モスル あるSWAT部隊の戦いのレビュー・感想・評価
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命の重さに差はないはずだけれど・・・
作品の冒頭に「製作者の意図で字幕が表示されない部分がある」との説明が出る。
「サウンド・オブ・メタル」ではバリアフリー字幕を初体験させてもらったが、今回は行間を読めとの意図だろうか(字幕が無いことにストレスは感じず、ストーリーを追う事にも問題はなかった)
結末は皆さんのレビューで把握していただくとして、戦争(今回はISIS相手なので国ではないから厳密には戦争ではないかもしれないが)では生命がそれぞれの個人(人格)からかけ離れ、単なる「敵」だからとの理由だけで奪われて行く。
それでありながら、家族を想い自らの命を賭してまでも行動に出なければならない。それを眺めているジレンマが心にどんどん広がり重い気分になってしまいました。
皆同じ一つの命であるはずなんですけれど。
争わなければならない理由は有る筈です。が、争わなくても生きていける世界がいつの日か来ることを願うばかりです。
イラク人によるISISとの死闘
モスルという街をめぐる "イラク人による"(軍隊とは別な、モスル出身者で作った警察SWAT組織)ISISとの闘いの話。日本ではISISという言葉が一般的に使われているが、彼らは「ダーウィッシュ」と呼ぶ。
叔父を殺された新人警官カーワが、ジャーセム少佐が率いるSWAT部隊に救われ、その一員として闘う姿を描く。全編、闘いで、ずっと撃ちまくっている映画だった。クールでソリッドな絵が続く。そこにはきれいごとはない。現実を誇張した過激な描写もなく、ありのままなのだろうと感ずる。
俺は、冒頭のセリフと途中のシーンでイラン兵に言うセリフが、この映画の主題と感じる。「米国は町の再建など考えずに破壊するだけだ」「イラクには、フセインも米国もイランもいらない」 さらにSWAT部隊が(中央の指令に反して)行動しているその内容も。
そのすべては、みなさんにも観てもらって感じてもらいたい。俺は、「戦争」というマクロな視点からみた世界と「俺の住んでいるこの街、そして俺の家族」というミクロな視点からみた世界は、当たり前だけど同じものなんだということを、この映画は伝えたいのだと思う。彼らが兵士ではなくモスルという街の警察官だからこそ感じる「米国は町の再建など考えずに破壊するだけ」なのだろう。
俺は、他国の戦争はマクロな視点から見ることが多いし、そうすべきだと思っている。けれど、そういうスタンスをとるための資格というか義務みたいなものとして、上記したようなミクロな視点で起きていることを決して忘れてはいけないと思う。なかなかできないけどね。そういう意味で、俺にとっては、とてもためになる 102分でした。
雑誌「ザ・ニューヨーカー」に掲載された記事が米国で話題になったこと、それを映画として伝えなければいけないと考えたルッソ兄弟、その命を受けたカーナハン監督。俺は、いまのアメリカという国をそんなに好きではないけれど、こういうものをちゃんと生み出すところはあらためて尊敬する。
任務
中東問題に代表される世界の紛争に関して興味はあるものの、なかなか状況は詳しくはわからないが、このような映画の存在で一部ではあるが擬似体験できるのは有り難い
あんな戦場にいたら、平和ボケした顔なんか一変するのだろう
今年ベスト級!
ただの戦争モノでない。戦時下のいい話を描いて反戦や感動を誘うわけでもない。
本当に絶望的な状況になると国のためとかミッションがどうとかは関係なくなる。
韓国ドラマの地獄が呼んでいる以上に地獄な状況。イスラム国と現在のタリバンはどれほどの差があるのか想像もつかないが考えさせられだ。
若者の無宗教に平和の可能性がある
ジャーセム隊長はイスラム国のことを「ダーイッシュ」と呼ぶ。そして蛇蝎のごとく忌み嫌う。その理由こそが本作品のモチーフであり、隊員たちが隊長に従う動機でもある。
街が戦場になるとはこういうことかと実感した。それほど市街戦は恐怖とリアリティに満ちあふれている。民間人がまだ住んでいるモスルの街は、爆撃する訳にもいかないから、人海戦術で兵士がダーイッシュと対峙するしかない。誰がダーイッシュかなどと見極めているヒマはなく、動くものがあればとりあえず撃つ。撃たれたら弾丸の来る方向をマシンガンで掃射する。
角を曲がると撃たれるかもしれない。扉を開けると、窓から外を見ると、自動車で街を進むと、マシンガンで撃たれるかもしれないし、ライフルで狙撃されるかもしれない。しかし彼らは角を曲がり、扉を開け、自動車で進む。
戦闘は唐突に始まり、唐突に終わる。確認すると仲間が死んでいる。泣いているヒマはない。戦闘が終わっても安全とは限らないのだ。ひとり、ふたりと減っていき、死んだ仲間の弾丸や現金などを持って、再び角を曲がり、扉を開ける。戦場はとてもリアルであり、恐怖であり、絶望的である。
仲間の遺体は運べるときと運べないときがある。いつかきちんと埋葬することを念じて「アーメン」を唱える。「アーメン」はイスラム教でも使うので、彼らの宗教は不明だ。新人のカーワは「アーメン」を唱えなかったから、もしかしたら無宗教なのかもしれない。
見え隠れする家族第一主義はやはりアメリカ映画だが、イラクの元警察官が登場人物の中心だけあって、作品に宗教色はあまりない。キリスト教を出せない分、イスラム教も出したくないのだろう。若いカーワは叔父が死んだからといっても泣かない。隊長から何故泣かないのかと聞かれても、わからないと答える。自分でもわからないからそう答えているのだ。このシーンは、イラクの若者が宗教からも家族第一主義からも離れているという精神性を示唆しているのではないだろうか。そしてその精神性にこそ、紛争が続く中東の平和の可能性があるのかもしれないと思った。
20年代で…
10年単位で、
名作戦争映画が出てると思っていて、
90年代であれば、『プライベートライアン』
『シン・レッド・ライン』とか、
00年代であれば、『ブラックホークダウン』『ハートロッカー』とか、
10年代だと、『ハクソー・リッジ』『ローン・サバイバー』『ダンケルク』など、
アイコン的な戦争映画があると思っている。
『モスル あるSWAT部隊の戦い』は、
20年代のアイコン的戦争映画だと思う。
ストーリーが有り、戦争の悍ましい部分をしっかり描きながら、映画としての満足感もしっかりある。
主人公の強烈な半日、
明らかに顔が変わっている。
幼い兄弟の別れや、
突然の死、憎しみしか生まれない場所で、
なにを正義として戦っているのか、
終わらない負の連鎖が、
ずっと心にへばり付く…
誰のために戦うのか?
出演者全員がアラブ系、全編アラビア語と言う異色のアメリカ映画で、なかなかの力作でした。開巻、イラク警察のSWATが市街戦であっと言う間にISを片付けてしまうオープニングは鮮やかです。秘密の任務のため危険地帯を突破する設定はよくあるけど、すごいリアルな骨太アクションの連続で、単純な構成だけに一気にお話しが展開します。一方で、戦場のど真ん中でイラン人武器商人が武器弾薬を売り込みに来たり、ドンパチの中でもムスリムのお祈りは欠かさないなど、アラブ世界独特の一風違った雰囲気がいい感じで、カーナハン監督なかなかの腕前です。最後に明らかになる任務は、アラブ圏に限らずどの国でも普遍的なテーマで、思わずグッときました。役者全員、まるでお馴染みのない方々ですが、しっかりキャラ立ちしていて熱演でした。
『キングダム 見えざる敵』の続編のようなリアルで無情な戦闘の果てに浮かび上がるSWAT部隊の使命が胸に響く力強い人間ドラマ
舞台はISIS(ダーイッシュ)との戦いで荒廃したイラクの街モスル。任官からわずか2ヶ月の新米警官カーワは麻薬と銃器の交換取引を行うダーイッシュ数名を逮捕したところで激しい銃撃戦となり目の前で叔父を殺され同僚と孤立、絶体絶命となっていたところをジャーセム少佐率いるニネヴェSWAT部隊に救出される。カーワから叔父を殺されたと聞いた少佐は、彼の部隊は身内をダーイッシュに殺された元警察官で構成されていてある指令のために行動していることを告げ、カーワを部隊に誘う。何も判らぬまま入隊を承諾したカーワはすぐさま部隊と行動を共にするが、彼らの行く先々でダーイッシュとの激しい戦闘が続き1人また1人と仲間を失っていく。
米国映画ですがいわゆる白人キャストは1人も登場せずセリフは全編アラビア語。激しい銃撃戦で幕を開け至る所で人間があっさり命を落とす地獄絵図が繰り広げられる中を、寡黙なジャーセム少佐と彼の右腕で冷静沈着なワリードに導かれた部隊はある使命のために行動しているが、入隊したばかりのカーワには明かされない。SWAT部隊とダーイッシュの戦いもデタラメで仲間が拉致されているところに平気で手榴弾を投げ込んだり、タバコと交換して手に入れた銃弾も不発だったりする。どこまでも続く廃墟の中を突き進んだ果てで唐突に使命を聞かされたカーワの表情に透けて見える感情に激しい耳鳴りを感じました。
サウジアラビアを部隊にしたサスペンスアクション『キングダム 見えざる敵』の脚本を手がけたマシュー・マイケル・カーナハンの監督・脚本作品ということで、『キングダム〜』の続編のようなリアルで臨場感に満ちた戦闘が延々と続きますが、芝居がかったドラマティックな死はどこにもなく、思想や信条に関係なくただ無駄に人命が失われ、その死屍累々の上にぽっかりと浮かぶ彼らの使命が胸に響く、実に力強い作品です。
ハンディーならではの臨場感
ハンディーならではの臨場感が凄い。
しかし、それだけである。
あらすじはとても感動的な内容であるが、戦場描写のバランスが勝ってしまい、ドラマの焚き付けがイマイチだったような印象。
惜しい。
でも、
アラブ世界での対立と涙をシッカリ伝える佳作ではある。
命を懸けて戦う理由は〇〇だった。うーん・・・
イスラム過激派ISISに支配されたイラクの都市モスルにおいて、ISISが駆逐されつつある状況下での物語です。
謎の戦闘集団がISISと戦っているのですが、理由が終盤まで明らかにされません。
最後に明らかにされた理由は〇〇。
わかったようで今一つよくわからない。
平和な日本にいては決して理解できないお話でした。
命の軽い事よ…(※注 先の大戦とは異質の軽さです)
いやはや…私自身ジャンルで言うところの戦争映画が大好きで、上映があれば観に行くんですが…
オープニングから、あれよあれよと話が進みます。このオープニングはズルいです笑 一気に世界に引き込まれます。
人種、主義、宗教、国、個人と色々絡み合い、中東は非常に複雑なんだなと思いました。(少し勉強しようかなと思います。)
ハンヴィーに乗れば、ブラックホークダウンのシーンが来るんじゃ無いかとヒヤヒヤし、路駐があればハートロッカーじゃないかとヒヤヒヤし、、、笑
結局の所、観た後は非常にリアルだったなと思う事請け合いです!!
※少しだけネタバレですが、イラン(イラク?)将校のシーンである人物が手榴弾を握る意味が後に分かります。
兵站というセリフも色んな意味があって、どっちでもOKと暗喩していて…脚本がとても良かったです。
RPGも、もしかしたら弾頭のピンを抜く表現が無かったので、隊長のカリスマ・全体を考える力の喪失を表現したのかなーと邪推します。
後、アウトポストなどの米映画では「メディーック(衛生兵ー)」があるんですが、今作(実情?)は単純に圧迫止血のみ、オプションで祈りだけです。
戦争映画が好きな方は、多少無理しても観に行くべき作品です。砂埃、砂埃、砂埃…
是非観て下さい!!
一人の若輩者が生死の修羅場をくぐり抜けて行くたびに組織内での存在感を高めて行く成長物語
イラクの都市は砂漠地帯にあるためか建物も含めて彩りに欠ける、どのシーンも茶褐色に見える。
戦闘がほぼ機関銃の打ち合いに終始し単調な感じがする。
2021年ベストムービー!⭐️⭐️⭐️✨
映像のほぼ8〜9割は激しい銃撃戦…戦争映画好きにもアピール出来る作品だと思いました。
そして、最後の最後に明かされるその任務の目的を知ると、ウルッと来るかも知れません。
これが現実だなんて…ことばが見つかりません。
間違いなく今年を代表する1作となるでしょう…。
オススメです!笑
*平日21時過ぎのレイトショー。まばらな客入り。席はガラガラ。なのに、敢えて他人様の隣席を選ぶ人って、一体どんな神経をしているんでしょうか?コロナ禍で、出来るだけソーシャル・ディスタンスを取りたいと、皆が思っているこの御時世に…。
機転をきかせて、ひとつ席を空けた所に場所を変えて座るとかなら、まだ理解は出来ますが、あくまでも自分が取ったその席にこだわるって…。
ホント、映画館に来ないでほしい…。
娯楽作ではないです。
イラク第二の都市モスルが舞台で実話ベースの戦争アクション。
会話も英語でなく現地語なので臨場感は半端なく自分が戦場に立ち会っている錯覚に陥ります。
あまりに戦場がリアルなので最後まで見ても娯楽作品の様な爽快感はなく焦燥感を感じて終わります。
家族を守るために戦うスワット部隊が殺し続ける敵にも家族がいる。殺しと憎しみの連鎖は終わらない。
エンタメ要素は少なくいですが戦場のゲリラ戦の緊迫感を味わいたい人にはお勧めします。
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