「設定、ストーリー、作画、演出全てが惜しい!」機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島 unicornさんの映画レビュー(感想・評価)
設定、ストーリー、作画、演出全てが惜しい!
まず良かったところ、、
最新の絵柄、技術でファーストガンダムのキャラとメカが見られたことですね、、
声優さんも、アムロ、カイ、シャアといったオリキャス陣は、もはや神話級?の素晴らしさですし、ユニコーン以来の鈴置氏の魂を継承した成田氏は言うに及ばす、オリジンからのキャスト陣も違和感なくて良かったです、、特にミライ役の新井氏はオリジンのときの藤村氏が休業されてるということで、急遽配役されたと聞きましたが、とても役に合っていて、これまた良かったと、、
何よりドアン役の武内氏が最高でした!武内氏の上手さは前から知ってましたが、それでも唸らされましたから、、、(何せ実年齢25歳の武内氏のドアンが実年齢68歳の古谷氏演じるアムロよりどう聞いても歳上だという、、これは古谷氏の凄さでもありますが笑)
ここからは残念だったところと、どうすれば良かったと思うかを語ります!
少しでもネガティブなことに触れたくない方や、ネタバレを避けたい方はここで読むのをおやめください、、
また、かなり長くなりますので、悪しからずご了承ください🙇♂️
今回の映画は全体的に惜しいという感想に尽きるんですよね、、設定、ストーリー、作画、演出どれも惜しい!
まず設定では、折角オリジンのタイムラインでキャラはスレッガーを、メカはジムを出しているのに、あのヤラレ方はないなと、、時系列的にもオデッサ前とは言えジャブロー後なんで、カイにしてもだいぶ戦い方は分かってきてる筈だし、ましてやスレッガーはもっと有能な筈なので、、、
ストーリーも、ククルスドアンをフィーチャーするなら、いっそ最初からドアン視点にして、アムロやホワイトベース隊を島に侵入して来る異物として描写した方が、初見の観客にも入り易かったと思うし、もっとドアンの過去を掘り下げることも出来たかと、、、
ドアンの過去をフラッシュバックで描いて、子どもたちと暮らすことになった経緯を語らないと、何故あそこまで子どもたちがドアンを慕ってるのか分からないし、そもそもあれだけ優秀な兵士のドアンがジオン軍を脱走した理由も分かりにくいです、、、
更に脱走の経緯を描くということは、必然的にサザンクロス隊との因縁を描くことになるので、クライマックスの対決がより盛り上がった筈です、、
次に作画ですが、あまりに安彦タッチの再現を追求し過ぎているかなと、、安彦キャラは魅力的ですが、表情づけや動きがややオーバーなので、オリジンのコミックではあまり気にならなくてもアニメートすると野暮ったくなると感じます、、これはオリジンのアニメのときから感じてたことです、、、
一方でユニコーンは、安彦キャラを他の方がアニメートしているので、そうした野暮ったさは感じられず、とても魅力的でした、、バナージにしろミネバにしろ良かったです、、、
そして演出ですが、これまで触れて来た設定、ストーリー、作画すべてと関連しますが、一本の映画として、観客の感情コントロールに失敗していると思います、、
視点人物(通常は主人公だがそれ以外でも可)が定まっていないため、感情移入しづらいのです、、少なくとも私はアムロにもドアンにも感情移入できませんでした、、、
ドアンは、ストーリーのところでも言いましたが、彼の背景が語られないので感情移入しづらいです、、
アムロはもっとやっかいで、そもそも今回のアムロはオリジン準拠のキャラなので、私からするとファーストの彼とは別人で、、、まずそこに引っ掛かりました、、
そこは置くにしても、アムロを視点人物にしたときのドアンの見え方がはっきりしない、、シャアやランバラルのように乗り越えるべきライバルや敵ながら学ぶところのある大人というような位置付けがないので、アムロの行動原理が分かりにくいです、、ドアンに反発するでも共感するでもなく、ただ隠されたガンダム探しているだけなのに、最後はドアンに説教めいたことを言ってザクを海に投げ捨てるという、、、
それに終盤でアムロがガンダムで生身のジオン兵を踏み潰す描写はいただけません、、前後に葛藤がないので、戦場の過酷さを体験したアムロの成長ということに繋がらず、必然性がないと思います、、
すみません、めちゃくちゃ長くなりましたが、以上が今回の映画の感想です、、、
発想はすごくいいと思うのですよ、埋もれたストーリーを語り直してファーストガンダムをリメイクするという、、それだけに惜しい!!
割と興収がいいみたいで、ガノタとしては嬉しい半面、上記の惜しいところを改善すれば、きっとハサウェイ以上の大ヒットになると思います笑