「ギレルモ・デル・トロ監督とはそれほど相性が良いわけでなく、 『パン...」ナイトメア・アリー りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
ギレルモ・デル・トロ監督とはそれほど相性が良いわけでなく、 『パン...
ギレルモ・デル・トロ監督とはそれほど相性が良いわけでなく、
『パンズ・ラビリンス』が最も良く、まだるっこいけど良いのが『デビルズ・バックボーン』で、意外と好きなのが『ミミック』。
どちらかというと、まだるっこしい演出だなぁと思うことの方が多いです。
1930年代末の米国。
独身男のスタントン・カーライル(ブラッドリー・クーパー)は、一体の死体を処理するため、家に火をつけ故郷をあとにした。
大陸バスでたどり着いた先ではカーニバルが催されていた。
出し物のひとつ「獣人」を観たスタンは、小屋に入る前にチラ見した美女モリー(ルーニー・マーラ)が気になり、そのままカーニバルの一座に居つくようになる。
下働きのスタンであったが、読心術を売り物にするジーナ(トニ・コレット)とピート(デヴィッド・ストラザーン)に気に入られ、彼らを手伝ううちに読心術のトリックを身に着け、ある日、モリーを連れて一座を抜け出し・・・
といったところからはじまる物語で、ここまでが前半。
その後は、一流ホテルでのショウを演じるまでになったスタンが、上流階級の大物をペテンにかけようとする物語へと転じ、最終的にはカーニバルへと舞い戻らざるを得ない羽目となるという運命論的なクライム映画。
この映画で描かれるところでは、いわゆるスーパーナチュラル・ファンタジー的要素はなく、純然たるクライム映画。
『シェイプ・オブ・ウォーター』などでファンタジー要素を取り入れてきたギレルモ・デル・トロ監督なので、そこいらあたりを期待すると当てが外れる。
前半のカーニバル部は、美術的にノスタルジーとしての面白さがあるので、演出のまだるっこさはあまり気にならないのだけれど、後半の純粋犯罪映画部になると、まだるっこしさ全開で、観ていて苛々してしまう。
特に、女性精神科博士リリス・リッター(ケイト・ブランシェット)が登場してからは、ブラッドリー・クーパーとの演技合戦の様相を呈して、ちょっと暑苦しい。
ふたりが丁々発止とやり合うシーンでは、部屋の外に雪が降っているにもかかわらず、である。
(唯一、出番の短いメアリー・スティーンバージェンが印象的で儲け役といえる)
ということで、こってりの2時間30分で見ごたえはあるけれども、ちょっと胃もたれしました。
この内容だと、95分で撮れるんじゃないの? なんて思ったりもしました。
なお、タイトルの『ナイトメア・アリー』を「悪夢を見るアリー(女性名)」と勘違いしていて、アリーって出てこないなぁ、なんて馬鹿なことを思っていましたが、「ALLEY」はシルベスター・スタローン初監督作『パラダイス・アレイ』の「アレイ」と同じで、「悪夢横町」という意味だったんですね。