「トスカーナの胡蝶は甘い夢を見る。華麗なる一族、その落日の記録。」ハウス・オブ・グッチ たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
トスカーナの胡蝶は甘い夢を見る。華麗なる一族、その落日の記録。
ファッションブランド「GUCCI」で知られるグッチ一族の崩壊を、3代目社長マウリツィオの妻であるパトリツィアを中心に描く、史実を基にしたサスペンス映画。
監督/製作は『エイリアン』シリーズや『オデッセイ』の、巨匠サー・リドリー・スコット。
「GUCCI」の3代目社長、マウリツィオ・グッチを演じるのは『スター・ウォーズ』シリーズや『パターソン』の、名優アダム・ドライバー。
マウリツィオの伯父で「GUCCI」の2代目社長、アルド・グッチを演じるのは『ゴッドファーザー』シリーズや『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の、レジェンド俳優アル・パチーノ。
アルドの息子、パオロ・グッチを演じるのは『ファイト・クラブ』「DCEU」シリーズの、オスカー俳優ジャレッド・レトー。
映画監督業界の爺さんたち、元気すぎる問題。
まさか2022年にクリント・イーストウッドとリドリー・スコットの新作が同時期に上映されているだなんて、中々に信じ難い…😅
この映画だってなんかむらみやたらにエネルギーが満ち溢れていて、とても84歳の大おじいが撮ったとは思えない。
アル・パチーノが出演していることからも分かるように、本作はグッチ一族を使って作られたマフィア映画のパロディ。
一族の血に塗れた裏切りと足の引っ張り合いを、ユーモラスたっぷりに描いている。
本作はグッチ一族に入り込んだ毒婦パトリツィアが主役であり、彼女の権謀術数によりグッチ一族がボロボロになってゆく様が描かれるのだが、実はそこは大して重要ではない気がする。
パトリツィアがマウリツィオに嫁入りする前からグッチは崩壊寸前。グッチ兄弟の経営方針は足並みが揃っていないし、跡取りのパオロは正に凡才の極み。
「GUCCI」は一流デザイナーからは馬鹿にされてしまうような古臭いブランドに成り下がってしまっており、放っておいても自己崩壊するのは時間の問題だったのだろう。
本作で描かれるのは栄枯盛衰の理であり、ある意味ではパトリツィアは偶々その場に居合わせたに過ぎない。
本作はグッチ一族が終幕する、その前の最後の煌めきを描き出した物語なのであり、パトリツィアによる悪女物語ではない。
パトリツィアは「GUCCI」という眩い光に誘き寄せられた蝶々🦋
ユーリズミックスの"Sweet Dreams"が、予告編のBGMとして使用されていたことからもわかるように、パトリツィアは「GUCCI」のネオンに惑わされ甘い夢をみている。
そして次第に現実と甘い夢の垣根は消えてゆき、遂には自らこそが「GUCCI」そのものであると思い込むモンスターへと変貌を遂げる。
娘の名前をマウリツィオの母親、つまり絶縁状態である義父の妻と同じものにするという行為。
一見すると心温まるエピソードだが、それを提案したのがパトリツィアであるという事実には背筋が凍る…🥶
パトリツィアはグッチという「家」に取り入ろうとして、逆に「家」に取り込まれてしまった、と見る事も出来る。
実はこれ、ここまで極端ではないにしろ、ごく一般的な夫婦の間にも起こり得る事なんじゃなかろうか?
結婚は家と家との結びつき、という考えは現代日本にだって根強く残っている。特に女性は結婚すると姓が変わるのが一般的な訳で、これは一種のアイデンティティの剥奪と捉える事も出来るだろう。
本来の姓を捨て、旦那の家族と良好な関係を築くように努め、最後は旦那の家の墓に入って眠る…。
それを良し、と捉える事がまぁ一般的な価値観なんだろうけど、その事に違和感を覚える人たちが少なからず出てきているのもまた事実。
価値観に変化が生まれつつある現代に生きる我々にとって、本作の観賞は「家」について考えることへの一助となるかも知れない。
暗殺されたりするけど基本的にはコメディで結構笑える。意外とエンタメど真ん中な作品である。
前評判通りガガ様の演技は最高😍男はあのくらい寸胴でムチムチッ!としている肉体の方がエロスを感じるのです…💕
リドスコ映画だからハズレはないだろうと思っていたが、やっぱり楽しい映画でした〜。
…ただ2時間40分は長えよ😅
膀胱が爆発するかと思った。
最近の映画ってどんどん尺が伸びているような気がする。せめて2時間に収めてほしい。
たなかたなかさん、フォローをありがとうございます。
大オジイ達のくだり、笑ってしまいますが、ホントなんたるパワー👏👏👏
トイレを我慢せざるを得ない価値のある2:40でしたね。笑笑
babaringさん、コメントありがとうございます😊
おっしゃる通り、作中で使われていたのは「Here Comes the Rain Again」でした💦
「Sweet Dreams」が予告編では使われていたので勘違いしてしまいました…。
レビューは訂正させて頂きます。ご指摘ありがとうございます♪
こんにちは、
”本作はグッチ一族が終幕する、その前の最後の煌めきを描き出した物語であり、パトリツィアによる悪女物語ではない”、という御見解、なるほど、と思いました。確かに私が若い頃もGUCCIは既にちょっとオバサン臭いブランドのイメージがありましたから。(高級ブランドと言うのはそもそもある程度年を重ねた女性に似合うのであって、若い女性の物では無い、とは思います)
パトリツィアは光に吸い寄せられた蛾々です、たぶん。
お早うございます!
GUCCIの姓に執心したパトリツィアでしたが、マウリツィオが突然イラついてそれを突っぱねるシーンがありました。
どんなに愛されていてもファミリーの問題は男たちの問題であったのですねー。
もしパトリツィアの実家もそれなりのファミリーであったなら、GUCCI家との抗争に発展したかも。しかしパトリツィアはひとりぼっちでありました。
そう言えば、お隣韓国では、結婚しても妻は名字は変わらないんですよ。
これ、実に平等で先進的な「夫婦別姓」の実現社会なのかと思いきや、生まれた子供はすべて夫の家の名前が付けられてしまうわけで、その家族の中で違う名前なのは妻だけという婚姻関係。
つまり「『嫁』は最初から最後まで外から来た他人であり、ファミリーにも入れてもらえない、夫の家のために子を生む役割の人」という理解なのかもしれません。
長文失礼しました
きりん