わたし達はおとなのレビュー・感想・評価
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食べるシーンに浮かび上がるしたたかさ
馴れ合いの中に垣間見る、グサグサと突き刺さる言葉たち。
もうあんな言葉を口にしない根拠のない自信のせいか、外側から見ていた。
モテる人は一生おとなにならなくても良さそうだし、女性のしたたかさにかなうものはなさそうだ。どんな時でもお腹は空くんだよね。
なんだか2人とも大丈夫そう!人生なんとでもなるって楽観的な気分になった。
なぜか大阪市では1週間遅れだったものの、基本的には高評価。
今年170本目(合計446本目/今月(2022年6月度)17本目)。
ということで、「峠・最後のサムライ」から5分違いでこちら。このあとの「plan 75」で精神的に力尽きるわけですが(というより、怒りのやり場がない…)。
すでに多くの方が書かれているように恋愛映画。どれかに分類しろと言われればそうでしょうね。
妊娠したようだけど、誰の子なのかわからない、さて誰が責任を取る?というところでモメはじまるみなさん。
まぁいわゆる「なんちゃって科学」の範囲だと個人的には思いますが、俗に「男性と女性とでは脳の使い方が違う、換言すると、モノに対する感受性が違う」とよく言われますが(賛成も反対もしません)、この映画ではそれが顕著に出ていて、それを「お互いに」よめない2人がどんどんすれ違っていき…というストーリーです。
惜しいところは、時間の入れ替え(原則、現在と過去の2つしかない模様)が頻繁に発生するところで、この入れ替えシーンが明示的になされないため、いつの話をしているのか不明になる点が多数存在するところであり(観客と劇内の人たちとでは「知りうる情報が違う」という「情報量の格差」という観点が、この手のスリップものにには存在します)、この点で「何が事実で何が憶測なのか」という点が観客にはわかっても「スクリーン内の主人公には」わからないため、妙にもどかしい展開が続く…と思えば、今度はそれが多すぎて観客も混乱しかねない点でしょうか。
いわゆる「大人の営み」のシーンも存在します(PG12扱い)し、行政書士合格者の観点でみても気になるところはある(民法の親族相続。特に親族編)ものの、これにどうこう言っているとplan75なんて到底「採点不可能なライン」であり、相対的に減点なしか、せいぜい0.1でしょうね…(それくらいplan75がどうにもならない)。
採点は下記のみ気になったところです。
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(減点0.2) 上記にも書いた通り、いわゆる「時間の入れ替え」が頻繁に発生するため、観客もいつの話をしているのかわかりづらく、かつわかっても「観客がわかることと、主人公が知りうる情報量には差がある」ことを意識しなければならず、かといってそれを意識していると、その「入れ替え」が多いためにさらに混乱を招き、今度は観客も混乱してしまいます。
とはいえ、原則として「現在と過去の入れ替え」だけであり、未来に飛んだりはしませんし、時間軸もあって2つか3つか…と思われる(さすがに過去編だけで10時間軸もはなさそう)点は救いです。
(減点0.1) エンディングが妙なところで始まってしまう(ネタバレ回避)点が気になったところです(本当に「え?ここで終わりなの?」という妙なところで終わってしまう)。ただこれも「男女の脳の差」なのかな(女性の観客の方だと理解できるのかな…)というところはあり(少なくとも支離滅裂な終わり方はしない)、そこまでは引きませんでした。
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クライマックスまでは完璧
現代的な若者像を切り取りつつ、痛みを写す…畑の違う監督だからこそ生めた傑作
今年の暫定ベスト。言葉を「乗り物」と例えることがあるが、それはきっと思いがけないモノを引っ張ったり、閉じ込めることで生まれるから。加藤拓也監督はやはり、映画でも魅せてくれる。
確かに今作は『猿楽町で会いましょう』枠で間違いないんだけど、個人的にはそれよりトラウマな映画。人間の鋭利な1面をチラつかせつつ、現代的な若者像を作り上げる加藤拓也監督のセンスが素晴らしい。
本作は「隠し撮り」のようなアングルから、様々な出来事と変化を写していく。これはたぶん、映画畑ではないからこそ出来るモノでもあると感じた。演者の作り上げた空気をそのままパッケージ化しようと試み、空間全てに流れる緊張感を引き出すのは舞台に近い。しかも時系列はバラバラで、複雑化している。フレームの切り替えだけで判別をしろというのは確かに容易ではない。だが、静かにはびこるジェンダーバイアスと無垢なあの頃を観てしまったら、途方も無い感情に駆られる他ない。
私たちが見た誰かの姿は、出てくる彼女たちが知っているとは限らない。それによって感情が転がり増幅する。いままでの彼や友達との話、そこで作られた経験やキャラが多面的で人間的。そういう意味では、ラストの静かな凄さを今、ヒシヒシと感じている。
主演は木竜麻生さん。『初情事まであと1時間』では初心な大学生だったが、こちらで見せる感情のグラデーションが何とも凄い。喜怒哀楽に押し引き、時期をくっきりと浮かばせる変化は驚くばかり。そして、藤原季節さん。本当に嫌になりそうだった(笑)。そう思わせる造形の深さはさすがだし、邦画で重宝されるのも納得。森田想さんや山崎紘菜さん、石田ひかりさんなど、節々に光る豪華なキャスティングも作品の魅力を底上げしていた。
「妊娠」だけがきっかけだった、はず。その節々で問いただされる「おとな」は一体何を持って認められるのだろうか。漠然としたボーダーと、変わりゆく想いに触れながら、愛の行方をまた観たいと思ってしまった。
またおま系
最近の、特に恋愛映画に多い「短いシーンで時系列を行ったり来たりする」パターン、やや「またおま系」になってきた感がありますが、まぁ、初めは戸惑うものの慣れてしまえば観られないこともありません。
ただ、このパターンを使って見込んでいるのはおそらく「伏線回収」なのでしょうが、今作、惜しむらくはややそれを狙いすぎな感じはします。
男女間がもつれ始め、普段の会話から口げんかにいたるまで「積もり積もったアレコレ」を前半に盛り込むため、如何に何でもそれぞれのシーンが短すぎて役者陣の演技がじっくり見られません。
逆に、それを残念に感じるほど、一定レベルセリフが割り当てられている登場人物にはきちんとキャラ設定があり、皆さん演技も素晴らしい。
そんな中でもやはり主演の二人。
直哉役の藤原さん。クソ論理と絶妙な言葉選び、そして言い方がもはや笑えるほどにハマっていて最高です。『空白(21)』『くれなずめ(21)』などでも印象に残る演技をされていましたが、まだ観られていない『佐々木、イン、マイマイン(20)』も早く観てみたいと思います。
そして、優実役の木竜さん。相手との関係性と距離感のとり方があまり器用でない優実を見事に演じていて、エンドクレジット中のシーンも最後まで見入ってしまいました。ちなみに、元々、『鈴木家の嘘(18)』で彼女に注目をしたのが、この映画を観るきっかけでした。最近は「東京ガスグループ」のCMにも出演中で、今後も注目の俳優さんです。
さて、前半で少々ケチをつけるようなことを書きましたが、加藤監督、脚本家としても演出家としても十分に実力を発揮されていると思います。いくつかの解説に「まるで隣の男女の生活を覗き見しているような不思議な映画体験」とありますが、おそらくは微妙なスクリーンサイズもその効果を狙ってのことかもしれませんが、若干違和感の方が強く感じたかな、、と最後もケチつけちゃいましたが、何だかんだ楽しめましたよ。
わかっていない「わかるわかる」
異性とのコミュニケーションに苦労するって誰しもが経験することだと思う。だってそもそも脳の構造が違うのだから(「妻のトリセツ」に書かれていることに影響されすぎな意見だが)。
同棲している彼女の妊娠がわかる。ここまではいいのだが、彼氏の子どもだという確信が持てないという告白を受ける。なんという衝撃!そして過去のシーンと現在のシーンが、切り替わりながら様々なことが判明していく流れなのだが、その切り替わりがとてもわかりづらく若干見観づらかった。
でもそんなマイナス点も気にならないくらいに2人の男女のやりとりがいい。穏やかに会話してるのに直哉の発言に違和感を覚えたり、険悪な感じになったときの直哉の追いつめ方や優実の感情のあらわし方がヒリヒリしてて観ていてつらくなる。とても楽しそうなシーンとお互いに負の感情を吐き出し合うシーンの対比も切なかった。自分にもあったあんなことやこんなこと、妙な既視感を覚えるシーンが多い。
こんな2人のすれ違いを、みんなどんな視点で鑑賞したのだろう。優実がダメなのか、直哉がいけないのか。20代のときの自分が観たらどんな感想を抱いたのだろうと想像すると少し怖くなった。自分は悪くないと主張することよりも、相手のことを思いやることを優先するのは意外と難しい。
共感できない男女のもつれ話
理屈と感情
同棲中の大学生カップルに巻き起こる父親不明の妊娠話。
彼女が体調悪いって言ってるのに何もしないで飯を作らせる酷い彼氏という始まり、妊娠が判明したら、今度は父親が判らないっていう彼女、ってどっちも大概だな(´・ω・`)
そこから様々なそれまでの出来事と現在の出来事を飛びまわってみせていくけれど、シーンが変わって暫く観ていないといつの話か判らず取っ付き難いこと。
そんな感じが中盤過ぎまで続き、ギスギスした感じやドロドロした感じは良いけどなんだかのめり込めない。
彼氏も彼女もしっかりと向き合おうとする感じがみえなかったり、大切なことを相手に話さなかったりと随分勝手で、まあそういう若者をみせようとする作品ではあるのだろうけれども、結末も成る可くして成ったという感じで、残ったモヤモヤ感も、この2人にしたら1番ハッピーに繋がる可能性が高いものだったのかなという印象。
映画として面白かったかといえば…う~ん…嫌いじゃないけれど、自分には大して響くものはなかった。
それにしても、親の金で良い部屋住んでますね…。
ストーリーは最悪なんだけど、役者の方々の演技が凄かった。
大学生の優美と恋人の直哉の二人を中心としたストーリー。
優美が妊娠したんだけど直哉か元カレの子供か解らず、二人の関係が少しずつ変化して行く展開。
泥沼化した会話劇が観ていて嫌になるけど長回しの会話や行動がリアル。
直哉が男として最悪な感じで、彼を演じた藤原季節さんの印象が悪くなりそう(笑)
優美役の木竜麻生さんの演技に圧倒。今までノーマークだったけど今後に注目したい女優さん。
仲良し女子4人組の会話もリアルなんだけど、登場人物全ての方に全く共感出来ず(笑)
ストーリーは最悪だけど皆さんの演技が素晴らしく最後まで飽きずに鑑賞出来た印象。
本作のタイトルは皮肉った感じで上手い。
エンドロールで優美がご飯を作るシーン。
何故か観いってしまいました( ´∀`)
観た感想は、共感ではなく”実感”なのだ。
本編全体に、楽観的なキュンキュンストーリーで構成されているわけではない。
自分がこれまでに経験したような、もしくは知人から聞いているような物語だった。
いい意味で「よくある話」。
これは「共感」ではなく「実感」なのだ。
自分自身にも当てはまることだが、法的に成人になっても、精神的にオトナかと言われたら、そうとは言えない。なので、そういうメッセージを込めていると思われる、このタイトルは皮肉だなぁと感じた。
恋人や友達と、リアクションを取りながら楽しみたい作品である。
可能なら発声上映をしてほしい!!
そして、俳優陣の演技が素晴らしい!
ホテルについた女子4人組の森田想さんが、着いて早々に服を着たまま、湯船に飛び込むシーンとか最高だった。ありそうでなかった演出ではないか??
本当に自然体という感じの映画である。
藤原季節さんが演じる役は、ほんと、クズ人間。
初めはそんな人とは思わなかった。(←まるで友だちの彼氏のように言うww)
やはり、パートナーとしての責務を果たせない人間が避妊もせずに求めるなんて、ちゃんちゃらおかしいぜ。
「ブルーバレンタイン」の模倣がすぎる
まるでこの世に「ブルーバレンタイン」が無いかのようにつくられた映画。
恐るべき程に、あえて模倣がバレるようにつくられている。アイディアを借りたり影響を受けたレベルではなく、似るように努めている。その意図はわからない。
男女の仲を現在と過去で交錯させて描くところは、ブルーバレンタインに似ている。
予期せぬ妊娠が物語のキーになるところは、ブルーバレンタインに似ている。
狭い望遠レンズで捉えたドキュメンタリーのような生々しいつくりは、ブルーバレンタインに似ている(本家は、過去パートを16ミリフィルムの手持ちで温もりのある色調で描く工夫や、俳優が頭を禿げさせたり体型を変えたりするので時制が分かりやすいが、そういうことがないので、ある程度分かるがたまに時制は混乱する)。
劇伴の音楽は、すべて(!)ブルーバレンタインそっくり。
ヒロインがとあるコトに及ぶシーンは、シチュエーション、俳優の動き、アングル、カット割など、ブルーバレンタインそっくり(画が左右が逆なだけとか、その域で似ている...)。
男女の喧嘩でドア越しに傷つけ合うのは、ブルーバレンタインそっくり。
クライマックスが自宅での男女の修羅場というのもブルーバレンタインそっくり(それ自体はよくあるが、話の流れ、男女の立ち位置、ハグしようとする男を女が拒否するなどやはり何かと似ている)。
そこに仲の良かった過去を交錯させるのは、だれもが知るブルーバレンタインの発明。
それ以外にも枚挙にいとまがない。
疾走する恋人たちを躍動感のあるカメラで捉える画は、ブルーバレンタインそっくり(本家は、後ろ向きで走るユーモアなどもあったがとくにそういうことはない)。
仲を深める男女を、閉店後の店先の路上で描くのもやはりブルーバレンタイン(本家は、そこで長回しの即興ダンスとウクレレの演奏が繰り広げられる名シーン)。
あれだけのエポックメイキングでパワフルな映画だから、憧れて似たものをつくりたかったのだろうか。
オリジナリティを込めてある部分があるにはあるが、やはりマリッジストーリーなど近作の模倣がチラつき、換骨奪胎をこえ、裏切られたきもちが拭えない。
俳優たちは素晴らしい。
とくに女優陣が素晴らしい。
それなだけに、独自の作品としてジャンプする瞬間がきてほしいと何度も期待を込めるが、やはり何度もブルーバレンタインに戻ってくる。
作り手が、先人から学びを得たり影響を受けるのは、もちろん良い。しかし、観客に対し、過去作を観ていないだろう(古典ならまだしも、なぜあんなに有名な近作を...)、似せてもわからないだろう、などという憶測のもと、あまりにも模倣に近い作品を提示しているのだとしたら、観客を馬鹿にしている。
果たして、模倣しながらブルーバレンタイン並みに脚本が良いかというとそんなことは勿論ない。
劇場に足を運んだ観客は、作り手を信頼している。新しい何かを見せてくれるのではないかと、期待を込めて映画のはじまりを待つ。
技量のある俳優たちの熱演により画面に緊張感を生むシーンはあるが、映画全体のドライブ感は乏しい。
俳優たちのパフォーマンスを目にできたのはよかった。
それ以外でいえば、ブルーバレンタインをもう一度観たほうがいい。
いい映画だった。秀作だ。
このところ、洋画ばかり観ていて邦画も観たいと思っていた。が、特別鑑賞したい映画もなく待っていた。初代ウルトラマンをリアルで見ていた私だが、「シン・ウルトラマン」を鑑賞しようとは感じなかった。
昨日の朝日新聞夕刊の映画評に、青春映画画として傑作だと書かれていた。早速、観てみたら、その通りだ。今の若者達の日常生活が良く描かれていて、好感が持てた。また、設定も上手くて感心した。私は主人公達の親世代に当たるが、親元を離れ一人暮らしをしている大学生の生態が良く分かる。
主演の女優がいい。また、自分勝手な恋人も憎たらしく感じ、つまり演技が上手ってことだ。上手いタイミングで音楽が挿入される。
ただ、現在と過去が頻繁に入れ替わる。現在なのか過去なのか判らなくなる。
女性の母が急死した際、全く動揺を見せなかった。そうゆう親子関係なのか、そうゆう性格なのかわからなかった。たぶん、後者だろう。
アフターピルがあることを知った。性行為後に服用すると避妊できると聞いた記憶がある。このことかと思った。中出ししたい気持ちは分かるが、親世代としてはコンドームを使えよと叫びたい。マナーだと思って欲しい。
タイトルは皮肉としてつけたのだろう。気持ちは大人だが、実態は子供だと親世代の私は感じる。特に男の方に。皆さんに鑑賞を勧めたい。
わたし達はいくつになっても愚かなおとな
覗き見
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