「ありがたいけどね。ありがたいとは思ってるけど。」わたし達はおとな 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
ありがたいけどね。ありがたいとは思ってるけど。
大学生にしてはいいマンションに住んでいるな、と思いながらながめていた。実家が裕福なのだろう。あまり苦労をしてこなかった雰囲気があり、だから脇が甘く、男に無防備なのか。だらしなくさえ見えた。物語はバラバラの時系列で、頭で整理しながら混乱をまとめていく作業が面倒でもあった。でもよくよく注意していると、ユミの感情に寄り添った前半と、男の感情に寄り添った後半、にも思えた。だからそういう誘導なのか、終盤には、だんだん男の方に感情は肩入れしていった。
どっちにしても、結局この二人は何事もなあなあで、話し合おうにも噛み合わず、相手の話を聞いているように見えても、結論は自分の都合を押し通す。聞いてあげてる振り、わかってあげてる振りが「おとな」というのなら、二人はおとなのだろう。結論の先送り、それもまた「おとな」というのなら、それはそれで皮肉でもある。
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