子が普通に進学に悩み、共同体で生き、恋をする。ただ彼女はクルド難民の子だった。
ごく普通の家族がなんの説明もなく、いわば日本のよくわからない「入管」に引き裂かれます。この映画はこの問題の「なぜ」に突っ込んではいきません。「クルド」もくどくど説明はしません。是枝作品と同じく、状況を、いわば普通の女の子の悩みとして捉えます。もうちっと弁護士がんばれ、と思わざるを得ませんが、まあそんなもんでしょう。しかし、いかんせん背負うものが大きい。
1時間くらいすると「誰も知らない」的な暮らしになり、逆に一瞬妹さんが少し解放されたかのような態度になるのだけど、本作品は割とその隔絶された世界での描写が是枝作品ほどあざとくなく、実直過ぎる感じがある。固い、というか。ただ、ぽっかり理不尽の中心にある「日本の入管」だけがブラックホールのように横たわる。そしてなんの確証もないが、父親が強制送還されればまるで恩赦のように子供にビザがでるという。。なんたる理不尽。しかしその理不尽に従わないと生きてはいけない。まるで現代の楢山節考。もっと問題になればいい。
ただ、一言だけ言えるのは、とにかく主演の嵐莉菜さんに釘付けだった、ということ。弱さと強さと大人と子どもの両方の魅力で、俯いた姿からのラストカットの眼差しは、予想を超える神々しさがありました。
高評価なのはわかる。でも私には、う〜ん⁉。
問題提議の映画だ。見てて辛かった。17歳の女子高校生に背負える問題ではない。名古屋の入管収容施設で、職員による虐待で女性が死亡した事件もあった。未だに我が日本政府は、難民に対し厳しい態度を崩さない。
難民解決の糸口が見えないので、物語の終わり方も宙ぶらりんとなる。落とし所が見つからないのだ。だから、問題提議で終わってしまう。そこが惜しい。日本人ならば、一家心中で結末をつける方法だってある。が、外国人には使えない。後味が良くないので、私はスッキリしたい。もやもやとして、記憶に残るのは主人公の思い詰めた顔だけだ。
私は難民受け入れに賛成派だ。日本は単一民族だなんてハナからでたらめだし、日本文化を興隆させるには他からの血を入れるのが一番だ。アメリカを見習って欲しい。二十世紀初頭、アメリカは文化後進国だった。移民、難民、亡命者を受け入れて文化先進国となった。日本の映画で、監督が外国人(在日朝鮮人は別にして)なのはあまり聞いたことがない。アメリカ製映画では当たり前の状況だ。
主人公を演じた女優は美人で、昔CMモデルで良く目にしたヒロコ グレースに似ている。
見ようか迷っていたが友人の勧めで鑑賞。既に三週目ながら新宿ピカデ...
見ようか迷っていたが友人の勧めで鑑賞。既に三週目ながら新宿ピカデリーはほぼ満席で客層も幅広い感触。
映画は評判通り閉鎖的な日本の難民認定問題を取り上げている。声高ではない分主人公家族への同情、制度への違和感が避けられず湧いてくる。並行して描かれるのはクルドとしての生活を守ろうとする父親と日本で育つ子どもたちのすれ違い。中でも主人公は学校の勉強もバイトも、翻訳などコミュニティでの役割も引き受けている本当にいい子だ。父親の収監などどうしようもない逆境にも、多少迷いこそすれ道を大きく外れることがないのが救いだった。貧しくも正しく育っているのは父親の教育の影響も大きいだろう。反対に、よりドラマチックに描こうと思えば落ちていくストーリーにもできるのをそうしなかったところ、監督の節度を感じる。
役者は嵐莉菜はそのシーンでの立場により違った表情を見せて素晴らしい。彼女の家族も良かったが、奥平大兼が自然な普通の高校生で好感。
ストーリー重視のマタゾウ的にはラストに何らかの展開をもって終劇としてほしかったところもある。
To the incompetent Japanese government
Do something for the refugees living in Japan who are suffering from living. Think of them as if they are yourself. This is what's happening to our family who really needs a help. Decide and do something by your own thoughts.
Ironically this movie is recommended by AGENCY FOR CULTURAL AFFAIRS ,Ministry of Education which is a part of Japanese government. They won’t do anything to refugees.
日本人全員が、この「ハッピーエンド」のない物語の共犯者である
私は社会問題を扱ったハリウッド映画が好きだ。
でも、この作品を見た後だと、私の「ハリウッド映画好き」は、「他人事だから」と思えてくる。
しかし本作では日本人全員が「当事者」であり「加害者」であり「共犯者」である。
私は映画鑑賞において、本作を見た時ほど、「罪悪感」を感じたことはない。
「難民問題」は常にある。
ベトナム戦争後、シリア紛争、そして現在進行形のウクライナ紛争。
この時期だからこそ、本作を見るべき。
そして「避難民」か「難民」かで「言葉遊び」をしている我が国政府の対応を注視しよう。
ノンフィクションより強く訴える
日本と在日外国人の関係のづっと前にある、一人の少女の何気ない日常生活と青春。
このあたりまえがあたりまえに送れないという事をこんこんと目の当たりにする。
将来の夢も、ささやかで愛おしい恋愛も線引きされる瞬間が切ない。
数本の難民関係ドキュメンタリーを観ていた事と、仕事柄から深く興味の対象であったこの作品。
少女の感性の柔らかさと、日本での難民の立場、どちらも描いている事で更に現実味を露わに感じる。
フィクションがノンフィクションより強く訴える瞬間だった。
日本の入管に杉原千畝はいないのだ
内容が今年(2022年)の2月に公開された映画「牛久」に直結していると感じた。「牛久」は茨城県の牛久市にある不法滞在者を収監する施設、東日本入国管理センターを描いた映画だ。
収監施設は閉鎖的な空間であり、必然的に職員も収容者もストレスが溜まる。そこで職員はストレスを収容者に対する暴力で解消している。ナチスのアウシュビッツ収容所と同じだ。つまり牛久の入国管理センターの実態は、強制収容所である。
牛久強制収容所の管轄は出入国在留管理局、つまり入管だ。入管は管理局であって援助局ではないから、滅多に難民認定しない。日本の難民認定率は0.4%で、欧米の15%〜50%に比べて極端に低い。ましてクルド人は国籍がまちまちだということもあってか、これまで一度も入管に難民認定されたことがない。2005年には国連難民高等弁務官事務所が難民と認めたクルド人親子が、入管によって強制送還された記録がある。
今年の5月13日、入管は前年2021年の難民認定者数を発表した。難民認定されたのは、2020年から27人増えて74人だった。それでも認定率は0.7%だ。難民認定外で在留を許可されたのは580人とのことだが、この数字は、6ヶ月しか滞在許可を与えられない緊急避難措置の対象者を含めた水増しではないかとの疑問がある。しかし入管は内訳を発表しない。
入管は難民に厳しい一方、技能実習生の受け入れについては甘い。アベシンゾウが人手不足という産業界の意向を受けて、入管法を変えたのだ。そして「技能実習生」という名の奴隷労働者が日本にやってきた。3年間の実習期間が終了したら、2年間は延長して働くことができるが、その期間が過ぎたら、自動的に不法滞在者となる。緊急避難措置の6ヶ月を過ぎても日本にいたら、見つかった場合に強制送還となる。
見つからなくても、日本国籍も住所もない外国人には仕事の機会はない。帰国するか、自殺するか、犯罪に走るかのどれかだ。実際に外国人による犯罪の半数以上は不法滞在者によるものである。こうなることは目に見えていながら、入管法を変えてしまったアベシンゾウの罪は大きい。多分バカだから何も考えていないのだろう。
本作品は深刻な難民問題を扱っていながらも、高校三年生の青春を明るく、しかし現実的に描いている。主演の嵐莉菜は初めて見たが、なかなかの演技力だ。美人すぎて当面は役柄が限られるかもしれないが、北川景子みたいにエキセントリックな役(「謎解きはディナーのあとで」「家売るオンナ」など)を演じて一皮むけることもある。美人に演じられない役はない。
冒頭の落書きみたいな線が埼玉県の形だとわかった人は沢山いたと思う。東京出入国管理局さいたま出張所はさいたま新都心駅から徒歩8分。さいたま第2法務総合庁舎内にある。働いている人は法務省の職員だから、基本的に解雇などはなく、給料が遅れたりすることもない。役人だから手当がたくさんつく。安全圏で暮らしている訳だ。職員から見たら難民の状況など対岸の火事である。毎日の職務さえこなして給料をもらって安全無事に生きられればそれでいい。強制送還された難民の運命など知ったこっちゃないのだ。大半の職員がそう考えているから、難民認定率が0.4%なのだろう。日本の入管に杉原千畝はいないのだ。
島国日本の小さな世界。
難民認定の申請が通らずビザを失った在日クルド人一家を描いたまるでドキュメンタリーのような映画。ものすごく考えさせられました。自らをドイツ人だと偽ることに後ろめたさを感じながら生きる高校3年生のサーリャ。突きつけられた不条理とも言える現実に必死に向き合おうとする姿はやはり胸打たれます。
度々取り上げられる日本の難民認定における高いハードル。そして人権を軽視するかのような入管施設での生活。世界から見れば日本は豊かで平和な国。しかし残念ながらこの国は生まれた場所を追われ助けを求める人達を受け入れることがまだできずにいる。それは単に自国民を優先すべきということもあるだろうし、制度の悪用を危惧してかもしれない。もっと言えばその数が膨大になれば日本という国そのものの在り方が変わってしまう可能性だってないとは言い切れない。かと言って、長年懸命に日本社会に溶け込もうともがいて来た人から自由を奪って監視することが正しいことのはずがない。
生活に追い詰められたサーリャがパパ活に手を出す。関係を拒まれたサラリーマンが「出ていけ!日本から!」と口汚く罵る。
本当の日本人はどちら側だろうか。
世界のフェーズが確実に変わった今だからこそ私達はしっかりこの問題に取り組まなければならないと切実に思った。もはや遠い国の他人事ではない。「名前や顔は出せないけれど協力してくださったクルド人の方々」というエンドロールの文字から学ぶことは多い。
最後に嵐莉菜の凛とした美しさが逆境に立ち向かうサーリャに本当にピッタリでした。素晴らしかった。
【観るべき映画】 難民認定の難しさ、そして理不尽さを知りました。
自分の難民認定に対しての無知さ、
そして国の不条理さ
を思い知らされる
とても良い映画でした。
どのシーンも印象深いのですが、
特に
家族全員でラーメンを啜るまでに至る流れが切ない。
あんなにウクライナは
難民として受け入れられているのに……
もっといろんな方に観てもらいたい、
知ってもらいたい映画なので、
上映館が増えてほしいです。
是非とも、
小説版も読みたいです。
ドキュメンタリーではないことを強く意識して観るべき
日本に在留する外国籍の人はたくさんいるが、クルド人と接したことのある人は少ないはず。少なくとも私は話したことがない。そもそもクルドって国ではなく民族だから、その点でも実態がわかりづらいと言える。そして、日本での難民申請はものすごく通りづらいってこともとても重要なポイント。
そんなことを知っていたとしても、この映画で描かれる現実には驚かされる。いや、フィクションなんだけど、これが現実なんだろう。子どもが日本での大学進学まで考え、下の子は日本語しか理解できないという状況。それだけ日本で生活の基盤が築かれていることの描写がうまい。そんな状況で、親の難民申請が通らず、一家の在留資格が一気に危うくなるという展開。日本における外国籍の人間にとって在留資格ってものがどれだけ重要なのか改めて思い知られる。
それでもこれはドキュメンタリーではないので、ぼかすところはぼかした上で物語は進む。そういう意味であの家族が直面している問題が、わかりづらくなっている印象も受けた。裁判って何を争うの?とか、ビザがおりたとしてもその後は?とか。でもそれも仕方ない。難民問題や在日クルド人の問題をアピールする映画ではないから。そういう側面もあると思うが、描かれていたのはサーリャの青春だと感じた。恋もするし、バイトもするし、進学のことで悩んだりもする。そして、クルド人としてのアイデンティティに苦しむ姿も描かれる。
なんて過酷なんだ。心が折れるよ。他人に簡単に頑張れなんて言われたら、頑張ってます!って言い返したくなる気持ちもわかる。正直、あの子達に明るい未来が待ち受けているのかはわからない終わり方だったが、サーリャ役の嵐莉菜の表情を見ると希望は残っている気がした。そう信じたい(フィクションだってのに!)。
彼女の演技だけでも観る価値はあるかもしれない。キレイって表現を超える絶対的な魅力があった。今後が楽しみだ女優だ。というか女優を続けてほしい。
極悪人がいないのがかえって辛い
池脇千鶴、韓英恵、サヘル・ローズって、これで私が観に行かなかったらおかしい。キャスティングありがとう。奥平くんも素敵だったし、主演の嵐さんも学校のシーンとかすごく自然だった。
誰かものすごく邪悪な人がいるんじゃなくて、無関心だったり少しだけ偏見を持っていたりする人たちがいて(聡太母の反応の仕方、怖い)、これはかなりリアルな描き方なんじゃないかなと思った。難民問題のリアルを私が知っているわけじゃないけど。悪いのは特定の誰かではなく制度で、だから問題は根深く大きいのだということを理解させられる。
苦しい環境だからシンプルなガール・ミーツ・ボーイが輝くし、そこが輝くから苦しさもより伝わる。聡太のどうしようもないノンキさに少し腹立たしいような気持ちにもなるけど、そこに救われるサーリャもいたんだろうな。
マズルム父さんは、日本語を話すときのほうが、クルド語のときより高圧的でなく穏やかな気がした。“彼は日本での生活に自信がない”という演出意図だったかもしれないけど、私は日本語を高くて優しい声で話すときのお父さんのほうが好きだったな。
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