「最後のセリフに違和感」機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島 なもしさんの映画レビュー(感想・評価)
最後のセリフに違和感
他の方がレビューされているように、旧作のエモーショナルな部分を削り、ストーリーをハテナだらけにしたのが今作の特徴だと思います。
特に違和感が凄かったのは最後のアムロのセリフ。
セリフ自体は旧作と全く同じで、それ自体は今も色褪せない名台詞だと思います。 ただ今作の物語背景に使っても意味不明で、無意味な台詞になってしまったことは否めません。
旧作の場合、ドアンの島は何の重要性もない島であり、子供達と隠れて住むのにぴったりで、一見戦闘とは無縁に思えます。
しかし、島をひいては子供達を守るために残したザクが(もっというとドアンが戦い続けることが)皮肉にもドアンの島が「戦争の島」になる原因となってしまいました。
アムロは、これを「戦いの匂い」と表現し、
ドアンの戦闘への意識をそれを象徴するザクを処分することで、「戦争の島」から何もない島へと戻したのです。
これによって、軍がこの島を訪れる理由はなくなり、ドアンと子供達は戦後まで平和に暮らせたことが暗示されます。(ルッグンとやられたザクが消息を絶ったことは連邦の旅団との戦闘結果ということで。)
今作は背景が全く違います。 島はジオンの戦略要地であり、ドアンが戦う意志を捨てようと、ザクを捨てようと勝手に軍はやってくるわけです。 「匂い」を消しても無駄なのです。 ドアンと子供達はこれからも軍の襲来にそなえなければならず前途多難です。 この状況で台詞だけ旧作から引用しても、状況と乖離しすぎていて、無理矢理オチをつけた感が拭えません。
残念な結末と言わざるを得ないと思います。
追記:他の物語上気になった点
・不要なキャラクターの多さ
(年長の少年、サザンクロスの女性隊員と見張りの隊員、レビルとエルラン、シャア、カマリア、テムレイってこの時点では生死不明では? サイド6での台詞を夢に見るのは不適当。 夢のシーンでついでに言うと、戦闘のトラウマならランバラルを見ないと嘘。)
・ドアンが子供達を守る理由が明示されない。
・ドアンが脱走した理由の描写が薄い。
・サザンクロス隊隊長とドアンの因縁が不明
・シャアかドアンか、という強さ設定。(物語上全く生きていない。 そんなエースが何故脱走を?って繋げないとダメでしょう。)
追記:旧作ファンの気になった点
・ロラン→カーラの無意味な名前変更。
・パンチなし。(パンチが実現性ないならショルダーアタックでも良かった。)
追記:設定上どうなん?と思ったこと
・ドアンザクは襲撃したザクから補修品を剥ぎ取っている設定なのに、海中にザクが捨ててある。
追記:多分そうなんじゃない?と思ったこと
・今作の島のモデルは硫黄島だよね。