映画レビュー
何をおいてもまずイライラしちゃう・・・
人間観察が趣味で己の直感に流されて生きる独り身ベテラン刑事と、経験はそれなりにあるものの異動先では新人のどちらかというとデータ派で理性派の夫子持ちの刑事の凸凹コンビが、巨匠画家ゴヤ見立て連続殺人事件に挑む...
一見ベテランの風格を醸し出すカルメンは、勘がするどいと言えば聞こえは良いが、彼女が勝手に信用を置いている直感とは、知識や経験に裏打ちされたソレではなく単なる私欲や偏見に塗れた思い込みに過ぎない。
楽しみと言えば元カレだかの画像をつまみに晩酌することや、幸せそうに映えるご近所さんを覗き見ること。いざ実体を持った男が現れればただただ欲望のままに動かされていく。終始どこか寂し気に映る彼女の横暴は、世界が社会がそうあってほしいという願望、そして拠り所の体現なのかもしれない。
一方でカルメンと対称的に描きたいのだろう厳格なエヴァはというと、データ派理性派と言えば聞こえは良いが、都合の良い情報に飛びつきやすくまた証言を鵜呑みにしやすい芯の無い人間とも言える。
カルメンが持っていないモノを持ち、世間的には公私共に充実しているように見えるが、それは職場と家庭で常に気を張り詰める必要があるということでもあり、お酒の席で大っぴらに羽目を外す彼女は彼女で何かを抱えている。
当初は衝突の絶えなかった凸凹コンビが行く行く協力していき事件を解決していく工程を楽しめる作品なら良かったのだが、この作品はというと2人の溝が埋まらないまま、基本ずぅ~っと平行線でそのままラストまで駆け抜けてしまう。2人のキャラの言動も終始それぞれ乖離している様に思えるし、それ故にやることなすことにこれまた終始イライラしっぱなし。
ただそれは2人の芯を定めた上である種客観的に事件へと、そして事件から見えてくる何かしらへとアプローチしていくことを前提に観た場合で、言動が支離滅裂で整合性の取れない終始フワフワしている2人を眺めるに、この作品は彼女らもゴヤのカプリチョスのお話の枠組みの中に組み込んでいると見るべきなのかもしれない。・・・そうなのか??
ならばそこに何を見出せるのか、見出すべきなのだろうかと問われれば正直ちょっとよくわからない・・・
酒と煙草と男と女
カルメンは猪突猛進、エヴァは呑気な二人の刑事。あまり捜査はしていない感じでアートを絡めたミステリーサスペンスかと思いきや何だかあっさり、政治的なものがあるのかと思いきやこれまたあっさり。男女間もあっさりと描かれ全て消化不良。カルメンの最後なんてチョーあっさりなんですけど。あまりカルメンに感情移入する部分もなかったのでへーという感じでしたが。
主人公だろう女性刑事にどうにも共感できない。相棒の新しい女性刑事...
主人公だろう女性刑事にどうにも共感できない。相棒の新しい女性刑事に対して常に上から目線の物言い。小さな子供のいる相棒の家に押しかけておいて子供がうるさいだの平気で言う。自分の不始末で休暇を出されたのに、勝手に捜査をして夜中に呼び出そうとする。自分勝手な人だ。1人で犯人だろう部屋に入り、格闘の末、なんと殺されてしまった。
主人公でしょ?こんなに呆気なく殺されちゃうの?と意外な展開に驚きっ!
というか、主人公は誰なんだ?そして、ゴヤの版画と同じポーズで殺されるなど、見所があるようだけど、犯人の動機があまり印象に残るものでもなく、なんか空気の抜けた風船が萎んでいくような映画だった😮💨