「またおま系」わたし達はおとな TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)
またおま系
最近の、特に恋愛映画に多い「短いシーンで時系列を行ったり来たりする」パターン、やや「またおま系」になってきた感がありますが、まぁ、初めは戸惑うものの慣れてしまえば観られないこともありません。
ただ、このパターンを使って見込んでいるのはおそらく「伏線回収」なのでしょうが、今作、惜しむらくはややそれを狙いすぎな感じはします。
男女間がもつれ始め、普段の会話から口げんかにいたるまで「積もり積もったアレコレ」を前半に盛り込むため、如何に何でもそれぞれのシーンが短すぎて役者陣の演技がじっくり見られません。
逆に、それを残念に感じるほど、一定レベルセリフが割り当てられている登場人物にはきちんとキャラ設定があり、皆さん演技も素晴らしい。
そんな中でもやはり主演の二人。
直哉役の藤原さん。クソ論理と絶妙な言葉選び、そして言い方がもはや笑えるほどにハマっていて最高です。『空白(21)』『くれなずめ(21)』などでも印象に残る演技をされていましたが、まだ観られていない『佐々木、イン、マイマイン(20)』も早く観てみたいと思います。
そして、優実役の木竜さん。相手との関係性と距離感のとり方があまり器用でない優実を見事に演じていて、エンドクレジット中のシーンも最後まで見入ってしまいました。ちなみに、元々、『鈴木家の嘘(18)』で彼女に注目をしたのが、この映画を観るきっかけでした。最近は「東京ガスグループ」のCMにも出演中で、今後も注目の俳優さんです。
さて、前半で少々ケチをつけるようなことを書きましたが、加藤監督、脚本家としても演出家としても十分に実力を発揮されていると思います。いくつかの解説に「まるで隣の男女の生活を覗き見しているような不思議な映画体験」とありますが、おそらくは微妙なスクリーンサイズもその効果を狙ってのことかもしれませんが、若干違和感の方が強く感じたかな、、と最後もケチつけちゃいましたが、何だかんだ楽しめましたよ。