劇場公開日 2023年1月20日

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「最愛の娘を取り戻すため、涙を拭い怒りを燃やせ...  誘拐ビジネスの蔓延する社会の狂った常識に与せず娘を追い続けた母が冷厳な現実に対峙する!」母の聖戦 O次郎(平日はサラリーマン、休日はアマチュア劇団員)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0最愛の娘を取り戻すため、涙を拭い怒りを燃やせ...  誘拐ビジネスの蔓延する社会の狂った常識に与せず娘を追い続けた母が冷厳な現実に対峙する!

2023年1月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 だらしない夫と別居中で年頃の娘と慎ましく暮らす平凡な中年女性が、人知れず娘を誘拐されたことで全てを失い娘を取り戻すべく修羅と化していくショッキングなドラマ。
 誘拐がビジネスとして確立してしまって日常の延長線上に存在するメキシコ北部の狂った市民生活を淡々と白日の下に曝していく、実話ベースの物語です。
 派手派手しい一大非合法カルテルや公権力の腐敗といった映画的な誇張は極力抑えられており、それだけに家族を奪われた親族の慟哭と無念、諦めに至るまでリアルな日常の一部として映し出されている有り様には純然たる恐怖を禁じ得ません。
 最初から最後までただひたすらに重く張り詰めた悪夢のような現実を映し出す作品でしたが、誇張も抑制も無いがゆえに有無を言わさず此方に叩き付けるような迫力が有りました。
 娘を誘拐によって奪われた過酷な現実と闘い続けた母親と、頑なに諦めない彼女をまるで聞き分けの無い幼児のように扱う周囲の人々、はたして狂っているのはどちらなのか...?

O次郎(平日はサラリーマン、休日はアマチュア劇団員)