よだかの片想いのレビュー・感想・評価
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#72 人は顔を通して他人を見るのか?
顔のアザを気にして生きる女性の物語かと思ったら、実際は主人公も周りもアザがあることをあまり気にせず生きている風に描かれていた。
というか今は強力なコンシーラーが沢山あるんだから、隠せるんじゃないかと最初から思って見てた。
先に彼女を好きになったのは男のほうだと思うのに、何故か告白は彼女のほうから。
もし顔のアザにコンプレックスがあるなら告白なんてできないよね。
それに彼女の顔を通して彼女を見てるなら、彼の方もそれを受けないと思う。
原田に至ってはアザの有無を全く気にしてないし。
映画全体としては面白いんだけど、アザが強調されてなくて単なる恋愛映画に見えてしまったところがマイナス。
結局アザはなんだったんだろう?
松井玲奈が良かった
前田アイコは、顔の左側に大きなアザがあるため、幼い頃からからかいや恐れの対象になっていた。そのため、恋や友達との遊びをあきらめ、大学院でも研究ひと筋の毎日を送っていた。そんなある日、顔にアザや怪我を負った人、の取材を受け、その本の発売によりアイコは話題となった。そして、その本を映画化したいという監督が現れ、アイコは飛坂監督と話をするうちに彼にひかれ、自身のコンプレックスと正面から向き合うことになっていくという話。
刺青でもある程度消せるんだから、あれくらいのアザなら綺麗に消せるだろうに、と思って観てたら、案の定、後半になって、レーザー治療すれば2年くらいでほとんど目立たなく出来ると医師に言われていた。それに、化粧でほとんど目立たなくも出来たし、前向きになればいくらでも良い方向に進んでいけるという事がテーマなんだろうと思った。
宮沢賢治の小説を知らなかったし、よだかという言葉を知れて勉強になった。
松井玲奈は相変わらず綺麗で魅力的だった。
ダンスはいまいち、衝動はすばらしい。
2021年。安川有果監督。島本理生原作の小説を映画化。頬にアザがある女性が、その女性をモデルにした作品を撮ろうとする映画監督と恋に落ちる物語。
アザがあっても強く生きる女性が、「があっても」に複雑な思いを抱いていく。その思いが、優しいけれども女性よりも仕事を重視している(と感じられる)恋人との関係と重なっていく。恋愛小説の旗手の原作だけに、恋愛の機微をうかがう繊細な感覚を取り上げる映画になっている。よくある恋愛映画の側面。アザについての主観的、客観的、幻想的な描写は独特ではあるが、心理的な説明が勝っている。サンバのダンスを「生の躍動」の文脈で描いているが、躍動感がまるでないのが残念。最後に大切な意義が見出されているのだから、あのダンスの描写はもっと躍動しているべきではないか。
閉じ込められた部屋から出るために衝動的に窓ガラスを割り、男への募る想いがガラスの破壊、流血、全力疾走によって描かれる。ガラスを割ったから男への想いが抑えがたくなるのだが、それは直後に落胆にも変わる性質のものなのだ。この急変のリズムがすばらしい。
誰にでも
人には引け目を感じる部分と言うのはありますよね、肉体的な部分だけでなく、精神的や社会的や経済的な部分を含めると。人はそれを持ちながら生きていく訳ですから、いかに前向きに捉えるかが必要ですね、苦しい面もありますが。
小学生の頃の、朝の通学路の一コマを思い出しました。
顔の左側に青アザが有る女子大学院生が、書籍になった自分の経験談を映画化したいと申し出た若い監督に、恋心を抱くまでの心情を描いた映画です。
私が小学生低学年の頃、毎朝の通学路に、顔に大きな火傷の跡が残る女の子が、クラスメートと思われる女の子と、談笑しながら通学している場面を、ちょくちょく見かけました。
私の最初の印象は、ひどい火傷の跡に、気持ちが悪くなりましたが、日を追うごとに、そのような気持ちが薄れてきて、普通に、その女の子を見ることが出来るようになりました。
当時の私は、顔に大火傷の跡を残したまま、その後の人生を送る女の子の悲しみや苦しみにまで、思いが至りませんでしたが、この映画は、顔に大きな醜い跡を残した女の子の、現実の人生のワン・シーンを描いているように思いました。
ラスト・シーンでの、主役のアイコに巧に光をあてた美しい映像を見て、とても清々しい気持ちになりました。
そして、小学生の頃の、朝の通学路に出会った女の子は、今、どうしているのだろうか、等と思いながら、映画館を後にしました。
上映されている劇場は、そう多くは無いようですが、この映像化された純文学を、大勢の方に観て頂きたいと思いました。
バランスはいいが共感しにくい環境
2022年劇場鑑賞218本目。
代表作「ゾッキ」と紹介する記事は悪意がある松井玲奈主演。
この人の顔好きなんですよね〜。だからちょっとくらいアザがあるくらい自分には気にならないのですが、生まれつき顔に大きなアザがある女子大生が主人公の話です。タイトルからアザがコンプレックスで恋に踏み出せず終盤まで片想いする話かなと思ったら結構序盤でくっついて、あれっ?と思いました。まぁ後からそういうことかとは思うのですが。
アザに関してそれほど悲観的でもなく、それでいて忘れられてもなく、絶妙なバランスで話に絡んでいくのは見事だと思いました。一方で恋愛相手が映画監督という特殊な職業なおかげで共感しにくい環境になってしまったいたのが残念でした。
らみぱす、らみぱす、るるるるる。
『島本理生』原作の映画化は
〔Red(2020年)〕が噴飯モノの内容だった以外は、
〔ナラタージュ(2017年)〕や〔ファーストラヴ (2021年)〕はなかなかの良作で、
勿論、監督や脚本に左右されようも、
『三島有紀子』が、あれだけの駄作を撮るのは、正直、意外。
で、本作、どちらかと言えば上作の部類。
とりわけ主な登場人物を演じた『松井玲奈』と『中島歩』の出来が極めて良い。
『松井玲奈』の方は、「NHK」の連続テレビ小説〔エール〕での好演で
意外とできる人と認識を改めていた。
それを凌駕する驚きだったのが『中島歩』のあまりにも素に近い演技。
何故か、自分の過去に観た映画ではチョイ役が多く
まるっきり印象に残っていなかったのだが、
今回の成りきり具合には、相当に驚愕。
ちょっと身勝手な男の造形を、てらいも無く、ストレートに演じている。
『アイコ』は生まれつき、左の頬に大きな痣がある。
幼い頃は母親主導で治療にもいどんだものの、
長じてもそれは大きくもちいさくもならず、変わらず彼女に顔に在る。
そのことが、人間関係にどのような影響を及ぼしているかは不明だが、
その痣と一生付き合っていく決意をした本人は思いの外超然とし、
却って周囲がそのことを気遣うほど。
自身は望みはしないものの、
顔に厳然と在る痣の存在を、
他人には肯定もして欲しくないし否定もして欲しくない。
要はあるがままの姿を見て貰いたい。
この構造は頗る面白く、本人と周囲が夫々、
気にしない×気にしない
気にしない×気にする
気にする×気にしない
気にする×気にする
の関係性が出たり引っ込んだりしながら、
ストーリーに膾炙する。
とは言え、その痣を主軸にしたルポルタージュ本が刊行され、
それを底本に映画化を望む監督『飛坂』と付き合うことになったのだから、
あながち負の側面ばかりとは言えず。
が、『飛坂』は、端正な外見とソフトな物腰、
知的な会話から知れるように所謂モテ男。
にもかかわらず、女性の影がチラつかないのは、
単純に映画馬鹿で、それに命を掛けているから。
『アイコ』は彼が自分と付き合いだしたのは、映画作成の肥やしにするためでは、と
次第に疑念を持ち始める。
本作では「痣」が一種の狂言廻しで、重要なパーツ。
その存在を外してしまえば、実体はどこにでもある恋愛ものと
プロットは変わらず。
ひょんなことから出会った男女が付き合い始めるも、
次第に疑いが芽生えて別離、しかしその後で
女性(若しくは男性)が人間的に成長する、との。
ここでもその定石は踏襲され、しかしあかつきに得られた、生きて行くための自信は
すかっとするほど爽やかだ。
「痣」の存在を際立たせるパーツとして、
ここでは鏡が多用される。
『アイコ』の顔が映る毎に、
存在が強く主張されるものの、
その表情は驚くほど多弁。
とりわけ、『飛坂』から貰ったコンパクトを
パチンと閉じるシーンは極めて印象的。
公開されている映画館は少ないが高評価
今年274本目(合計549本目/今月(2022年9月度)17本目)。
先天性で顔にあざを持つ女性と、その女性を取り巻く(健常者の(=ここでは、あざがない、という狭い意味))女性や、男性を取り巻く恋愛ストーリーです。
特に女性の先天性の、特に「見えやすい」位置にある顔のあざというのは、美容という観点から重い話題であり、リアルでも程度の差こそあれ、苦しんでいる方はリアルで存在します。
原作小説は存在するのでおおむねそれにそって展開はするものの、小説を見ていない方にもキャラクタの自己紹介など丁寧なので混乱は招かない印象です。一方で「よだか(よたか)」という語は「存在する語」なので、このことだけは知っておいたほうが良いかもしれません(一般的な辞典には載ってます)。
個人的には100分ジャスト(2時間=120分を切る)という事情もあり、やや説明不足かなと思えたり、特に他の方も指摘されている通り、ラストにいたる展開が急展開すぎて理解が困難になりやすいという部分は抱えているのはあるかな…と思いますが、当事者の方、そうでない方、男性・女性の違い、また、そもそも論で原作小説を知っている、知らないで大きくここは差は出うると思うので、確かに「ややわかりにくいかな」という点はあるにせよ、減点対象にしていませんし、あるとしても0.1程度でしょう。
そもそも原作小説があるため、それにそって描写される以上あることないこと描けませんが、特に女性にとって大きなハンディキャップとなりやすい「先天性の美容の問題」についてとりあげたという点では高く評価できるので、多少気になる点(上記のラストにいたる急展開が本当に急すぎる)はあるにせよ満点にしています。
「気にしない」から「受け入れる」に自らを解放した主人公が美しい
最も印象深かったは、小学生の頃の「琵琶湖」の思い出の場面。主人公をかばおうとした先生の振る舞いが、逆に、主人公を傷つけていたというエピソードで、自分も、知らないうちに誰かを傷つけているのかもしれないと、少し複雑な気持ちになった。
主人公は、顔のアザを隠そうとしていないし、それを気にしていないようにも見える。だが、小学校の先生のような悪意のない言動によって、これまでに何度も嫌な思いをしてきたことは想像に難くなく、だからこそ、心に壁を作って、「本当に信頼できる人」としか付き合って来なかったのだろう。
ラストシーンが解放感に満ち溢れているのは、そんな主人公が、心の壁を突き崩して、すべてを受け入れたからに違いない。「気にしない」という消極的(否定的)な姿勢から、「受け入れる」という積極的(肯定的)な姿勢に自らを解放した主人公が、とても強く、美しく感じられた。
コンプレックスと向き合う女性の話しだが、業界人あるあるばかり見せつ...
コンプレックスと向き合う女性の話しだが、業界人あるあるばかり見せつけられた気がする。
良い作品にする為だったらなんでもする。嫌って程上手く描かれていた。
テクマクマヤコン
先天的に顔に大きな痣を持つ女性のとアイデンティティと恋の話。
顔にアザや怪我を負った人を取材した本にルポが掲載されると共に、写真が表紙になったことでフィクション映画の題材としてのオファーがあり巻き起こるストーリー。
当事者であっても思うこと感じることは人それぞれだろうけれど、琵琶湖の件で認識する自我や偏見やコンプレックスはもっと幼い頃に通り過ぎていないのかなと。
当事者じゃない自分には分かり得ないところではあるけれど。
そして大人になった主人公は受け入れているようで、それでもやっぱり引っかかりがあって、そんな上でのズルい男とちょっと面倒くさい普通の女の子を描いたある意味普通の恋愛映画という感じで、それが良かった様に感じた。
2年でなんちゃらもあったし誰しも少なからずコンプレックスは有るわけだしね。
個人的に恋愛映画は得意じゃなくて、そういう意味ではちょっとダルく感じるところはあったけれど、パイセンと後輩はめっちゃ良い人だし、そちらとのやり取りがとても良かった。
美しき芸術作品
会話のシーンで遠くから撮っているところが多く、力強い言葉のセリフが物凄く印象に残りやすかった。鏡や光を印象的に使われていたり、自然な情景などにも拘りが垣間見えかつキャストの皆さんの自然なお芝居もあり美しく、とても洗練された作品に感じた。この作品では、女性の逞しい生き様を見る事が出来ます。アイコの生き方含め1つの美しい芸術作品のように感じました。
私は渋谷の舞台挨拶の回を鑑賞に行きましたが、鑑賞後にすぐ撮影の裏話や監督や松井さん・中島さんそれぞれのこの作品への思いが聞けて、色んな人にこの作品が届くといいなと思いました。
私は、この作品の原作を読んだことがないのですが、映画を観終わってすぐに原作を購入したので、これから読んでみようと思います。きっと、この映画をリピートしたくなるだろうなぁ…
この映画は惜しい…。いい作品になった可能性があるが、音楽のクオリティが低すぎる。
出だしはいい。すごくいい。
ただ、音楽が入ったところで、あー…となる。ちょっとクオリティが低すぎる。そして、セリフにかなりかぶってくる。
松井玲奈のセリフを聴かせたかったが、いらない音楽がストーリーの邪魔をしている。
ラストからエンディングの曲も、あまりしっくりこない。
とても、もったいない。この映画は、かなりいい作品になっていた可能性がある。
城定秀夫の脚本もよかったが、なぜサンバなんだろう?アイコが飛坂に「好きです」と思いを伝えるが、アイコのキャラクターから言って、そこは胸に秘めていた方がよかったと思う。原田がアイコに告白するシーンも言わない方がよかったかな。
安川有果監督ですか。他の作品は観たことがないですが、次回作期待しています!
#151
松井玲奈推しで行く。玲奈ちゃんが良かった。自分に対して屈折したと...
松井玲奈推しで行く。玲奈ちゃんが良かった。自分に対して屈折したというか、硬い人との壁というか、硬質な感じがあるのが好きというか、気になっていて、今回も彼の前で好きだと言うときの熱い感じと、それでもすごく抑えた感じが、他の人にはできない稀有な演技だと思った。ラストシーンが美しい。後輩の子の配置もいい。ちょっと残酷だけど。映画監督の描き方は古典的でしかないけど、ああいうの、ありうるんだろうなあとは思う。昔の男性よりは優しいとは思うけど、でも人に結局向き合えないタイプ。
ラストシーンは女性監督っぽいと思う。
島本さん原作とは知らず。島本さんの映画は、結構実体験のトラウマに彩られてるけれど、これは、痣で構想したものだったのか。でも、映画監督っていう設定はうまい。恋っていうものの話ではある。やっぱり不幸な恋の話なのか。
ただただ美しい
拾って磨き上げて、
大事にしている感、
女優さんがきれい、
セリフそのままの作品。
よだかどころか、
鷹を通り過ぎて、
佇まい全て美しい。
右から狙うか、
左から捉えるか、
受けて、パンして、
捉えるレンズ、サイズ、
ライトも素晴らしい。
ストーリーとの、
引き寄りのシンクロも、じわじわ効いてくる、
そして翼あるホンモノのよだかへ。
振り返ってみると優しくて心地よい、繊細な変化が美しい作品
東京国際映画祭にて。脚本を手掛けた城定秀夫氏と本作の監督である有川有果監督の登壇付きで鑑賞。話も交えながら記していく。
アザを持ったアイコが出会ったのは、彼女のアザを受け入れてくれる映画監督。作品にしたいだけでなく、彼女を受け入れてくれる人で…。容姿に偏見を持たれてしまう社会で出会った初恋の行方は…。
容姿に触れる為、映像化することに躊躇いを覚える会社も多かったそうだが、そこを柔らかく、しなる様に作り上げたのが印象的。少し届きにくい部分もあるが、心情の変化が二人を変えてゆく過程は、不思議と引き込まれる。
松井玲奈自身が大ファンと公言するこの作品で、彼女自身も映像化を売り込んでいたそう。そんな中、直井卓俊氏が有川有果監督の舞台を観たことが縁で、監督をオファー。脚本には城定秀夫氏を招いて作ることになったのだとか。柔らかくも何処かヒリヒリとする変化の予兆に、心もソワソワ。城定秀夫氏の脚本もあって、飛坂も絶妙な塩梅でキャラクターが構成されている。
そんな飛坂を演じたのは中島歩。二人とも彼は面白い役者と絶賛するほど、本作でも魅力的な存在として放っている。クズではあるが、クズすぎない…そんなバランスを感じさせる、アイコとの会話の数々は必見。そんなことを質問できて良かった。笑
振り返ってみると、長かった様にも思えるし、その中にいくつも濃いやり取りがあって、抱きしめたくなる。ちゃんと監督の作品であり、その中にも城定秀夫イズムが息づく。かなり興味深く楽しめた作品だった。
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