COW 牛

劇場公開日:2025年8月30日

解説・あらすじ

「フィッシュ・タンク」「アメリカン・ハニー」などで3度にわたりカンヌ国際映画祭審査員賞を受賞したイギリスの女性映画作家アンドレア・アーノルドが、酪農場の1頭の乳牛に密着し、4年の歳月をかけて完成させたドキュメンタリー。

大規模酪農場で飼育されているホルスタイン・フリーシアン種のルマは、1頭の雌の子牛を出産する。やがて子牛と引き離されたルマは搾乳機につなげられ、餌を食べ、放牧されて走り回り、種付けされ、再び子牛を産む。カメラは極力、牛の目線の高さに据えられ、農場の日々の営みと家畜たちの生活を記録する。ナレーションやテキストによる説明は一切ない。

2021年・第34回東京国際映画祭「ユース」部門上映作品。特集上映企画「アンドレア・アーノルド監督セレクション」(2025年8月30日~、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開)にて劇場初公開。

2021年製作/98分/イギリス
原題または英題:Cow
配給:アルバトロス・フィルム
劇場公開日:2025年8月30日

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映画レビュー

4.0 牛にはなれない人間が牛にどこまでも近づこうとする試み

2025年8月31日
PCから投稿

アンドレア・アーノルドがとびぬけて(あらゆる)動物への愛着があることは彼女のどの作品を見ても明白だが、そのアプローチは「カワイイ!」系とはまったく違っていて、ミニマムなお話をひとつの事象として自然とか地球とか世界みたいな大いなるものに放り込む。そ
の世界観を成すもののひとつが動物であって、人間も動物も、善とか悪とかカワイイとかではなく、ただそこに存在して生きているのである、という大前提のもとで映し出している。このほとんど牛しか映らないドキュメンタリーでもその姿勢はいささかも変わっていなくて、エコとか動物との共生とか家畜の悲哀とか動物愛護とか、そういうものはすべて人間の都合でしかないと突きつけるように、徹底したドライな作りを保っているにも関わらず、俯瞰ではなく牛の目線に限りなく近づこうとするのは、やはりアーノルドがとことん動物の近くにいたい映画作家ということのなのだろう。届かないとわかっているのに手をどこまでも伸ばそうとしているかのような。

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村山章