劇場公開日 2022年5月6日

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「クルドの意志」マイスモールランド MARさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0クルドの意志

2022年6月4日
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悲しい

難しい

埼玉に住むクルド人家族の難民申請の難しさ、そしてそんな中でも少しホッコリさせられる青春要素も含まれたドラマ作品。

いやぁ~これは色々考えさせられる作品。
細かくは描かれないが、デモに参加したことから、国に帰ると逮捕される恐れのある父親とその家族。日本に逃れてきたが、難民申請が通らず、これからどうすれば良いのか、様々な問題が家族を襲う。

難民申請が通らないと、就労ができないばかりか県境を跨ぐことも原則禁止。多くの障壁がありながら、夢に恋に突き進むサーリャの姿。17歳の少女にのしかかるにはあまりに辛い現実ですね。
クルドの風習を大事にしたい父親との衝突も印象的。
・・・からの、うちには何もありません、はせめてもの癒しですね(笑)

罪もない子供たちに色々制約がかかるのは辛いですね。色々諦めそうになった所で、やっぱり一緒に行きたいと聡太に言ったときは涙腺に応えました。。でも結局・・・。

そして父親の決意。娘を想うあまり小言も多いけど、心の奥底の想いとクルドの誇りにはグッときましたね。彼にとっては、帰れば地獄かもしれない。かと言って、入管にいるこの現状がどうかというと・・・。帰るも残るも・・・か。。

普段ボケっとしてる自分がこんなに集中して観れた作品も珍しい。
それだけに難しい問題ですよね。

サーリャのような人達に幸せになってほしいという気持ちは本気である一方で、あくまで個人的にはですが、「困っているならどんどん受け入れてあげれば良いのに」といったような考えには賛同しかねますね。そんな単純な問題ではないと。

でもやっぱりサーリャ達には制約なく幸せになってと思ってしまうから、尚の事苦しい。

色々勉強になりました。日本も厳しい所は厳しいのですね。恥ずかしながらもの知らずなワタクシは、日本はコロナがもっと危険視されていた時も、おとなりあたりの国の人だけはどんどんと入れてあげている印象があったものですから。。まぁ、それと在留資格云々は別問題かもしれませんが。

さておき、罪がなくとも苦しんでいる在日外国人の方々がいること。そんな方々に幸せになってほしいと同時に、厳しい規則も勿論大事だなと、改めて思わさせられた作品だった。

ただのキレイ事を描くわけではない、良作でした。

MAR